ここからは俺のターン!…あれ?
発狂して本日三度目の更新。
不定期って止めたほうがいいですよね…。
全身が焼けるような熱さを感じる。
フーっと息を噴き出せば、高温で蒸気ができる。
身体能力が爆発的に上がった理由は簡単。
ただ、体の限界以上に闘気を巡らせただけだ。
これまでは戦闘に支障が出るため、いくら気力が無限にあったとしても、限界というものがあった。
だが今まで以上の再生力があれば、限界以上に強化しても、耐えられるんじゃないか?と、考えただけだ。
簡単な話だ。
過剰に強化して、体が壊れ始めても、それ以上の速度で回復すればいい。
しかし、そんな単純な切り札でも、効果は絶大だった。
骸魔の斬撃にも余裕で対応できる速度。
斬撃を受け止めるきれる頑強さ。
そして奴を水平に吹き飛ばせるほどのパワー。
先程と比べても異常なほどの戦闘力だといっていいだろう、
もちろん、代償も大きい。
体内を巡る闘気のあまりのエネルギーに、全身から高熱を発し、至る所が弾け、血が噴き出している。
現に今も、腕が同時に何箇所も裂け、血があふれ出している。
それを同じような速度で再生し、抑え込んでいる状態だ。
もはや、どこが痛いなどという感覚はなくなった。
それも今だけは都合がいい。
「…なるほど、命を捨てたか貴様。愚かなことを。その体では、あと僅かも持つまい。幾秒も待たずに体がはじけ飛んで死ぬだけだ。それではたとえ俺を倒しても、勝ったことにはなるまい。」
「いや、これ一応治るみたいですが…。」
「……化け物か、貴様…。」
酷い言われようだ。
「ならば、俺も本気を出さんと勝てんな。久しぶりに全力で剣を振れる機会ができそうだ。感謝しなければな。」
おいおいおいおい、まだ本気じゃなかったのかよ!
これ以上やられんのは勘弁してほしいんだが。
…はぁ、やるしかないな。
無言で睨み合う。
そして、動き出したのは奇しくも全く同時だった。
両者とも僅か一歩で互いの間合いに踏み込み、拳と刃を打ち合わした。
一合打ち合っただけで、パァンと空気が破裂し、二人を中心にもの凄い風が吹き荒れた。
二合目。唐竹割り、切り返して左薙ぎ、バックステップで距離を取れば閃光のような速度の刺突が追いかけてくる。
複数の方向から迫る刃を、勘だけで避け、弾く。もう《世界眼》では速度についていけなくなっていた。
拳に闘気を集中させて振るう。
迎撃に直突、手刀、縦拳、裏拳、回避されればその勢いのままに体を回転させて下段蹴り。バランスを崩した一瞬の隙を狙って、顔面に肘を叩き込む。
が、上手く受け流され、互いの体を蹴って距離を取り、もう一度踏み込む。
高速の刃と拳が交差し、宙に無数の火花が散った。
止まらない剣戟、拳戟、剣戟。
周囲の空気が過熱し、気温が爆発的に上昇する。
地を砕くほどの勢いで踏み込み、幾度も互いの位置を入れ替えながら打ち合う。
…さっきまでは全く本気じゃなかったみたいだな。
身体能力では勝っているはずなのにギリギリ追いつくのがやっとな速度だ。
だが、戦力は拮抗し始めた。
脆い骨の体では一撃当たるだけで致命傷だろう。ならば、全ての攻撃を回避し、あるいは剣で防ぐしかない。
対する俺は、たとえ斬られても一瞬で回復できる。持久戦に持ち込めば、こっちの勝ちだ。
バツンッという音を立て、一秒に数十回にも及ぶ打ち合いを止め、また俺たちは距離を取った。
油断なくこちらを見据えながら、骸魔が言った。
「なるほど、一番厄介なのはその再生力か。ならば俺も奥の手を使わせてもらうとしよう。」
まだあるのか…。ラスボス並みにあるな、こいつ。
「断ち切れ、妖刀 断絶」
骸魔がその刀の銘であろう名を呟くと、刀身が不気味な輝きを放ち始めた。
そして剣を振り上げ、斬りつけてきた。
刀の変化に目を奪われていた俺は、咄嗟に身を反らしたが、回避しきれなかったようで、胸から血が溢れ出し、思わず膝をついた。
「…傷が治らない…!?」
どうやら、それがあの刀の能力らしい。
「この刀でお前の体を囲む空間ごと斬った。いくら再生能力が高かろうが、治すものが何も無いのだから、その傷は塞がらんぞ。」
…すげぇチート武器じゃねえか!
なんだそれ。空間ごと斬るってカッコいいな、おい。
だが、これはかなり不味いぞ。
闘気を抑え込んでいるほうはちゃんと発動しているが、斬りつけられた箇所が回復しないのなら攻撃を回避するしかなくなる。そしたら、今まで持っていたアドバンテージがなくなってしまう。
ならばどうするか、
…もう更に身体能力を強化するしかないじゃん。
え、ちょっと待て。まだやんの?そろそろ死ぬぜ?タケル。