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第358話 ロクでもない連中

 シェーナを含めたこの場にいる全員がその場で固まったまま、部屋を後にした五人の姿が目に焼き付いていた。


「正気とは思えない。彼等を呼び寄せて、惑星を滅ぼすつもりですか!」


 ミュースに詰め寄るペトラは声を荒げると、ひどく狼狽している。

 それだけ、あの五人がとんでもない連中なのはペトラの様子を見ていれば伝わって来る。


「ペトラ、彼等は一体何者なんだ?」


 シェーナがペトラに問い掛けると、ペトラは視線をシェーナ達に向けるが、すぐに視線は床に落とし、ペトラは口を噤んでしまう。

 ミュースはペトラを近くにある椅子へ座らせ、彼女が代弁して語り始める。


「彼等は『果ての部隊』と呼ばれる特殊部隊で、今回のような……特殊な案件を解決するスペシャリストです」


 ペトラの上司であるミュースが太鼓判を押して評価しているが、ペトラの焦った様子からシェーナを含めたこの場にいる全員が額面通りの真っ当な連中ではないのだろうと感じ取っている。


「少数精鋭のエリート部隊、その中身は只の戦闘狂さ」


 ペトラはミュースの説明に本質を付け足すと、場の空気は一層重くなる。

 ペトラ自身も一度得物を握れば、剣神ペトラの異名に恥じない剣技を披露する事は承知している。

 その勇姿から、剣士として十分な素質がある事も――。


「随分なご挨拶だな」


 出入り口の扉が蹴破られ、先程出て行った『果ての部隊』の一人がズカズカと不機嫌に歩み寄って来る。

 きっちり着込んだ白スーツ姿に髑髏のネクタイを締めた青年で、すぐ傍にいたミュースを押し退けてペトラの前に立つ。


「今回の失態について反省どころか我々を侮辱するような発言は聞き捨てならない」


「私は事実を述べただけだが? 癇に障ったのなら謝ろう」


 足を組みながら、ペトラは水が注がれたグラスに手を付ける。

 その態度に青年は鼻で笑うかのように、ペトラへ向かって言葉を投げかける。


「お前の弟、残念な結果になったな。今頃は運命の女神にでも消されているだろうが、姉弟揃ってロクでもない連中だ」


「私はその通りだが、弟は……カルティアは違う。あの子はあの子の正義を貫いた」


「正義だと? お前の弟がやっている事は外の人間絶対殺すマンだろうが。おー、怖い怖い。弟がこんな調子では姉もどうだかなぁ」


 挑発する青年にペトラへ揺さぶりをかける。

 ここで問題を起こしたらどうなるか、ペトラ自身が一番良く理解している。

 我慢して堪えるペトラに青年は執拗に絡んでいると、見兼ねたルトルスが青年の肩を掴んで見せた。


「いい加減にしろ」


「お前はたしか……ああ、記録にあったガフェーナの生き残りか。なかなかどうして、実に運が良い」


「何だと?」


「だって、そうじゃないか。五大国を完全に敵へ回し、もう後がないところへ魔神王を復活させようとしたが、軍産複合体を招き入れた。結果はどうあれ、魔神王を復活させていたら結局我々に滅ぼされていただろうし、こうして生き延びる事ができた。加えて、ガフェーナを乗っ取った軍産複合体も今回の案件で我々が手を下す事になり、国を滅ぼした元凶を潰せる。君にとって、こんな幸運な事はないだろう」


 既にシェーナ達について身辺の調査は済んでいる。

 ルトルスの過去も例外ではなく、触れられたくない部分を土足で平然と語る青年にルトルスは青年を突き飛ばす。

「ふん、揃いも揃ってロクでもない連中だなぁ!」

 突き飛ばされて曲がったネクタイを整えながら、青年は周囲に聞こえるような大声で大げさに振舞った。


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