65話「誓約姫フロリネフ」
「あいさつ回りに行きますわ。お供をお願いします、パウリック」
「御意に」
レヴィグダードとパウリックの対談が終わった後。
俺はパウリックと共に、ヤイバンの貴族たちにあいさつ回りをすることにした。
この宴の参加者にとってのメインイベントは『パウリック・レヴィグダードの対談』だったが、俺にとってのメインイベントはこれからだ。
「始めまして! リシャリ・サリパールと申しますわ!」
「おお、これはサリパの姫君。お初にお目にかかりまする」
得意の社交技術で、友誼を振りまく。
ここでどれだけ『良い印象』を植え付けられるかが、今後の外交に大きく関わる。
俺は王女微笑みを振りまき、ヤイバンの重鎮たちに挨拶してまわった。
「随分鍛えてらっしゃるのですね」
「分かってくれますか、リシャリ姫」
「さぞ勇敢な戦士なのでしょう?」
「私など、レヴィグダード様に比べれば若輩で」
ヤイバンの重鎮は、武官寄りの人が多い印象だった。
どこを褒めてほしいのか、認められたいのかはわかりやすかった。
「レヴィグダード様、お初にお目にかかりますわ」
「リシャリ姫。これはどうも、ご丁寧に」
「貴殿の活躍は、兵からよく聞いておりますの。ヤイバン軍の屋台骨であると」
サリパと比べヤイバンの人たちは、融通が利かず頑固な印象だ。
ヤイバン人は約束を重んじ、『人を裏切る』ことは悪徳とされている。
なので最初ヤイバン王がサリパと同盟を表明した際、非難轟々だったらしい。
デケンを裏切った国と、なぜ手を結ぶのかと。
「いや、素晴らしい。リシャリ姫は話しやすく、理性的だ」
「前の王子とは違い、ちゃんと我らへの敬意を感じる」
しかしヤイバン王から説明を受け、『サリパがデケンに裏切られた』という認識になった。
だから『助けを求めてきた小国サリパを救うのは、仁の道』として納得してくれたようだ。
「リシャリ姫に裏の思惑や下心はなさそうに見えるな」
「彼女は誠実な人柄なのだろう」
それと悲しいかな、俺は王族の中で最もアホである。
誠実というわけではなく、腹芸する頭脳がないだけだ。
だからこそ、この国では信頼されやすいと言えなくはないが。
「む、それは本当か」
レヴィグダードさんを含め、ヤイバン貴族の大半に挨拶を終えた後。
座っていたヤイバン王に、執事らしき人が耳打ちをしていた。
「おい、リシャリ姫。少し話がある」
「何でしょうか、ヤイバン王」
「今、面白い報せが届いてな」
ヤイバン王は知らせを聞いた後、少し難しい顔をして俺を呼んだ。
面白い報せ、という割には微妙な表情である。
「半月後、デケン帝国のずっと北にある島国、アイギスランドから使者が来るらしい」
「アイギスランドから使者、ですか」
その話の内容とは、
「我らと同盟を希望しているそうだ」
デケン帝国の北に位置する島国、アイギスランドからの同盟交渉だった。
アイギスランドと言えば、デケンの北側の戦線で戦争真っ最中の国である。
しかしここ数年、デケン軍の物量に押し込まれて惨敗をし続けていた。
現在は大陸の領地はほぼ失い、住民は外れ島に避難しているという。
その島はそれなりの大きさのようで、現在は海戦で抵抗を続けているようだが……。
「アイギスランド軍が先日大攻勢に出て、大陸領土の一部を取り返したそうだ」
「ふむ」
「この勢いに乗ってデケンに侵攻したいらしく、我らヤイバンに共闘を求めてきたというわけだ」
