7
人気の無い古びた神社―その境内に突然大きな異空間が現れる。その空間が這い出て来たのは、傷だらけになった輪入道だった。
「あらら・・・ひっでぇ有様だな、輪入道。」
輪入道の前に現れたのは、牛鬼や覚等、天逆毎の配下の妖達だった。
「侵入には成功したのだが・・・京都の陰陽師にやられた・・・。」
苦痛に顔を歪ませる輪入道。そんな彼に冷たい視線と酷薄な笑みを浮かべながら、牛鬼は輪入道の方に近付いて行く。
「それで・・・“あれ”は手に入れたんだろうな?」
問い掛けにこくりと頷くと、輪入道は白く輝く光の玉を差し出した。
「でかした。ちゃんと手に入れたんだな。神崎紫苑の魂・・・これがあれば、晴支の奴を苛める事が出来る。」
晴支にとって大切な人間の魂・・・。彼奴はこの魂を奪い返す為に、必ず俺達の所に来る筈・・・。さて・・・どうやって苦しめてやろうか・・・。
絶望に苦しむ晴支の姿を思い浮かべ、俺は思わず笑顔を浮かべる。その笑顔は無邪気で、残虐なものだった。隣に佇む覚は、横目でちらりとその様子を見ながら静かに口を噤んでいる。
「牛鬼は何か悪い事を企んでいる時が1番生き生きしているな。」
老朽化した社の柵に軽くもたれ掛かっている妖が、呆れ顔で話し掛けてくる。
「うん。晴支を苛めるのは楽しいからね。」
満面の笑みで答える俺に、彼は「そうかい。」と眉尻を下げて笑う。
「それより・・・俺達まで呼び出して、うちの頭は何をするつもりだ?」
腕を組み仏頂面で問い掛ける仲間の声に、その場の妖達の視線は覚の方へと向く。
「天逆毎様から出された命令は・・・この京都の街を陰陽師達から奪い取る事。」
覚の口から明かされた今回の命令に、俺の気持ちが強く昂っていくのが感じられた。
ハハッ!やっと力の限り暴れられる!思い切り晴支で遊ぶ事が出来る!!
晴支との闘いを待ち切れない余り、体の震えが止まらない。興奮が抑え切れない。他のメンバー達も、陰陽師達との闘いにやる気が満ちている様だった。
早く一緒に遊ぼう・・・晴支!
刻一刻と近付く“その時”に向かって、俺達は動き出すのだった。




