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「今起こってる誘拐事件の犯人・・・まだ捕まってないんだって。」
「まだ何も分かってないらしいよ。」
「確か学校の近くの商店街でも事件があったよな・・・。」
「部活で遅くなった時とか・・・あそこ通るの最近こわいんだよね。」
学校でも、朝から誘拐事件の話題で持ち切りだった。特に女子達は、自分も巻き込まれるのではないかと恐れ、警戒を強めている様だ。
「誘拐事件、怖いですよね・・・。犯行時に笑い声が聞こえるというのも、何だか不気味ですし。」
少し怯える様な小さな声で呟く神崎さん。表情も不安気だ。
「事件の影響で、この街の空気っつーか、雰囲気っつーか・・・何かピリピリしてるよな、最近。」
街の様子を思い返す様に少し上を見上げ、壮吾も語る。
「まだ何も手掛かりを掴めていないのが・・・余計に不安を搔き立ててしまうんだろうね。」
深刻な面持ちで、今巷を騒がせている誘拐事件について考え込む3人。
「ねぇっ、神崎さん。土御門君。赤星君。」
教室の出入り口の近くに立って話していた僕達に突然声がかけられる。声の方に目を向けると、隣のクラスの女子3人が僕達の傍にやって来た。出入り口付近に立っていた僕達を見かけて、話しかけてきた様だ。
「あのさ・・・今日ユッキー・・・千葉柚綺ちゃん、来てる?」
「えっ、千葉さんですか?今日は欠席していますけど・・・。」
突然出て来たクラスメイトの名前に少し驚きながら、神崎さんが答える。
「そっか、やっぱり来てないんだ・・・。いきなりごめんね。有難う。」
少し困った様な表情を見せると、女子達は急ぐ様にその場を後にしようとする。
「千葉さん、何かあったの?」
女子達の様子が気に掛かり話しかけると、女子達は一瞬ビクリと硬直し、歩を止める。
「実はね・・・。」
女子達の話によると、塾の帰りに別れた後から千葉さんの行方が分からなくなっているらしい。彼女の家族と一緒に思い当たる場所は全て捜したのだが、まだ見つかっていない様だ。
「最近誘拐事件も騒がれてて、この辺りも物騒だし・・・。何か事件に巻き込まれたんじゃないかって心配してるの。」
顔を見合わせ、不安そうに語る女子達。
「ん~・・・俺達は見かけてねぇけど・・・クラスの中には、もしかしたら何か知ってる人が居るかもしんねぇな。クラスの皆にも聞いてみるよ。」
壮吾の言葉に、僕と神崎さんも頷く。
「有難う。何か分かったら教えてね。」
女子の1人が小さく手を振りそう言うと、3人はその場を去って行った。
「千葉さん・・・大丈夫でしょうか?無事だと良いのですが。」
クラスメイトの無事を願い、ギュッと両手を握りしめる神崎さん。
「僕も調べてみるよ。神崎さんも気を付けてね。」
「はい。」
僕達を包む空気が重く、張り詰めていくのを感じる。
早く何とかしなければ・・・。
焦る気持ちを抑える様に、僕はそっと目を閉じた。




