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剣と愛の果てに  作者: 芳賀さこ
第三章 アリシア、立つ
32/201

シオンの私闘 2

アリシアを裏切った恋敵クッソから私闘を申し込まれたシオン。全ては彼女のためにと剣を取る。

 いづれにせよ、この退屈な日常から抜け出したいシオンは青年に向き直った。

「分かった。その代わり高くつくよ」

「有り難うございます!」

 青年の顔が一気に明るくなった。

 いよいよ、憧れていた『漆黒の剣士』と一戦交えられる。全く相手にならないのは百も承知だが、またとない機会に興奮の武者震いがする。

「さて、いくか」

 三人が訓練場へ歩き出した時だった。

「待て!!」

 叫びにも似た大声に一同の足が止まる。

「だ、団長」

 クッソがこちらを睨みながらやって来た。しかも、先程シオンに激しく責められて怒りが納まらない形相である。

「何をしている!?」

「シオン殿に剣の相手を頼んでいたところだ。若い剣士にもっと経験を積ませたいからな」

 フェザーの柔和な口調にもクッソは耳を貸さない。

「よそ者に頼むとは騎士団の名折れと思わないか!」

「お言葉ですが、クッソ様には忠誠は誓えません!」

「俺も同感だ。お前さんの剣では国どころか人一人救えんよ」

 部下の率直な意見にクッソの顔色が一段と赤くなったので、シオンは気まずい雰囲気に口を挟んだ。

「救えないかどうか、身をもって確かめるがいい!!」

 クッソは剣を抜くとシオンに向けた。それは、剣士の間では決闘を意味している。

「クッソ、剣をしまえ。シオン殿も構いますな!」

  険悪な状況にフェザーは二人を制したが、激情したクッソは既に聞き入れる心理状態ではなかった。

「言っておくが、俺は強いぜ」

 不敵な笑いを浮かべて彼もまた剣を抜いて決闘に応じた。

 もはや避けられない事態にフェザーは、先程の青年をアリシアの元へ伝令として向かわせた。


 まさか緊迫した事態になっているとは露知らず、公務に勤しんでいたアリシアは束の間の休息をとっていた。

「アリシア様ー!!」

 青年の切羽詰まった声が廊下を伝って響き渡ると、皆の動きが止まった。

「何事ですか」

「シオン様とクッソ様が私闘をしております」

「どういうこと!?」

「とにかくお急ぎ下さい」

 壁に立て掛けていた剣を取るとアリシアは急いで二人の所へ駆け出した。


 キンと耳を劈く金属音の共に凄まじい闘気を放つシオンを前にして、騎士団の剣士達は固唾を飲んで見守るしかなかった。

 状況は断然有利なシオンだが、一向に攻撃の手を緩めない力強い剣捌きにクッソの体は左右に大きく揺さぶられる。

 そもそも、剣は持ち主の剣術の性質に合わせて作られている。妖術を得意とする者の剣は妖しく、柔の剣術を心得ている者はしなやかに、そしてシオンのように剛の剣は重く鋭い。

 事実、クッソは剣が飛ばされないように持っているのがやっとの状態だ。

 なんて、重い剣なんだ!!

「アリシアはもっと強いぜ」

 鍔迫り合いで互いに接近した際に、動揺するクッソの心を見透かしたのかシオンが耳元で囁いた。





ついにシオンとアリシアが剣を交える!? 

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