狙いを絞って
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12層で粘りつつ、食料を集めている。最近はリンゴとブドウしか食べてない。そろそろ肉が食べたい。肉は手に入っている。が、解体持ちのカードが手に入らない。
「何でこんなにカードを手に入れているのに、解体持ちのカードが出ないんだ?」
「知らないのさ。流石にこいつらの中には、解体持ちがいる筈さ」
「だよな。そんな解体もしないで食べているなんて事はないだろうし……。運が悪いだけなんだろうとは思うんだけど」
「運は悪くないのさ。その証拠に、オークのカードと、ワイルドボアのカードも手に入っているのさ。戦力としては中々に揃ってきている感じではあるのさ。流石にボスのオーガのカードは出てないけどさ。なんだかんだと戦力は整ってきているとは思うのさ」
ここ3日くらいは、必死になって解体持ちのカードを狙ってダンジョンに潜っている。12層の魔物を全部駆逐して、ダンジョンボスを倒して、再出現させるって手法で、どんどんとドロップを狙っているんだ。……カードは結構集まってきている。なんだかんだとドロップはするんだよな。
小鬼が51枚、グレイウルフが34枚、オークが5枚、ワイルドボアが7枚と、結構な数を確保している。なのに、解体持ちが一向に出ない。1枚あれば良いんだ。後は教えてもらえば良いんだし。解体が出来るようになれば、拠点が持てるようになる。拠点で解体して待っていて貰えば良いんだからな。……まあ、仲間集めはまだなんだけど。人間とは会わないんだよなあ。何でなのかは知らないけど。
人間と会わないのは、俺がダンジョンに潜ってばかりいるっていうのもそうなんだろうけど、ダンジョンには潜るものだろう? 何を考えているのかは知らないが、ダンジョンに潜らないってのは無しだ。普通に考えて、生きていくにはダンジョンに潜らないといけないはずだ。
……これも事情が解っていればって話ではあるのかもしれないけどな。事情が解らない人にとっては、ダンジョンなんて出ているなんて知らないって可能性もあるんだから。
「流石に初級家事魔法持ちがもう1体くらいは欲しいけどな。トイレの処理問題もあるし。下水道なんてもう使い物にならなくなっているんだからな。電気がないとそれらも機能しないし」
「世話してやっている恩は、地球を救う事で返してもらうのさ。トイレ事情は人間特有の問題だとは思うのさ。それももう少し楽になれば良いとは思うのさ」
「だよなあ。毎度毎度貧乏神に処分してもらっているけど、拠点に家事魔法持ちは1体は欲しいよな。他の人のカードがどうなっているのかは知らないけど、家事魔法は持っているんじゃないのか? 割と魔法寄りの種族であれば、って話ではあるとは思うんだけど」
「家事魔法はあれば便利さ。けど、小鬼にそれを期待するのが間違っているのさ。解体が手に入り次第、別のダンジョンに行くことをおススメするのさ。出来れば、オーガも1枚は欲しいけどさ」
「だよなあ。戦力の格になると、オークよりもオーガの方が倍くらい強いって事は解っているんだし。そのくらいに強いのであれば、カードにしても強いよな? 良い感じになるとは思うんだけどなあ。オーガも1枚くらいは欲しい。何としても欲しいわけではないけど、食料の安定供給を考えると、オーガのカードも3枚は欲しい所なんだよな」
「それは流石に欲張りすぎさ。何としてでも手に入れないといけないって訳でもないけど、1枚あれば、戦力としては十分さ。良いアタッカーになるとは思うのさ」
カードは色々と欲しい。カードがないとどうしても生活が苦しくなる。色々と入り用だとは思うけど、何とかカードを手に入れて、快適な生活を取り戻さないといけない。まずはカードだ。何としてでも解体持ちのカードを手に入れて見せる。
「12層目の掃除は済んだのさ。またカードは落ちなかったのさ」
「仕方がないか。リセットさせにオーガを倒そう。これで何度目だ?」
「13回目なのさ。そろそろカードが落ちても良い頃合いなのさ」
「だよなあ。大体確率的には1%から5%って感じだし、そろそろ運気の振れ幅的に、落ちてもおかしくないよな」
「指向性は持たせられないって言っているのさ。流石に落ちても良いとは思うけどさ」
「まあ、それよりも解体持ちが落ちて欲しい所ではあるんだけどな。もう森の道順は覚えるくらいに通っているし」
「それだけあんたも体力がついてきたのさ。非常時には、人間はどんどんと強くなれるのさ」
「まあ、俺の成長があるだけマシか。貧乏神も徐々に強くなってきているし、オーガくらいは楽勝だろう?」
「それはそうさ。どれだけ戦ってきたと思っているのさ」
貧乏神の戦闘力も1752まで上がっている。3400までは上がるから、まだまだ経験値が足りないんだけどな。スキルは全然増えない。罠解除を覚えてくれるだけでも良いんだけどな。まあ、まだまだこれからって所ではあるんだろう。
それからも、毎日12層を攻略しては、オーガを倒し続けた。とにかく、解体持ちが出ない事には話にならない。解体が出来ないと、肉が食べられない、訳ではないが、無駄にしてしまう事も多いだろうし、内臓を傷つけたら、マジで全部駄目になる可能性がある。血抜きもきちんとしないといけないだろうし、肉の解体はスキルが必要。……魔物には関係ないのかもしれないけど。
魔物に解体を覚えさせるよりも、人間に覚えて貰った方が早いんじゃないか説もあるんだけど、人間が何処に居るのかが解らないからな。マジで誰とも会わないんだよな。ここにダンジョンがあるって知らないんだろうとは思うけど。けど、色んな場所を探してみるよな? 普通はそうじゃないのか? 俺の行動がおかしいのかね?