「それは、良い話ですわね」
おそらくサリパ・ヤイバン連合の奇跡の勝利の影響だろうか。
デケンの海軍がサリパに向かった隙を突いて、アイギスランド軍が大陸領土を取り返したらしい。
今後アイギスランドは、デケン首都に向けて進軍する方針だそうだ。
そこで、同じく大陸の『反デケン勢力』でヤイバンに同盟を求めてきたのだろう。
「確かに悪い話ではない。だが問題は、使者が信用に足るかどうかだ」
「ヤイバン王は、使者の人柄を大切にされておられるのですね」
「外交は信用によって成立するからな。いかに良い話でも、使者次第では送り返す」
やはりヤイバン人は、義理や信用を重視する国らしい。
出された条件次第ではなく、使者の人柄で判断するとは。
「安心しろ、リシャリ姫。貴国らとアイギスランドでは、優先するのは貴国だ。それが筋だ」
「……ご厚情、感謝に堪えませんわ」
この人は時折、義理人情にほだされて間違いを犯すかもしれない。
だけどその性質ゆえに部下から信頼されやすく、裏切られにくい。
これもまた、一つの王の在り方なのだろう。
娘も切り捨てる国王とは、また違ったタイプだな。
「して、どうだリシャリ姫。アイギスランドとの会談、同席してみんか」
「私も同席してよろしいのでしょうか」
「サリパ陣営に敬意を払うのか、小国だからと軽んじるかを見たい。貴国も、アイギスランドと接点を持てるのは悪いことではないだろう」
「なるほど」
サリパとしても、ヤイバンとアイギスランドの同盟に一口噛めるなら噛みたい。
本来は相手にされない国力差だが、ヤイバンの口添えがあれば交渉くらいは出来るだろう。
「よろしいのでしたら是非、同席させていただきたいですわ」
「分かった。では会談の日まで滞在していくと良い、リシャリ姫」
「ご厚意ありがたく思いますわ」
これは千載一遇の好機だ。
ヤイバンに同盟交渉にいったついでに、アイギスランドとも同盟を結んでやれば父上も喜ぶだろう。
サリパみたいな小国にとって、軍事同盟なんて何ぼあっても良いですからね。
「ではこの会談が終わり次第、ドラズネストに向かいますわ」
「分かった。すまんがメウリーンの説得、手伝ってくれ」
軍事同盟が締結した後にドラズネストに向かう予定だったが、日程が延びてしまうな。
季節が変わるまでにサリパに帰れたらいいか。
「というわけでパウリック。半月ほど日程が延びますけど」
「私の方から一筆書いておきましょう」
「ありがとう、お任せしますわ」
今回のデケン帝国の侵攻は、過去で類を見ないものになるだろう。味方は、一国でも多く増やしておくべきだ。
そう判断した俺は、アイギスランドとヤイバンの同盟交渉に同席させてもらうことにした。
……この迂闊すぎる判断をした自分を、俺はしばらく呪いたい。
アイギスランドという国を一言で表すなら、雪の島国だ。
国土は決して広くなく、ヤイバンの半分ほどしかないらしい。
だが特筆すべきは、その立地にあった。
大陸から数十キロメートル離れたその島国は、最強のデケン海軍が攻めあぐねる海上要塞になっていた。
まず海流に乗って北上すると、鋭い岩壁が立ち並んだ厚い氷に覆われた海岸へ辿り着く。
生半可な船だと、上陸する前に座礁してしまうことだろう。
上陸できたとして、砂浜の先は険しい谷間となっており、守るには絶好の立地だった。
素直に正面から侵攻すると、全滅は免れない。
