ダンジョン2つ目
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ダンジョンレーダーを使って、俺たちが来たのは、スポーツジムだった。体を鍛えることが趣味って人は一定数いる。特に退役軍人なんかはそうだな。軍隊は志願制ではあるんだけど、定年が40歳なんだよ。それ以上は幹部しか居ない。純粋な兵士として使われるのは40歳までだ。
その間に、昇進できなければ、退役となる。そういう人たちは、結構良い金額を持っているので、再就職も出来るが、そのまま引退生活を送ることもある。……軍隊って、基本的に支給品で生活するし、給料も良いからな。自分のお金を使わないらしいんだよ。
そんな訳で、40歳で定年を迎えて、ある程度質素に暮らしていけば、十分に生活が出来るらしいんだよな。そんな状況でも、訓練はしたいらしく、ジムの需要が結構あるんだよ。それに、筋トレマニアとかも居るしな。……こんな状況でも筋トレをしたいって思う人は居ないとは思うけど。
「スポーツジムか。縁のない場所だな。まあ、ダンジョンには用があるんだけど」
「ひょろがりのあんたには縁のない場所さ。さあ、向かうのさ」
「今後も縁が無いとは思うけど。……行くしかないから行くけどな」
門が大きく聳え立つ。門型のダンジョンか。門を潜り抜ければ、そこはダンジョンだったって奴だな。まあ、門は開きっぱなしなんだけど。中は見えないんだけどな。虹色の膜が張ってあるし。問題なく通れるんだとは思うけど。
通るしか無いので、通ってみると、潮の香りがした。……海があることは確定だけど、ここは、町か? 何というか、中世の西洋みたいな感じがするんだけど。
「町の形をしたダンジョンか。……森の次は町か。何というか、洞窟型のダンジョンを引かなくて良かったと思った方が良いのか?」
「どっちでも良いのさ。それよりも、潮の香りがするのさ。海を引き当てたのさ」
「だよな。潮の香りがするよな。海があったのは良い事だ。塩の供給源になるからな。……問題は、中世の西洋って、敵を絞りにくいとは思うんだけど?」
「その辺は戦ってみれば解るのさ。無理なら逃げれば良いのさ」
「逃がしてくれればな……。まあ、一番最初の所に、強い魔物が居た時点で、撤退案件なんだけどな。逃げるためには、犠牲になって貰わないといけない。小鬼に申し訳がないけど」
「小鬼は囮をすれば、回避率が上がるのさ。そういうスキル持ちさ。ダンジョンを出た瞬間に、全員回収できるんだから、生き残れば無事に回収できるのさ」
「それはそうなんだけどな?」
「それまでで。敵が来ましたよ。数は3です」
「貧乏神で勝てなければ、お終いだな。一当て頼む」
「任せておけなのさ」
そんな訳で、戦闘が始まろうとしている。……向こうは普通に走って来たな。かなり遅いけど。それじゃあ貧乏神の的にしかならない。
「……あっけなく終わったな。雑魚だな?」
「雑魚で良かったと思うのさ。強かったら本気で不味かったのさ」
「魔石を回収してきました」
「ありがとう。……小鬼の魔石よりも小さいな?」
「かなり小さいのさ。さっきの奴らもかなり小さかったのさ」
「ふむ、敵は何だったんだろうな?」
「妖精ではないのか? 一応は羽が生えていたぞ。小さく、羽が生えているのであれば、妖精の可能性があるとは思うが」
「妖精か……。あり得るな。結構弱いってなると、なんだろうか?」
「さあ? 妖精については詳しいわけではないので」
「何でも良いのさ。雑魚なら大歓迎さ。カードにして正体を掴むのさ」
「まあ、それが手っ取り早いか。どんどんと奥に行きながら、色々と考えようか」
とにかく、まずは海を見てみないといけない。海を探すべく、歩いていく。それと門も探さないといけないからな。道案内はグレイウルフがやってくれる。索敵担当だけど、基本的には道案内も出来る。森と町では勝手が違うかもしれないけど、貧乏神やオーガよりはマシである。
そんな感じで魔物を蹴散らしつつ、海を発見した。港町って感じだな。それに妖精か。いや、西洋の町ではあるんだけど、妖精なあ。何が敵として出てきているんだろうか。
「やっぱり海があったか。これで塩の確保は完璧だな。敵も弱いし、安全に塩が確保できるのは大きい」
「うーん。ただ、問題もあるとは思うのさ。このダンジョン、明らかに森のダンジョンよりも広いのさ。この海が無限に続くって事は無いとは思うのさ。けど、ある程度までは行けるってなると、流石に少し不味いのさ」
「広ければ広いほど、敵が強くなる可能性もあるんだったか。それはどうしようもないとは思うけどな。いける所までは行きたい」
