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「付き添ってくれて有難う。心配かけて御免ね。」
八束先生は病院のベッドで横になりながら謝罪する。包丁で斬られた傷はそれ程深くなく、数日で退院出来る様だ。
「すみません。僕を庇った所為で、怪我をさせてしまって・・・」
こうなる前に、八束先生を避難させていたら・・・。
もっと早く、少女の霊を祓うことが出来ていたら・・・。
「土御門君の所為じゃないから、気にしないで。それに、君達に怪我が無くて本当に良かったよ。」
頭を下げる僕に、八束先生は優しく笑いかけてくれた。
顔色も悪くない様子で、思ったよりも元気なのを確認し、僕はほっと安堵する。八束先生の怪我が酷いものではなくて、本当に良かった。
「それにしても、急に包丁が飛んで来るなんて・・・本当にびっくりしたよ。」
のほほんとした様子で語る八束先生に、僕達はハハハとぎこちない笑いを向けることしか出来ない。
「私達が聞いた“ガシャンッ”ていう大きな音は、何だったんだろうね?」
「あっ・・・えっと・・・あれは家庭科室に置いてあった荷物が上から落ちた音だったみたいですよ!」
不思議そうに首を傾げる八束先生に、壮吾が若干あたふたしながら何とか誤魔化す。
「じゃあ、窓硝子が割れたのは?」
「あぁ・・・あの時強い風が吹いたから、それで割れたんだろう。包丁が飛んだのも、強風で飛ばされた所為らしい。」
顔色を変えず、淡々と語る信楽先生。
「そっかぁ。“ポルターガイスト”って奴かと思って、少しわくわくしたんだけどなぁ。残念。」
眉尻を下げて残念そうな表情を見せる八束先生。「本当は幽霊の仕業だったんですよ。」とは言 えず、僕達は唯笑って誤魔化す。
4人でお喋りしていると、コンコンとノックの音が聞こえてきた。
「失礼します。八束さん、傷の方は大丈夫ですか?」
巡回に来た看護師さんが、八束先生に傷の具合を確認する。面会時間が少し過ぎて、もう消灯時間の様だ。僕達はいそいそと帰り支度を済ませる。
「八束先生、お休みなさい。また明日、お見舞いに来ます。」
「うん、お休み。3人共、気を付けて帰ってね。」
変える前に挨拶をすると、八束先生はにっこりと笑顔で返してくれた。八束先生にひらひらと手を振って見送られながら、僕達は病院を後にした。