そのためデケン海軍は、迂回して別の上陸路を探す必要があった。
しかしアイギスランドの沿岸部は海流が緩く、風向きも不規則だった。
そのためこの世界の技術では、安定した航路を取るのが難しかった。
さらにアイギスランドの海軍は弱くない。
世界最強のデケン海軍に渡り合える程度に、練度は高かった。
それで、海を挟んで両国の戦線は拮抗していた。
だが本来アイギスランドは、大陸の沿岸部も領有していた。
その領地は交易拠点として重要な都市だったそうだ。
しかし十年前、デケン軍の侵攻でその領地を強奪された。
そこから十年以上、デケンとアイギスランドは戦争を続けており……。
先日、デケン海軍が薄くなった隙を突いて、アイギスランドは念願の『大陸沿岸領土』の奪還に成功した。
「アイギスランド皇国、フロリネフ誓約姫がご到着されました」
「うむ、通せ」
そんな状勢で、十年ぶりに大陸拠点を得たアイギスランド。
次に彼らが行ったのは、最寄りの大国であるヤイバンへの同盟交渉だった。
アイギスランドは海戦だと強いが、陸戦に慣れているわけではない。
また決して、国力に余裕があるわけではない。
なので、ヤイバンに同盟を求めるのは自然な流れだった。
「誓約姫って何ですの?」
「国王から『全権を委譲する』ことを誓約された者だ」
「なるほど」
そのヤイバンへの使者として、アイギスランドは誓約姫フロリネフを送り出した。
つまりフロリネフさんは、国王とほぼ同等の権限を有しているそうだ。
アイギスランドの本気がうかがえる外交官である。
「さて、信用できる者だと良いのだが」
ヤイバン王はそう言うと、中央の王座にどっかりと腰を下ろした。
俺は少し離れた来賓席に、パウリックと共に腰かけている。
ヤイバン王がその使者を気に入らなければ、その場で追い返し。
気に入った場合、俺も紹介してくれるという流れだそうだ。
「フロリネフ誓約姫を、まもなく謁見の間へご案内申し上げます」
「うむ」
果たしてフロリネフという姫は、どのような器なのか。
慣れぬヤイバンの王宮で、賓客として控えながら入室を見守った。
「失礼」
────それは豪胆にして、威風堂々。
「ヤイバン王の御前に、相まみえて光栄である」
雪国の姫と聞いて、なんとなく色白の美人を想像していたが。
王宮に入ってきたのは、真っ赤な髪を揺らす覇気溢れる女性だった。
「私の名は、フロリネフ。この度は、ヤイバン王の時間を頂けたことに感謝の意を表するものである」
「……おう!」
自信にあふれた瞳、ヤイバン王を相手に一歩も引かぬその態度。
それでいて礼は忘れず、優雅に高潔に名乗りと挨拶をこなす。
「歓迎するぞ、アイギスランドの誓約姫。今宵はいかなる用か」
「では、述べさせていただこう」
そんなフロリネフを見て、ヤイバン王は興味深そうに笑っていた。
武人肌で気が強く、やや潔癖な女性という印象だ。さて、どんな話を持ってくるか。
「今こそ我らは共に剣を掲げ、デケンの横暴に反逆すべきである」
「うむ」
「我らが盟約が交わせば、かの国に雪精の裁きが下るだろう。暴虐を退けられる運命の時は────」
フロリネフさんの交渉は、俺のグダグダ交渉とは格が違った。
言い回しからしてカッコよかった。
「要は貴国アイギスランドの侵攻にタイミングを合わせ、こちらが背後を突けということか」
「さすれば、デケン帝国軍も窮地に陥るだろう」
「その提案、貴国のメリットは大きいだろうな。して、我らのメリットは?」
