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第97話 エルフの里 四人目の正体

 皆の占いを見守った後、休憩場所が設けられたテーブルに集まった。


「ペトラ、確認だが異世界転生している人物は四人いるのか?」

「ええ……四人です」


 ペトラは歯切れの悪い口調でシェーナの問いに答えた。

 あの占い師が述べていたのは事実のようで、人間の女性に異世界転生している。


「異世界転生したのは、あの飛行機事故に巻き込まれた生徒なのか?」

「はい、間違いありません。シェーナさんと同乗していた飛行機事故の生徒です」

「その生徒の名前は?」

「……福原静江様です」


 シェーナはペトラが述べた生徒の名前に衝撃を覚えた。

 キシャナと初めて出会って、上機嫌に酒を交わした晩の時だ。

 好きだった娘の名前をお互いカミングアウトした時に、キシャナが名前を挙げていた。

 シェーナはキシャナが彼女の名前を挙げた後、女ダークエルフに異世界転生して寂しげな表情を浮かべていたのを覚えている。


「ペトラは異世界転生した福原さんがどこにいるか把握しているの?」

「……把握しておりますが、お会いになるのは難しいかと思います」

「それはどうして? まさか……ひどい怪我を負って動けないのか!」


 シェーナは会うのが難しいと聞いて思案を巡らせると、怪我や病気で床に伏せていると考えた。

 それなら、グラナにお願いして回復魔法で完治させてあげたい。


「グラナ、すまないが回復魔法で……」

「違うんです! 彼女は病気や怪我で会えないのではありません。シェーナさんやルトルスさんは元騎士で名前をご存知だと思いますが、シェルカ・ヒュムリスと言う名に聞き覚えはありませんか?」

「えっ……いや、ちょっと待ってくれ! そんなことって……」

「シェルカ・ヒュムリスはヒュムリス王国の第一王女の名だ」


 ペトラは悲痛な叫びで理由を述べると、一人の名前を挙げた。

 シェーナはテーブルを叩くと、ルトルスはシェルカ・ヒュムリスが西の大陸で覇権を握ろうとしているヒュムリス王国の第一王女だと告げる。


「ああ、そういえばディアンの野郎が言っていたな。ハルセンティス大陸を攻略した後、次はヒュムリスだと」

「そのヒュムリスです。残念ですが……四人揃うことはないでしょう」


 グラナは魔王時代にルトルスの直属の上司で従者関係を結んだディアンからヒュムリスを含めた強大国の情報は耳に入っていた。


「彼女にもペトラのような神様が派遣されたりしているの?」

「勿論、私の後輩が配置されています。お互いに連絡は取り合っていますが……」

「何か問題でもあったの?」

「以前、シェーナさんやキシャナさんに申し上げましたが、お二人に人生の支援をするために派遣されました。神界に影響を与えない程度の支援は許可されていますが、彼女は大陸覇権のために後輩を使役しています」

「……本当なのか?」

「心苦しいかと思いますが、全て事実です。四人目の異世界転生者に関しては黙っているつもりでしたが、まさか占いを通じて存在を知られるとは予想外でした。黙っていて申し訳ありませんでした!」


 ペトラはシェーナに土下座すると、彼女を責める気にはなれなかった。

 自分の後輩を戦争の道具に使役しているだけでも身が裂けそうな思いの筈だ。

 シェーナやキシャナに配慮して、クラスメイトだった生徒が大陸の覇権争いを巡って争うヒュムリスの人間だと知れば、ショックも大きい。


「頭を上げてくれ。ペトラには余計な気を遣わせてすまなかったね。後輩は大丈夫なの?」

「定時連絡は入っているので大丈夫です」

「それはよかった。すまないが、皆にお願いがある。キシャナには四人目の異世界転生者については黙っていてくれ」


 シェーナは前世でキシャナが好きだった人が福原静江だと打ち明けると、その場にいた者は目を伏せてやりきれない思いだ。

 これ以上、キシャナが悲しむ姿を……親友の心が壊れるのを見たくはないのだから――。

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