「解っているのさ。このダンジョンは捨て難いのさ。出来れば有効活用してやりたい所なのさ。まあ、何処まで強い敵が出てくるのかまでは解らないんだけどさ」
「まあ、何とかなるだろう。何ともならないようなら、引き返すか、カードが落ちるまで粘っても良い訳だし。仲間を増やしつつ、どんどんと奥に進む方が良いとは思うけどな」
「それは解っているのさ。さて、お客さんが追加で来ているのさ。魔石を運んでくれているのさ」
「それな。貧乏神の攻撃で一撃だからな。オーガの攻撃でも一撃だし。相当弱いんだろうけど」
何の魔物なんだろうな。空を飛ぶ小さな妖精と、駆け足で迫ってくる小さな妖精しか見かけないけど。この2体で終わりかな? なら余裕なんだけど。
「あ、カードが出たのさ。飛んでる方はピクシーなのさ」
「妖精で確定か。ピクシーってなると、西洋になるんだけど、妖精が出てくるのはイギリスか? イギリスってキリスト教だったとは思うんだけど、キリスト教なら天使だよな? 悪魔もいるけど」
「さあ? その辺はよく解らないのさ。進んでいけば、何かしら解るんじゃないのさ?」
「……それもそうか。よし。どんどんと進もうか。目指す所は10階層くらい? 魔物がこの程度なら余裕でそこまでいけるとは思うけど」
「まあ、途中である程度の強さにはなってくるとは思うのさ。そこまでは順調にいけるとは思うのさ」
まあ、そうなるだろうな。このペースで行ければ、良いのは確かなんだろうけど、広いし、魔物も強くなってくるはずだからな。しかし、ピクシーの戦闘力は20しかない。これが最初のカードだったら詰んでるんじゃないのか? かなり厳しい事は想像できる。魔物を人間が倒せるのかって事もあるんだけど、ピクシーくらいなら、俺でも何とかなりそうである。
そんな感じでどんどんと進んでいった。もう一体の妖精はブラウニーという。こっちはいいぞ。元々は家付きの妖精っぽいので、家事が出来る。というか、ピクシーは初等魔法攻撃を、ブラウニーは初等家事魔法を種族スキルで持っているらしく、ピクシーは弾幕代わりに、ブラウニーは避難所生活をしている人たちにとっては有用だとは思うんだよな。
どんどんとカードを獲得して行く方が良いのは確かである。弱くとも、魔法が便利な事には代わりがない。家事魔法は特にだな。まあ、あくまでも初等なんだけど。高等まで行けば、かなりの事が出来るとは思うんだけどな。その辺は今後に期待だな。
ただ、クソ広いのは確かなので、進みは遅い。まだ4層目だ。門は大きいので、空から見れば解るんじゃないかと思ってピクシーに見て貰ったんだけど、濃い霧がかかったようになっていて、ある程度までしか見えないって言われてしまった。……流石にそんな抜け穴は使えなかったか。少しばかり残念である。
因みに、ブラウニーの戦闘力は15である。ピクシーよりも弱いのか。マジで妖精の中で最弱候補なんじゃないのか?
「おおー。見事なのさ。今度は田舎に出たのさ」
「5層目は一面の小麦畑か。この調子だと、野菜は無さそうだな。別の階層か」
「小麦は一面で育てるから野菜は別だと思うのさ。逆に、野菜は色々と植わっているとは思うのさ。果物は1種類な気がするけど、野菜は沢山の種類を育てていても違和感が無いのさ」
「そうだな。野菜はある程度の広さしか作らないだろうし、トマト農家はトマト、キャベツ農家はキャベツって棲み分けはあるんだろうけど、農村単位でトマトだけを作っているって可能性は薄いだろうし、野菜は何種類かありそうだよな。小麦に関しては、一面の小麦畑を見たら解る程度には、小麦しかないけど。細々とはやっているんだろうが、そんな所まで再現するのかね?」
「さあ? ダンジョンの事はある程度しか知らないのさ。ある程度の中には、麦畑に野菜があるかどうかなんて解らないのさ。ただまあ、果物って村単位で作っているようなイメージがあるのさ」
「それはなんとなく解る。特にブドウとかな。ワインにするのに、色んな場所で作られているんだろうけど、ブドウばかり作っているようなイメージがある。実際はどうなのかは知らないけど」
「実際よりも、イメージの方が大事だとは思うのさ。ダンジョンはあくまでもイメージさ。そういう認識なら、そうなる方が自然なのさ」
つまりは、日本のイメージが忍者って感じの外国は、忍者らしき魔物が出てくるんだろうか。それとも、忍術とか覚えた魔物が出てくるとか? 日本限定で出てくるなんて事もあり得るけど。どっちなんだろうか。
イメージ先行って意味だと、外国で出てきそうな気がしないでもない。けど、ネイティブの方がそういう地域性を表したスキルがありそうな気がする。まあ、出てきたら解る事だとは思うけど、妖精が忍術を使うって事は無いとは思うんだよな。