「デケンが窮すること、それ即ちヤイバンの助けとなろう」
だがヤイバン王は、フロリネフを気に入ったという感じでもなさそうだ。
今も「ほー、そう来ますか」みたいな顔をしている。
「無論、謝礼は準備する。アメリア鉱石3箱に、海産物の────」
「その条件では足らん。俺は軍は動かさん」
「確かに、謝礼はささやかかもしれない。だがヤイバン王も、デケンが憎いだろう?」
「デケンは憎いが、恨みつらみで軍は動かせんでな」
あれがヤイバン王の、『交渉する時の顔』なんだろうな。
腹の探り合い、良い条件の押し付け合い。
本来、国家間の外交交渉とはこうあるべきなのだろう。
「冷静に考えてくれ、ヤイバンの北方がデケンではなくアイギスランドになるのだ。今後は侵攻を警戒する必要がなくなる。これは国防上、大きな利点になるだろう」
「全く利点ではない。のう、誓約姫殿」
交渉を一刀両断され、フロリネフ誓約姫は苦虫を噛み潰したような顔だった。
ヤイバン王は、そんな彼女を残念そうに見つめていた。
「貴国がデケンと同じ、侵略国家でない保証がどこにある」
「……あのような国と、我々を同一視なさるか!」
「こちらはアイギスランドのことなどよう知らんでな」
……ああ。この交渉、まとまらなそうだな。
フロリネフは、デケンをやっつける為ならヤイバンが協力すると思い込んでる。
でもヤイバン王は、フロリネフが信用に足るかをずっと見定めているのだ。
「我が大切な臣民を、貴国のために浪費するつもりはない」
「貴方を買いかぶっていたようだ。デケンを潰す好機に、敵を恐れ兵を出さぬとは」
吐き捨てるようなフロリネフの台詞に、ヤイバン王は微笑みを崩さない。
誓約姫フロリネフは、自国が信用できるかを一切アピールしなかった。
彼女の主張は「デケンは憎いだろう、だったら協力しろ」の一点であった。
「アイギスランドの利益のために、犠牲を出す気がないだけだ」
「何を……」
結局、ヤイバン王はフロリネフの交渉を切って捨てた。
デケンが憎いだろう。小さな宝石箱を三つ渡すから、大量の援軍をよこせ。
その条件は、素人の俺から見ても援軍と釣り合うものとは思えない。
「あまり我々を見くびるな、アイギスランドの誓約姫」
「……っ」
彼は威風堂々、そう言ってギロリと睨み返した。
「残念だ、失望した」
フロリネフはそう言うと、ギョロりと周囲を見渡した。
そしてヤイバンの重臣たちを一人一人、睨みつけた。
「我らに援軍を期待したいなら、相応の条件を用意してくることだな」
「不要だ。牙を失った犬の助力は必要ない」
そして、俺とも目が合った。
フロリネフの紅い瞳は、轟々と燃え盛るような憎悪を纏っていた。
「……」
「え?」
この人、怖いなぁ~。目を付けられたくないな。
そう思い目を逸らしたが、フロリネフは固まって俺を凝視していた。
……それは『マジかお前』、という表情であった。
「おい、そこの女」
「わ、私ですか!?」
その後フロリネフの冷たい声が、王の間に響く。
俺を睨む瞳に、『憎悪』と『怒り』が燃え盛っている。
「貴様、周囲と装いが違うが。どこの誰だ」
「え、わ、私は。サリパ王国の、第二王女リシャリ・サリパールと申しまして」
「サリパ。……あの、サリパか」
フロリネフはヤイバン王を無視し、カツカツと俺の前に歩いてきた。
その表情は、態度は、お世辞にも好意的とは言えない。
え、何? なんぞ?
