第44話 開店の仕込み
明日の開店に備えて、キシャナは大鍋に牛すじ肉の赤ワイン煮込みを仕込んで念入りに味を調えていく。
シェーナはルトルスにパンケーキとクレープの作り方を教えていく。
「後は両面を焼いて、はちみつや特製ジャムを盛り付けてパンケーキは完成だね。試食してみてよ」
「ふわふわな食感とはちみつの甘さが綺麗に混ざり合って美味しい。子供や女性が喜びそうなデザートだな」
キシャナのレシピ通りにパンケーキを作ってみたが、どうやら味に問題はなさそうだ。
ルトルスも続けて教えられた工程でパンケーキを作ると、特製ジャムを使って可愛らしいネコの似顔絵を描いて見せた。
「えっ!? これは食べるのが勿体ないぐらい可愛いなぁ。ルトルスにこんな特技があったのは知らなかったよ」
「見た目も楽しめたらと思って描いてみたが、気に入ってくれてよかった」
カメラやSNSがあれば写真に保存したいぐらいだ。
味も申し分ない出来栄えで、店に提供できるレベルで、キシャナもルトルスが作ったパンケーキの完成度に驚きの声を上げる。
「これはすごいな! ルトルス、他に何か描けたりできる?」
「そうだな……」
ルトルスは即興で犬、鳥、耳長が特徴的なダークエルフのキシャナを描いて見せる。
シェーナとキシャナは完成度に目を丸くすると、キシャナはルトルスの手を握って懇願する。
「ルトルス、君にパンケーキ担当を任せたい!」
「えっ、でも定期的に『闇核』を入手しないといけないから、私が留守の期間はどうする?」
「簡単な動物の絵を描けるレベルまで上達できれば、私とシェーナでカバーする」
「そういうことなら、喜んで協力するよ」
こうしてルトルスはパンケーキ担当に就任すると、続いてクレープの作り方に入る。
ボウルに強力粉、砂糖、塩を入れてかき混ぜると、フライパンに油を敷いて火をかける。
火は弱火ぐらいに調節して、ボウルにかき混ぜた物を一気に流し込んで薄く広げていく。
色づいてきたら、ひっくり返してクレープ生地の完成になる。
「これで生地の完成だね。後は特製ホイップクリームと果物を包んでいけばクレープの完成」
シェーナは食材からイチゴとホイップクリームを取り入れてイチゴホイップをルトルスに試食してもらう。
「パンケーキとは違ってクレープは食べ歩きながらでも大丈夫そうだな」
「そうそう。俺やキシャナもよく前世で食べ歩いたりしてたよ。今回はイチゴを選んだけど、バナナやミカンも入れたりして味を変えることもできるよ」
ルトルスも実践してクレープ作りに挑戦すると、バナナホイップを完成させてシェーナは試食をする。
「うん、バナナも美味しいね。クレープやパンケーキの作り方は大体こんな感じだけど、質問とかあるかな?」
「いや、大丈夫だ。暇な時には私なりにパンケーキやクレープをアレンジして作ってみるよ」
シェーナは人に料理を教える機会はなかったので、、伝わらない部分があったらどうしようかと思ったが、どうやらその心配はなさそうだ。




