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城出姫の旅  作者: のん
忠誠と情愛の天秤
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20/30

20.聖なる悪女へ告ぐ




「消え、た?」



一人声を出す私。

魔方陣を手早く消し始めるヘリィ。馬を馴らすメリー。

きっと皆、同じ事を考えているはずだ。

アルガンが皆の記憶を操り戦争を止めるまでには恐らく時間が掛かる。

それまでに少しの犠牲者でも救わなければ。



「あとは、あの死神の理性を信じましょう。

 私たちは戦場へ」



死神とは、ただ人を殺す悪魔ではない。

条件に依れば人を救う事だって出来る。




    *



ふと月明りを求めると、月は赤い。

漆黒の空も……赤い。

なんだ、私の目が赤いのか。赤く染まっているんだ。


そう、戦場へ辿りついたんだ。


歪んだ剣、使い物にならぬというのに人々は握り締め振り回す。

狂う程に生に依存し、愛しすぎている結果だ。

それが人間だ。だから憎しみが生まれ、理不尽な結果を招きだす。

……ああ、アルガン。

きっとアルガンが死神と化したのは私のセイでもあるのだ。



「エミィ、メリー?絶対、死なないで」



遠い遠い声。

戦場に行けば敵も味方も関係ない。

姫だろうが、平民だろうが、自分の生を守る為犠牲なんて気にしない。

……それが今の状況。


呪われた死神が天使となるとき、私たちは救われる。




いざという時の為、銃弾を懐に隠して。

さあ、戦争だ。



この引き金を引かないことを願って。




赤い、赤い、赤い、赤い。鮮血。

思わず美しいと呟きそうになるほど赤い。

醜い物を全て染めてゆく。

鳴呼、理性を保て。




迫りゆくは大きな男の背。

私の番だ。

私も……、このまま殺されるのか?

ふと指先に感じた物。

黒い銃弾の引き金をそっと握る。

これで私も大罪者。


目の前の男は赤い鮮血を吹き出しながら可憐に息絶える。



目的を忘れてしまった姫は狂いに狂う。



「エミィ!確りしなさい。理性を保て!」



遠くからヘリィの声。

そうだ、理性を保つんだ。



目の前を横切るのは、涙で目を腫らした青年。

この時、分かってしまったんだ。

この青年は……あの男の息子。

復讐に全てを捧げ、父を殺した私を憎んでいる。

どうしようもない絶望感。



恐怖に胸が駆られ、銃弾の引き金を握る。

が、絶望することになる。

弾丸が残っていない。


青年の青白い手が私の首に掛かる。

目からは涙が口からは憎しみの言葉が、溢れてゆく。

御免なさい。御免なさい。

首に痛みを感じる。だけど苦しいとは感じない。

このまま殺されてしまう方が、ずっとずっと楽ね。


激しい銃音が響く。

青年の手が離れてゆく。

如何して。如何して。

青年は……鮮血を吹き出す。

如何して、彼はなにもしていない。

狙撃者を目で追うが、消えるようにいなくなる。

誰でもないんだ、きっと。きっと、きっと。

戦争に関わってしまった平民なのだ、青年の息を殺したのは。



目を開いても赤い。目を閉じても赤い。




瞬、この間に何十万の命が吹き消されただろうか。

初めて知った戦争の恐ろしさに私も加担したのだ。

私は……犠牲者を救うことも出来なかった。

犠牲者を作ってしまったのだ。

何という事だ……。これじゃまるで――…。

大罪者じゃないか。





何か……、暴走ですね←え

主人公の性格変わっちゃ駄目じゃん。

そんなことをグータラ考えながら、書いてしまいました。

のーーーぉー

ぐはッ、次回からが不安です。

それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。

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