第1話 ミカン箱
久しぶりの連載です。(5話で一区切りの予定)
〇 朝の陽ざしが差す寝室
ベッドから半身を起こし、背中を見せているのは
裸で肩までの黒髪の少年(陽星)
ピンクブラウンの髪を背中までうねらせた一糸まとわぬ姿の女性(華子)はバリスタからカップへコーヒーを注ぎ入れる。
華子「コーヒー、飲むでしょ?」
陽星「はい」
華子「ミルクとお砂糖は?」
陽星「それは先に下さい」
華子「どういう事?」
陽星「飲むのは華子さんと同じブラックでいいです。だから“ミルクとお砂糖”は先に下さい」
華子「ああ……そう!」
華子は肩に掛かっている髪をピン! ピン! と後ろへ払い、上掛けの上から陽星の下肢を《《立膝で》》跨いで彼の両肩に手を置くと、陽星は華子の両胸に顔を埋め、舐り始める。
華子の手は肩から陽星の後頭部へ回り、陽星を胸に抱き締める。
華子の唇が薄く開き言葉が洩れる。
華子「お尻、置いていい?」
陽星が華子の裸の背中を引き寄せると、上掛けの上に置かれたお尻がゆっくりと前後する。
陽星「お布団の中、入ります?」
華子「そこまでの時間は無いから」
陽星「僕が汚してしまいそうです」
華子「そのままでいいのよ。どうせ捨ててしまうから」
と、動くリスムが早くなる。
陽星「そっか……やっぱり僕は用無し?」
その言葉に華子は陽星の顎をグイッと持ち上げ、彼の唇を舐め舌を差し入れて味わう。
華子「私の涙の味、分かった?」
陽星「はい……」
華子「ああ! あなたを連れて行けたら!!」と華子は強く強く下腹部を上掛けに押し付ける。
◇◇◇◇◇◇
〇 結局、同衾している二人。
陽星を抱き、その黒髪を撫でている華子
陽星「僕が段ボールに詰められた子猫なら、NYに着くまで大人しくしているのに」
華子「飛行機の貨物室で?」
陽星「もちろん! ちょっと想像してみてください」
華子「そうね……NYのアパートに着いて箱を開けたらお腹を空かせた子猫がみゃあみゃあ鳴いて……」
陽星「でも冷蔵庫にはまだ何もありませんよ」
華子「じゃあ、これね(と自分の胸に掌を添えて持ち上げる)」
陽星、華子の胸をねぶる。
華子「ワンちゃんじゃないんだ」
陽星「犬は嫌いです」
華子「どうして?」
陽星「昔、ある女に……『バター犬の方がマシだ!』って顔を押し付けられていましたから」
華子「女、憎い?!」
陽星「華子さん以外はみんな敵です!」
華子「私は……女も男も嫌いだよ。陽星くん以外は!」
陽星「僕は華子さんを裏切りません!」
華子「恩があるから?」
陽星「愛しているから!」
華子「私も! 愛してるから!」
陽星「だからNYで思う存分! 活躍して下さい!」
華子「私が用意した『ミカン箱』の中で待っていてくれる?」
陽星「だったら、箱の中のミカン、ジワジワ腐らせてもいいですか?」
華子「えっ?!」
陽星「だって僕を預かってくれる上司さんの事、実は憎いんですよね」
華子「まあ、あの人は……“不誠実”が世渡り上手の皮を被っているだけだから」
陽星「華子さんが望むなら! 僕の全てを使ってアイツの周りを……必ず腐らせてみせます!」
華子「望まないと言うなら嘘になるけど……私はそれ以上にあなたが大切!」
陽星「僕はこの身より華子さんが大切!」
二人、見つめ合い、熱い口づけを交わす。
華子「愛しているわ」
陽星「愛しています!」
華子、陽星の胸に頬を摺り寄せる。
華子「あのね、陽星!」
陽星「はい……」
華子「陽星、“大人の匂い”がする様になって来たから……教えた通りにしなさいね」
陽星「遵守します!」
華子「遵守だなんて! 本当に愛おしい!!」
陽星「ねえ! もう一度!!」
華子「いいわよ(と、深く陽星を抱き締める)」
陽星「こんな僕だけど! こんな事しかできないけど! 華子さんとの未来を信じています。だから『着けない初めて』だけは残しておきますね」
華子「じゃあ、これは緊箍児ね」と華子は“新たなパッケージ”を破って“陽星”に《《被せた》》。
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