2
暖かい日差しが差し込むグラウンド。日本史の授業を終えた僕達は、今体育でサッカーの試合の真っ最中。壮吾が敵チームからサッとボールを奪い取り、全力疾走で駆け抜ける。
「晴支!」
壮吾が傍に駆け寄った僕にすかさずボールをパスする。
「任せて!」
ボールを受け取った僕に向かって、敵チームのメンバーも、味方チームのメンバーも一斉に集まって来る。ボールを奪い取ろうとする敵チームの蹴りをひらりと躱しながら、僕は素早く相手ゴールに近付く。
「よっしゃ、掛かって来い!!」
相手ゴールで待ち構えているのは仁。両手を前に出して、ゴールされるのを阻止しようと気合を入れている。
「それ!」
僕は全力を込めて力強くボールを蹴り上げた。ボールは仁の手を掠り、勢い良くゴールネットに衝突する。
「おー!すげーな、晴支、壮吾!!ナイスパス&ナイスシュート!!息ぴったりだな!!」
直人が僕達の肩をバシッと叩いて元気良く褒めてくれる。
「いやぁ、それ程でも。」
僕は褒められたことが嬉しくて、頭に手を当て照れ笑いをしながら答える。
「へへっ、見事なパスだったろ?」
壮吾も、嬉しそうにピースサインをしながら明るく答える。
「ちくしょう。強烈なシュート決めやがって。信楽先生にも喝入れられるしさぁ・・・。」
悔しそうにむすっとした顔で話す仁。信楽先生に叱られたことに、まだ不満を抱いている様だ。
「よ~し、じゃあ行くぞ~!」
仁がボールを勢い良く蹴り上げる為助走を始めようとしたその時―
「うわぁ!?」
「ぴぃやぁあ!?」
ちょこちょこと走りながらコートを横切ろうとした乱入者に躓き、仁は派手に転んでしまう。
「痛てて・・・。」
「大丈夫、仁?」
地面に手を当て、苦痛に顔を歪める仁。彼の怪我を心配し、僕達は急いで仁の下に駆け寄る。
「ぴぃええええ!!」
僕と壮吾が見守る中、小さな小鬼の姿をした家鳴が、大きな声で泣きながら猛ダッシュで旧校舎の方へ走り去って行く。怪我が無いか確認しようと思っていたのだが、呼び止める前に消えてしまった。
大丈夫かな・・・?あれだけ速く走れたら、それ程大した怪我ではないと思うけど・・・。
「あ~・・・痛てて・・・。あんな派手に転んじまって・・・すげー恥ずかしい。」
仁は顔を赤くしながら体操服に付いた泥をパンパンッと払う。
「頬と手、擦り剥いてんじゃん。」
「保健室で手当てして貰って来いよ。」
壮吾と直人が心配そうに怪我を指摘する。勢い良く地面に転んでしまった為、頬と手の皮膚を擦り剥いた様だ。
「おう、ちょっと行って来る・・・痛つっ!」
動かそうとした右足に痛みを感じ、仁は足首を手で押さえる。
「さっき転んだ時に足を捻ったのかもしれない。僕が肩を貸すから、今直ぐ保健室に行こう。」
「あぁ。悪いな、晴支。」
ぼくは自分の肩に仁の腕を乗せると、立ち上がれる様に体を支え、手伝った。そして、足に負担を掛けない様に気を付けながら、ゆっくりと保健室に向かって歩いて行った。