もしかしたら、避難所とかあるのか? 近くに学校とか病院とかがあれば、そこが避難所になる可能性はあるし。そこに避難していて、誰かの助けを待っている、なんてお花畑な人たちが居るのかって話だよな。この危機的な状況で。
……まあ、居るんだろうけど。自分で何もしないで、状況が改善するなら、それに越したことはないしな。結局は他人をあてにしているって事には変わりないんだけど、何というか、微妙な選択だとは思うんだよな。こういう時は積極的に行動した方がマシになることの方が多いんだし。
「オーガも何体目だ? カードもどんどんと増えてきたけど、所有者登録すらしなくなって久しいんだけど」
「流石に小鬼のカードを100枚も持っていても無駄さ。戦力になりそうにも無いんだから、小間使いとしてしか価値が無いのさ。それなら他の人間にカードを回してやった方がマシさ。小鬼でも多少の戦力にはなるのさ」
「だよな。他の人に会わないけど。このダンジョンには来ていないんだろうし。見つけにくい場所にあるから、難しいとは思うけど。マンションの中だしなあ」
「その辺は運さ。こっちは初動が早かったのさ。その分有利に働いているのさ」
「初動が早かったのはそうだよな。……貧乏神だったってのも大きい。事情を色々と知っているってのが大きかったからな」
「ある程度の奴が居れば、知っているとは思うのさ。具体的に言えば、戦闘力が1000もあれば、ある程度の状況は知っているのさ。知らないって事は、それだけのカードしか居ないという事なのさ」
「解体のカードが手に入ったら、避難所探しからだな。このダンジョンはキープしておくとしても、避難所があれば、そこから戦力も引っ張って来れるとは思うし」
「そうだとは思うのさ。色々と知っている奴らが居れば、そいつらを巻き込んでも良いとは思うのさ。知らないのであれば、教えてやれば良いのさ」
まあ、そうだよな。教えて戦力になって貰った方が良いとは思う。色々と必要なものもあるだろうし、物資の確保は必須だとは思うからな。ホームセンターなんかを拠点に出来れば、色々と助かるんだけど。この近くにはコンビニはあったけど、ホームセンターはどうだろうか。住宅地だし、ない可能性は高い。
その代わり、病院や学校はありそうなんだよな。最寄りの学校なんて知らないけど。俺は社会人になってからこっちに引っ越してきたし、休みなんて無かったから、その辺のコンビニまでが俺の行動範囲だったからな。基本的には外食派だったし。
「止めさ! さて、今回は何の宝物が入っているのさ?」
「さあな。お? カードも落ちてるじゃん。漸くオーガのカードが来たか。……解体持ちよりも早く手に入るとはなあ。運がいいのか悪いのか」
「運は悪くなってはいないのさ。それよりも戦力として使えるのかの確認は必要さ」
そうだな。まずはカードを確認する。
――――――――――
種族:オーガ
戦闘力:430
種族スキル
・鬼の一撃
後天スキル
・剣術
・武術
・影鬼
――――――――――
こんな感じだ。剣術や武術は小鬼やオークも覚えていたな。人型のカードは持っている可能性があるんだろう。まあ、とりあえず呼んでみないと解らない訳だが。
「こい、オーガ!」
「む? なるほど。カードになったのか」
「ああそうだ。従ってくれるか?」
「俺を倒したのであれば、従う。強きものに従うのが、鬼の習性だ」
「それなら従ってくれ。それとスキルについて、教えて貰ってもいいか?」
スキルについて聞き出しだ。鬼の一撃は、戦闘力の1.3倍の威力の攻撃を行うって感じらしい。大体そんな感じなんだそうだ。これは武器を持っていたら、その武器の攻撃力も加算されるらしい。だから、良い武器があれば、もっと強くなれるという事だそうだ。
因みに、クールタイムは10分程度。1戦闘に1回くらいしか使えないのか。微妙な感じだよな。まあ、戦闘力はオークの倍近くはあるし、文句なしで戦力になるとは思うけどな。
後は影鬼だな。こっちは相手の影を踏んで、動けなくするスキルらしい。という事は、前衛だという事だな。タンク兼アタッカーか。
「よしよし。運気が良くなっている気がする。オーガもよろしくな。戦闘力的に、最終的には手放すとは思うけど、今は力を貸してくれ」
「解った」
「出来れば剣術で戦ってくれた方が良いから、欲しい剣があったら言ってくれ。貧乏神、剣を出してくれるか?」
「解ったのさ」
「ふむ……。どれも対して変わらんが、この大きいのは使い勝手が良いだろう。小さいのは得手が悪い」
「体格的にもそうなるか。じゃあ、今後はそれを使ってくれ。860まで成長するんだから、戦力としてはありだよな」
「十分なのさ。アタッカーとして期待するのさ」
「足手まといにならん様にしよう」
なんにしても新しい仲間だ。……最終的には手放すんだろうけどな。どうしても使いたいのであれば、使うとは思うけど。でも、死ぬために出すのはちょっとなあ。何かしらの救済措置があれば良いんだろうけど。特に、こういうのってフィーリングが合うかどうかが問題なんだよな。パーティーを組むなら、割と必須の事だろう?
何とかする術があるなら、何とかしてやりたい所ではある。まあ、普通に進化するのかって言われたら、進化はしないとは思うけど。生贄にしたら、新しいカードが手に入るとか、そういうのが無い限りは、最後には手放すとは思うんだよな。




