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突然妖に襲い掛かられた僕と壮吾は、ルートを大きく逸れ山の斜面を滑り落ちていた。
「くっ!?」
僕は紙人形の式神を取り出し、転がる僕と壮吾の体を受け止めさせる。起き上がった僕達を、数多の巨大な山嵐達がぐるりと取り囲む。鋭い針の様に背中の長い毛をぶわぁっと逆立てながら僕達をギロリと睨み付けている。
「家鳴、信楽先生に妖怪が現れた事を知らせて来てくれるかな?」
僕が1番近くに居た1匹の家鳴にお願いすると、彼は「ぴぃ!分かった!!」と急いで駆け出して行った。
「ハクと残りの家鳴達は、神崎さん達の様子を見て来て欲しい。お願い出来る?」
僕の言葉に、ハクは「OK!任せて!!」と家鳴達を連れて素早くぴょんんぴょんと山道を登って行った。
「全く・・・宿泊訓練中まで襲って来るとか・・・勘弁して欲しいよな。」
天月を構えながら、壮吾がふぅっと迷惑そうに顔を顰める。
「他の人が襲われない様に・・・今此処で仕留めておかないとね。」
僕はそう一言述べると、片手で素早く印を結ぶ。
「浄き光よ、闇を滅し給え。急急如律令!」
僕が呪文を唱えると、破魔の術の陣が地面に幾つも現れ、光の柱が山嵐を次々と祓っていく。祓い切れなかった山嵐達が僕達に鋭い針の毛を突き立てようと迫って来るが、壮吾が白い刃を放ち彼等を切り伏せていく。山嵐達はフーッフーッと荒々しい声で威嚇しながら、山の中を素早く動き回って僕達を攪乱しようとする。僕が両手に青い焔を圧縮し、山嵐目掛けてぶつけようと一歩踏み出した時だった。
「なっ!?」
突然山の地面一帯に黒い蛇達が湧き出てきた。蛇は僕や壮吾の足に絡み付き動きを鈍らせようとする。僕は足元の蛇達を焔で蹴散らしながら山嵐の攻撃を避ける。壮吾も妖刀で蛇を払い除けながら、山嵐と闘い続けている。
「この蛇達・・・一体何処から湧いて来たんだろう?」
「ちっ。此奴等の所為で動きづれぇな。」
蛇は僕達が攻撃しようと動くのを邪魔したり、噛み付こうと襲い掛かったりしてくる為、集中を削がれ鬱陶しい。それでも僕達は焔や破魔の術で薙ぎ払い、白い刃で切り裂きながら蛇や山嵐を少しずつ退治していった。すると、新たな山嵐と黒い蛇がまた出現し、一斉に僕達に向かって突っ込んできた。僕達が迎え撃とうと身構えていると、突然地面が沢山の針を形成し妖達を突き刺したのだった。
「ぴぃっ!狸の先生呼んで来たよ!!」
「大丈夫かっ!?2人共!!」
声の方に振り向くと、家鳴を肩に乗せた信楽先生がズザザァッと素早く山の斜面を下りて来た。
「下の蛇は俺が電撃で一気に片付ける。2人は山嵐の方を相手してくれ。」
『了解』
信楽先生の言葉にこくりと頷くと、僕と壮吾は山嵐達の居る方に駆け抜けて行った。
「飛べっ!!」
信楽先生の合図を受け、僕と壮吾は近くの木の幹にそれぞれぴょんと飛ぶと、それを力強く蹴って思い切り高く空中へジャンプした。信楽先生は僕達がジャンプすると同時に、地面を覆い尽くす蛇達に凄まじい威力の電撃を喰らわせる。電撃により蛇が消え去ると、僕は空中でくるりと体勢を整えながら印を結び沢山の破魔の術の陣を出現させる。壮吾も別の木の幹を足場に天月をぐっと構え、白い刃を大量に放つ。破魔の術と白い刃は残っていた山嵐達を全て葬り去ったのだった。
「家鳴にお前達が襲われたと聞いて心配したが・・・無事で良かった。」
闘いが一段落すると、信楽先生はほっと安堵の笑みを浮かべ僕達に語り掛けた。
「心配かけて、済みませんでした。」
僕が頭を下げると、信楽先生は「気にするな。」と僕と壮吾の頭を軽くポンと叩いた。
「退治手伝ってくれて有難う、信楽先生。・・・でも、抜け出して不味かったんじゃないか?」
申し訳無さそうに壮吾が問い掛けると、信楽先生は「部下に替え玉を頼んだから問題無い。」と答えた。
「皆が心配しているだろう。霧谷達と合流して集合場所に向かうぞ。」
そう言うと信楽先生は山をどんどん登り始めた。僕達も彼に続いて直人達の居た場所に向かって進み始めたのだった。




