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葛の葉奇譚  作者: 椿
第4章:旧校舎の怪
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2

 暖かい日差しが差し込むグラウンド。日本史の授業を終えた僕達は、今体育でサッカーの試合の真っ最中。壮吾が敵チームからサッとボールを奪い取り、全力疾走で駆け抜ける。

 「晴支!」

 壮吾が傍に駆け寄った僕にすかさずボールをパスする。

 「任せて!」

 ボールを受け取った僕に向かって、敵チームのメンバーも、味方チームのメンバーも一斉に集まって来る。ボールを奪い取ろうとする敵チームの蹴りをひらりと躱しながら、僕は素早く相手ゴールに近付く。

 「よっしゃ、掛かって来い!!」

 相手ゴールで待ち構えているのは仁。両手を前に出して、ゴールされるのを阻止しようと気合を入れている。

 「それ!」 

 僕は全力を込めて力強くボールを蹴り上げた。ボールは仁の手を掠り、勢い良くゴールネットに衝突する。

 「おー!すげーな、晴支、壮吾!!ナイスパス&ナイスシュート!!息ぴったりだな!!」

 直人が僕達の肩をバシッと叩いて元気良く褒めてくれる。

 「いやぁ、それ程でも。」

 僕は褒められたことが嬉しくて、頭に手を当て照れ笑いをしながら答える。

 「へへっ、見事なパスだったろ?」

 壮吾も、嬉しそうにピースサインをしながら明るく答える。

 「ちくしょう。強烈なシュート決めやがって。信楽先生にも喝入れられるしさぁ・・・。」

 悔しそうにむすっとした顔で話す仁。信楽先生に叱られたことに、まだ不満を抱いている様だ。

 「よ~し、じゃあ行くぞ~!」

 仁がボールを勢い良く蹴り上げる為助走を始めようとしたその時―

 「うわぁ!?」

 「ぴぃやぁあ!?」

 ちょこちょこと走りながらコートを横切ろうとした乱入者に躓き、仁は派手に転んでしまう。

 「痛てて・・・。」

 「大丈夫、仁?」

 地面に手を当て、苦痛に顔を歪める仁。彼の怪我を心配し、僕達は急いで仁の下に駆け寄る。

 「ぴぃええええ!!」

 僕と壮吾が見守る中、小さな小鬼の姿をした家鳴が、大きな声で泣きながら猛ダッシュで旧校舎の方へ走り去って行く。怪我が無いか確認しようと思っていたのだが、呼び止める前に消えてしまった。


 挿絵(By みてみん)


 大丈夫かな・・・?あれだけ速く走れたら、それ程大した怪我ではないと思うけど・・・。

 「あ~・・・痛てて・・・。あんな派手に転んじまって・・・すげー恥ずかしい。」

 仁は顔を赤くしながら体操服に付いた泥をパンパンッと払う。

 「頬と手、擦り剥いてんじゃん。」

 「保健室で手当てして貰って来いよ。」

 壮吾と直人が心配そうに怪我を指摘する。勢い良く地面に転んでしまった為、頬と手の皮膚を擦り剥いた様だ。

 「おう、ちょっと行って来る・・・痛つっ!」

 動かそうとした右足に痛みを感じ、仁は足首を手で押さえる。

 「さっき転んだ時に足を捻ったのかもしれない。僕が肩を貸すから、今直ぐ保健室に行こう。」

 「あぁ。悪いな、晴支。」

 ぼくは自分の肩に仁の腕を乗せると、立ち上がれる様に体を支え、手伝った。そして、足に負担を掛けない様に気を付けながら、ゆっくりと保健室に向かって歩いて行った。

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