決着
更に闘気を巡らせる。
もはや内側から溢れるエネルギーを抑えきれなくなり、身体の至る所が発火した。
あぁ、これ以上は持たないな。
そろそろ限界が来そうだ。
ぬらりとした特殊な歩法で、認識できない速度で骸魔が襲い掛かってきた。
ズガァン!
轟音を立てながら地面を蹴り、陥没させながら同じ速度で距離を詰める。
斬撃を避けながらすれ違いざまに貫手を放つが、寸前で回避され、僅かに掠った部分から破片が散る。ダメージというのも程遠い。
今度は飛び上がると近くにあった木を蹴って縦横無尽に跳びまわる。
そうして高速で機動しながら、死角からの攻撃を試みるが直前で察知されてしまう。
本当に異常な気配察知と見切り能力だ。俺と同じ《世界眼》でも持ってるんじゃないか?
ついに接近したところを巧みに撃ち落され、地面に転がった。
「だぁああああああ!いい加減なんかくらえよ!」
そう叫びながら俺は突っ込んでいき、渾身のドロップキックを放つ。
ガードするものの、勢いに押し切られ、骸魔が吹っ飛んでいった。
が、そのまま宙で一回転すると華麗に着地し、追撃しようと追いかけてきた俺に逆に斬撃を放つ。
勘だけでその軌道を認識すると、そのタイミングに合わせて骸魔の腕を抱え込み、腕を極め、そのままへし折ろうとする。
されども流石の反応速度で刃を横向きにし、脇腹を斬りつけながら強引に抜けられてしまった。
そして近距離で取り回しの悪い刀身でなく、柄頭で斬った。
いや、チート過ぎるだろ!
完全に反応が遅れてしまった俺は、僅かに身を反らしたが、額から左眼にかけてをすっぱりと切断され、視界が狭まってしまった。
舌打ちをしながら、バク転の要領で後ろに跳び間合いから外れる。
マズイマズイマズイ!大分不利になってきたぞ、これ。
あいつの攻撃は全部回避しないといけないし、視界が狭まったせいで更に攻撃が認識しつ゛らくなった。
しかもそろそろ無理矢理抑え込んでいた身体強化のほうも限界が近い。
取り敢えず頭を振って血を払う。
息を吐きだし、構える。
もうとっとと決めるしかねぇよ、これ。
全身に闘気を巡らせ、練って、増幅し、強化する。
体から赤銅色のオーラが噴き出し、地面が揺れる。
今にも爆発しそうだが、短い時間なら持つだろう。
そしてもう一度、踏み込む。
一瞬で彼我の距離を吹っ飛ばし、殴る。
流石の速度で向こうも追いつき、迎撃する。
振り下ろされた太刀を躱し、カウンターの打撃を放つ。
まるで瞬間移動でもしたかのように表れては打ち合い、消えたかと思うと、いつの間にかまた離れた場所で剣戟の音が響く。
もはや常人には認識すらできない絶速の領域で、数え切れないほどの攻防を繰り広げながら、次の一手、その次の一手、その次の次の次の次の次まで考えて、いかに自分に有利なように立ち回れるか自らの思考を吟味する。
それはまるで詰将棋のようでもあった。
怒涛の勢いで苛烈に攻め込むのとは裏腹に、脳内はどんどん冷静になっていく。
刃のように研ぎ澄まされた感覚の中で、ただひたすらに勝利のための一手を放ち続ける。
そして、五感が拡張され、視界がスパークし、敵の攻撃を全て見切ろうと睨んだその瞬間、
『スキル《世界眼》が《天眼》へと進化しました。これより、このスキルの保持者を
《天眼の担い手》と設定します。…………………設定完了。起動コマンド発動、
其は天より遍くものを認識し、救済する、開眼せよ、《天眼》 』
眼が、啓いた。
そうとしか表現できないような、感覚だった。
まるで今まで閉じていた目を開いたかのように、世界が鮮明になった。
骸魔の認識不能な斬撃が、止まって見える。
その剣の細かい意匠まで観察でき、巻き上がる砂埃の一粒一粒まではっきりと視認できる。
まるで時間が止まったかのようなゆっくりとした流れの中で、俺の意識だけが存在していて、その体は迎撃に必要な理想的な動きをとった。
振り下ろされた刃の側面に開いた手の甲を滑らせ、流れるような動きでその軌道を変えながら、手首を回し相手の腕に絡め、肘を曲げて剣を挟み込んだ。
そしてそのまま腕を極め、刀を奪い取ると、全力で相手の急所と思しき心臓のあたりにある結晶に突き刺した…。
最後の動きについては、なにをしているのか全然分からない方も沢山いらっしゃると思いますが、護身術の
武装解除を参考にしましたので、気になる方はそちらを検索していただけると、なんとなく
イメージがつくと思いますのでご了承ください。
…ついでにポイント評価とブックマークもお願いします!(←どさくさに紛れてなんか言ってるw)




