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幕間その2 012 013 028

これは崩壊災害の少し後のそれぞれのエリアの様子である…


ーー


エリア012。


『エリア666で暮らしていた人々の中で避難出来た人々はごく僅かでした…この未曾有の大災害に対する今後の対策は各エリアの政府が…』


この様なニュースが報道される事も少しずつ減っている。原因が未だに不明瞭なので、報道できる内容も限られて来るのだ。


一橋朱音は下校中で、巨大な時計塔がよく見える公園の中を通る。文化遺産でもあるので、時計塔目当てでこのエリアを訪れる人も多い。


彼女の日常は崩壊災害以前と変化は特に無かった。この日もいつも通り、両親に「ただいま」を言う事ができた。


一橋一家の生活は現在平穏そのものであると言える。数ヶ月前に朱音がアナザーアースのブラックエリアの賭場に囚われた事があったが、探偵である鼎によって無事救出された。


(そう言えば、鼎さんはどうしてるのかな)


朱音は気になって両親にお願いして連絡を取ろうした事もあったが、向こうは相当多忙らしい。今のところはまだ探偵を続けているという事しか分かっていない。


(大丈夫なのかな…)


朱音は内心では不安だったが、それを表に出す事は無かった。幼い少女には積極的に危険に関わる勇気など無かった。


エリア012は平和そのもので、住民達の暮らしは変わらなかった。


ーー


エリア013。


元から治安が悪いエリアであり、崩壊災害の前後で変化はない。エリア013で暮らしている花野美来と妹である汐音も、相変わらず苦しい生活を強いられている。


「お姉ちゃん、学校どうだった?」


「大丈夫大丈夫!体調崩したりしてないよ!」


美来の健康そうな様子に、リハビリの成果が表れていた。アナザーアースに囚われて昏睡状態になる以前から活発な少女で、調子を取り戻しつつあるという事だった。


汐音はホッとした様子を見せて、安心していた。エリア013の人々の営みは、今のところ大きな変化はない。


ーー


エリア028。


ゲーム『unreal survival』では解体魔人として有名なエリシアも、エリア028では両親と一緒に暮らしているただの学生だった。


「このエリアは大丈夫なのかしら…あの工事核兵器作ってたんでしょ?」


「大丈夫さ。とっくにあの工場は廃墟になってるよ」


夕食の後、そんな会話をしているのはエリシア・ハミルトンの両親だった。どうやら母親は崩壊災害の事が当然ながら不安らしい。


エリシアも同じだったが、態度に出す事は無かった。不安を感じ続けている事を自覚すると、それに押し潰されてしまう。


(そう言えば桃香って子、見なくなったな…飽きてやめちゃったのかな)


少しだけだが一緒にプレイしていた桃香・グリフィンという少女の事を、彼女はちゃんと記憶していた。桃香は明らかにゲームが上手く、プロゲーマーとしても生計を立てれそうに見えていた。


(ブラックエリアの賭場の管理人らしいし、色々忙しいのかな)


エリシアとしてはこれ以上ブラックエリアに関わりたいとは思っていなかった。ハートの頼みも断り、特に新たな連絡も無いので関わる理由も無かった。


ーー


エリア028のダウンストリートにある洋風の屋敷。


そこで1人で暮らしているのはハートという少女だった。仮想現実アナザーアースを開発した7人のプログラマーのうちの1人の娘である。


彼女は一人暮らしだったが、資産には充分な余裕があった。屋敷や家具はそれなりに豪華だったが浪費はせずに、普通に学校に通う生活をしていた。


エリア010に行った父からの連絡は、崩壊災害の後も無かった。明確に死んだとは思っていないが、父が何をしているのか気になっていた。


(私は私で、真相を追うしかないか…)


ハートは大型コンピュータを駆使して、複数のサイトを検索していた。パスワードを突破して各エリアの政府の機密情報を漁っているのだ。


彼女なりに真相を目指しているのだ。

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