Ⅱ:傲慢は時に、名案となる
炎の天使は、天使会合の会場である、赤の大陸の大穴の中に入った。
入った瞬間……
ビュゥン……!
穴の中から斬撃が飛んできた。
「っ……!」
炎の天使は間一髪でそれを避けた。
「随分な重役出勤だな!エリファリア!」
「ほう……。妾に先手を仕掛けるとは……いい度胸じゃな、レフィリファ!!!」
「今日こそ決着をつけさせてもらうぞ……!」
そう言い、穴の中から漆黒の翼を持った天使が、すごいい勢いで出てきた。
「やめてください!!!」
魔力の天使が、炎と、闇の天使の間に割って入った。
「じゃまするな!マリネファス!!!」
闇の天使が声を荒げた。
「今は争う時間じゃないでしょう!!!他の属性の天使たちが、怒ってますよ!!!」
「んなこと知ったこっちゃねえ!!!オレは、こいつと決着をつけなきゃならないんだよ!!!」
闇の天使は、炎の天使に向かって突撃した。
「はあ……。ケルベロスに言いつけますよ?」
魔力の天使が低い声で言った。
「っ……!!!」
闇の天使は一瞬で動きを止めた。
「それだけは……やめてくれ……」
闇の天使はそれだけを言い残し、穴の中へ降りていった。
「ふん……。まるでケルベロスの犬だな」
炎の天使は、その姿を見て見下すように言った。
「エリファリアも、早く降りてきてください!!!」
炎の天使は、渋々穴の中へ入っていった。
炎の天使は円卓に座った。
他の属性の天使が、自分を睨むように見てきた。
「これで全員揃いましたね?じゃあ、第九回天使会合を始めます。司会はいつも通り、私マリネファスが勤めます。今回の議題は……世界の魔力のこともそうですが、それよりも重要なことがあります」
魔力の天使が少し、低い声で言った。
「あれですか……?寿命がってやつ……」
光の天使がぼそっと言った。
「ええ。私たち天使は、この世界を30万年ほど見てきましたが……。あと1万年もしないうちに全員死にます。まあ、寿命を伸ばす方法も存在するのですが……」
「ああ……人間に憑依して、人間の魔力を貰うってやつね」
水の天使が、半笑いで言った。
「はい……。その通りです。ですが……」
魔力の天使は、他の天使の顔色を伺った。
「マリネファスさん……。顔色を見なくてもわかるでしょう?私たち人間が嫌いなのですよ?」
土の天使が言った。
「ですよね……。でも、どうするのですか?私たちが死んだら、魔力の均衡が崩れて、世界が滅びますよ?」
「んなこと知ったこっちゃねえよ!そん時は、そん時だろ!」
闇の天使が言った。
「でもなぁ……妾は長生きしたいな〜……。と言うよりかは死にたくないなぁ……」
炎の天使がぼそっと言った。
「長生きだあ?なんだお前、人間に憑依するってのか?」
闇の天使が、挑発するように言った。
「そんなことするわけないじゃろ。なんで妾たちが、世界の上にいるのに下等生物に憑依しなきゃいけないんじゃ?ああ……でも、お前みたいに、五獣にぺこぺこするような輩もいるしな……」
炎の天使は見下すように言った。
「てめぇ……!!!そんなに長生きしたいのなら、フェネクスでも殺して、自分が力を受け継げばいい!!!まあ、フェネクスは不死だから殺せないがな!!!」
闇の天使は、笑いながら言った。
「いや……それはありかもしれん……」
炎の天使は、閃いたかのように言った。
「そうだ!それだ!!!レフィリファ、お前たまには役立つな!!!」
「は……?」
死神は困惑した。
「じゃあ、妾は今から、フェネクス殺してくるわ!」
「は…………?」
周りの天使が、声を揃えて言った。
炎の天使は、周囲が困惑している中、羽ばたこうとした。
「待ってください!あなた、正気ですか!?五獣を殺すのは、大罪ですよ!?」
魔力の天使が、驚いた声で言った。
「正気じゃ!妾は、フェネクスを吸収して不死になる!!!」
そう言って、炎の天使はフェネクスの元へと、飛び立った。




