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葛の葉奇譚  作者: 椿
第11章:逢魔が時の早食い大会
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 「本当に優勝しちゃうなんて凄い!!有難う、晴支ちゃん❤」

 件が大はしゃぎで僕に勢い良く抱き付く。件に抱き付かれた僕は「どういたしまして。」と一言返事をすると、そのまま賞品のスイーツを嬉しそうに頬張り続けるのだった。

 早食い大会で無事に優勝出来た僕は、店に戻って皆で御祝いパーティーを開いていた。件は手に入れた天の羽衣をふわりと羽織るとくるるんと回りながら貴人の許に近付いて行った。

 「どう?似合う?」

 貴人の前でポーズを決めて上目遣いで問い掛ける件。しかし貴人は興味無さそうにそっぽを向いたまま無視している。白虎達は賞品の御酒を飲みながらお喋りをしていた。

 「白虎~っ。お前はいつもいつもふらけてばっかひ・・・。この間らって私が眠っている間に顔に変な落書きひて・・・。あれ、中々落ちなかったんらぞ!!」

 六合が空になったグラスをドンッとテーブルの上に置いた。彼は白虎をキッと睨みながら、ビシィッと力強く指を差す。対する白虎は、御酒をくいっと飲みながら、「アァ。ありましたネェ、そんな事。あれはかなりの傑作でしたヨ。」と楽しそうに笑う。

 「何が傑作らっ!!」

 六合が怒って白虎の方に飛び掛かろうとする。

 「落ち着いて、六合。」

 荒ぶる六合を天空が押さえ、宥めようとする。すると、少し落ち着きを取り戻した六合はふぅ~っと1つ深い溜め息を吐いて心を静めるのだった。

 「ちょっと・・・誰だい、六合に御酒を飲ませたのは。六合はかなり御酒に弱いんだから、飲ませちゃ駄目じゃないか。ほら、顔が真っ赤になっているよ。もう、仕方ないねぇ・・・。」

 太陰が困った様に眉尻を下げながら、水の入ったコップを六合に手渡す。六合は申し訳無さそうに「済まない、太陰、天空。有難う。」と小さく呟いて水を飲む。その後ろでは、騰蛇と勾陳が例の如く取っ組み合いの喧嘩をしていた。2人の近くに居た太裳と青龍は2人の蹴りや鉄拳のとばっちりを喰らわない様に器用に避けながら御酒を飲んでいる。玄武は燥ぐ皆の様子をガッハッハと豪快に笑いながら眺めており、朱雀は皆が騒いでいるのを完全スルーして嬉しそうに御酒を堪能していた。

 「この仙桃のタルトも、雲の綿飴も、凄く美味しいね。幾らでも食べられちゃうよ。」

 「そうですね。ほっぺたが落っこちちゃいます!!」

 僕と天后は賞品の天界スイーツを幸せそうな笑顔を浮かべて食べていた。ハクや家鳴達もワイワイキャッキャッと燥ぎながらスイーツをパクッと口に入れている。

 「まさか、本当におかわりの分も全部食べ切っちまうなんて・・・お前の体、マジでどうなってるんだよ。」

 天界スイーツを満喫している僕の隣で、壮吾が少し引き気味に問い掛ける。

 「ほだひだはりだはられ。(育ち盛りだからね。)」

 口一杯にスイーツを頬張りながら、僕はキリッとした表情で力強く答える。

 「そ・・・育ち盛りでも普通あんな大量の料理食えないよ・・・。」

 眉尻を下げ表情を強張らせる壮吾の言葉に、僕は不思議そうに首を傾げるのだった。



 「ねぇ、件。天逆毎に関する予言について・・・そろそろ教えて貰って良いかな?」

 御祝いパーティーが一段落した所で、僕は件に問い掛けてみた。件は「うん、良いよ。」とにっこり微笑んでから、予言について語り始める。

 「近日中に、この日本は天逆毎によって沈没の危機に直面する事になるわ。」

 件の口から告げられた衝撃の予言に、僕達は目を大きく見開き息を呑む。緊張で空気がピリピリと尖り重くなっていくのが肌から伝わって来る。

 「日本が沈む・・・もしや天逆毎は“あれ”を解き放つつもりか?」

 貴人が深刻な面持ちで問い掛ける言葉に、件はこくりと頷く。十二天将達の緊張が一気に高まる。

 「嘗てこの大地に封印された荒ぶる大妖怪を・・・天逆毎は目覚めさせようとしているの。その妖が目覚めれば・・・激しい地震で日本は破壊され、海の底に沈んでしまうわ。」

 この日本が海の底に沈む・・・そんな事態になれば、大勢の命が奪われる事になる。

 「そんな事・・・絶対にさせない!!」

 僕は拳をギュッと強く握り締め、大きな声を出してしまう。

 「エェ。先手を打って、今度こそその馬鹿げた計画ごと天逆毎を潰してやりまショウ。」

 白虎が僕の肩をポンと叩き語り掛ける。彼の瞳は鋭く尖り、天逆毎に対する冷たい殺意を全身からピリピリと放っている。

 「取り敢えず・・・封印の状態を確認するのが先決ですね。」

 六合の言葉に一同が深刻な面持ちでこくりと頷く。

 「封印の方は、私と太陰が現地に赴いて見てみよう。」

 貴人が太陰の方にちらりと視線を向けて一言述べると、それを受けて太陰は黙って頷いた。


 何としても、日本を天逆毎の魔の手から護り抜かなければ・・・。


 僕達葛の葉庵の面々は強い闘志を胸に抱き、天逆毎の企てを阻止するべく動き始める事となった。



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