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夕暮れ時のとあるカフェの一角。養護施設での騒動を密かに観察する存在が3人。
「彼奴・・・まさかこんな所に潜んでいたとわな。」
ブラックコーヒー片手にくくっと愉快気に笑う牛鬼。その邪悪で残忍な狂気に満ちた瞳は、満里と晴支を鋭く強く捉える。
「同じクラスに居るんだし、気付いてたんじゃねぇの、白澤?」
白澤ー智嶋弥白の方へ身を乗り出し上目遣いで問い掛ける牛鬼。そんな彼の方へ静かに視線を向けながら、弥白は優雅な所作で紅茶を口に含む。
「上手く霊力を隠していた様で、全く分かりませんでした。彼の存在に気付けたのは思わぬ収穫でした。」
弥白はクスッと笑いながら落ち着き払った様子で牛鬼の問いに答える。
「めっちゃ面白そうだったなぁ!俺も2人で遊びたかったなぁ!!なあ、覚?」
「私は別に・・・。フルーツパフェ食べるのに忙しい・・・。」
頬杖を突きながら少し不満げな表情と声で問い掛ける牛鬼。対する覚は無表情で淡々と牛鬼の問いかけに答えながら、もぐもぐとパフェを食べ進めていた。覚のつれない反応に、牛鬼は「ちぇっ。」と面白くなさそうに舌打ちするのだった。
安倍晴明と蘆屋堂満 ― 約1000年前に活躍した2人の陰陽師が長い時を経て同じ時代に生まれ変わり再び繋がりを持つ。
その奇跡に、弥白と牛鬼は同時に笑みを浮かべる。弥白は氷の様な冷酷さの籠った笑みを。牛鬼は爛爛と目を輝かせ邪悪さの籠った笑みを。その残虐な闇を纏った笑みの奥で鋭く研ぎ澄まされていく殺意の刃は、2人の陰陽師に狙いを定め切っ先を向けるのだった。