「サリパのことは聞いていた。媚びへつらい、甘い汁を吸うことにたけた愚国」
「そ、そのような」
フロリネフは俺の前に立つや、矢継ぎ早にサリパを侮辱した。
国交の場で、他国をそこまでこき下ろすなんてどういう了見だ。
「なんで無関係のサリパ人が、この場にいるのだヤイバン王!」
「彼女は我が賓客だ。それ以上侮辱するなら……」
「事実を述べて何が悪い」
まったく、許せん。俺も普段は飄々としているが、国を背負ってこの場に立っている。
ここまで侮辱されたからには、きちんと言い返さないとメンツが立たない。
「とんでもない侮辱ですわ! 何をもってそのような!」
「デケンに媚びて繁栄し、今は裏切ってヤイバンの足を舐める。貴国の誇りはどこにある!!」
「ぐぅ」
ぐぅの音もでねぇや。
「ここから出ていけ、誓約姫。我らの同盟国を侮辱するなら考えがあるぞ」
「よくもまぁ、こんな国家と組んでいるなヤイバン王。情けなさ過ぎて、ため息が出る」
実際、今のサリパはコウモリ国家なんだよな。
最善を選んでるだけなんだけど、武人肌の人にはそう見られて仕方ない。
「アイギスランドとの同盟を拒み、サリパと心中するか。愚かな王だ」
「それ以上、言葉を続けるなら容赦しない。はよう立ち去れ」
何とも残念な結果になった。この同盟はお互い、悪い話じゃないのに。
アイギスランド側の使者フロリネフが、感情的すぎる。
次はもう少し、冷静な使者を送ってくれたら……。
「では、失礼しよう。この女は頂いて行く」
「え」
そんな風に、アイギスランドの使者を心中で評価していたら。
誓約姫フロリネフが俺を指さして、邪悪な笑みを浮かべていた。
「パウリック!」
「御意」
なんか知らんけど、俺にヘイトが向いてるらしい。
嫌な予感がしたため、俺はパウリックの名を叫んだ。
「リシャリ様には、指一つ触れさせん────」
「どけ」
サリパ最強の騎士、パウリック。その戦闘技量は、世界で最高峰。
その剣筋は風を斬り、音も気配もなく縦横無尽に斬り伏せる。
彼は俺の叫びに反応し、マントを翻しフロリネフの前に立ちふさがる……。
はずだった。
「では、ご足労願おうかサリパの姫」
俺の眼には、何も見えなかった。
フロリネフという女の左脚が、垂直に蹴り上がっていて。
気付けばパウリックは豪焔に包まれ、派手な音を立て天井に叩きつけられた。
「……ああ、あの騎士が心配か? 安心しろ」
ぷすぷす、と黒い煙をあげて。
まもなく、ズドンと大きな音が王宮に響く。
「痛みを感じる暇もなかったはずさ」
それはパウリックだった『黒焦げの身体』が落下し、床に叩きつけられた音だった。
「……」
「では、この姫は頂いて行く」
え、あれ。死んだ?
パウリック、死んだ? 嘘?
「この女はもっと念入りに、残酷に、処刑してやるとしよう」
「……あっ!?」
誰も、二の句を告げられないまま。俺はフロリネフに手を引かれた。
王宮の外へ、ズルズル引きずられていく。
「た、たすけっ……」
掌越しに感じた、フロリネフの魔力の量は。
タケルの手を握った時みたいに、深く昏く膨大だった。
────この女、タケル級の化け物だ。
「誰かっ」
俺の助けに応える者はいない。
レヴィグダードさんとレヴィは、ヤイバン王を守って立っていた。
それは仕方ない。万が一にも、王を殺されないためだろう。
ヤイバンの重臣たちも、脂汗を垂らして地面を見下ろすのみ。
俺を攫い、退場するフロリネフを止める者はいなかった。
「……お?」
かに、思えたが。
「この死体……、いや、まだ生きてるのか」
「パウリック!」
それは、弱々しくも。
黒焦げになって倒れていたパウリックの腕が、フロリネフの踵を掴んでいた。
「サリパの騎士とは言え、あっぱれの覚悟」
パウリックは、まだ生きていた。
その事実に、ふぅと安堵の息が漏れる。
「フン」
フロリネフは一瞬だけ、パウリックに興味を示した後。
彼の掌を蹴飛ばして、再び外に出ようとした。
……しかし俺は、連れ出される直前に。
「ヤイバン王、どうか。そこの忠義の騎士に手当をお願いします!」
「……リシャリ姫」
「私の身柄をどう扱うかは、国王にご相談ください。見捨てられても文句も恨みも言いませんわ!」
冷静さを取り戻した俺は、引きずられながら言うべきことを叫んだ。
「どうか、どうかパウリックを救ってください!」
その言葉が俺の最後の叫び。
まもなく俺は、アイギスランドの姫に外へと引きずりだされたのだった。




