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ツカサの役割
「お前がなんのために産まれたのか。それは俺にもチーちゃんにも分かっていることだ。そして、俺には俺自身が産まれた理由も分かっている」
「ツカサ君。あなた、強過ぎるわよ。そんなことが分かっていて、なぜ平然としていられるの?」
「簡単なことだ。俺は――」
ツカサがすうっと息を吸い、怒鳴る。
「平然となんかしちゃいねえ!自分の行く末も知ってるんだ、怖くて怖くて仕方ねえんだよ!!」
ツカサを抱きしめようとする。振り払われる。構わず腕をつかみ、強引に抱きしめた。
「なんて孤独なのよ……チーちゃんや私がこんなにそばにいるのに、それも振り払って虚勢ばっかり。あなたに何があったの?」
「俺は、お前たちが存在するための存在だ。ただそれだけなんだ」
安定装置――なんて無機質な役割。でも。
「あなたには人格がある。少なくとも私は同じ身体に生きる家族だと思っているわ。役割なんて、どうでも良いじゃない」
「染み付いちまってるんだ。簡単に行くかよ」
「難しくは、行くのね」
「なんて屁理屈だよ」
初めてツカサが心からの笑顔を見せた。




