表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
壊れた意識を取り戻せ!  作者: できれば匿名希望でお願いいたします
3 パーティを組むことになった理由
9/13

二人の刺客

「あっ、アールカー!」

入って最初に耳にしたのは、女の子のアルカを呼ぶ声だった。

「ん・・・?」

俺は、声の主に目をやる。

身長は俺と同じくらいか。顔は小柄で、まだ子供っぽさが残る造形。

年は・・・俺と同じぐらいか。

「リン!ひっさしっぶりー」

「おひさー・・・あれ?そこにいるのは・・・もしかしてカレシ?」

するとアルカはぼっと頰を赤く染め、

「なわけ!違う違う、ここまで案内してほしいからって、それで」

「あー、そっかそっかー、・・・(ちぇっ、なーんだつまんねーのー)なるほどねー」

「ねー今本音聞こえたんだけどー?」

「・・・ン?」

・・・俺は、どうすればいいのだろう。

「大体リンってば、自分(⚫︎)彼氏いないんだし、そういうこと」

「おーおー律儀に『も』をつけるあたりが、まさにアルカらしいねぇー」

「ちょっとそれどういう意味ー?」

「そーのまんまー。てか、まずオトコと仲良くしたことすらないでしょ、そのクチじゃ」

「・・・ふ、ふん、そ、それが何?別に不便じゃ、ない、し」

「しどろもどろですねぇー」

「ていうかリンだってそうでしょ」

あのー・・・。

「いやー私はだねぇー、『性よ──誘惑を断ち切ってる』ということであって」

「いまなんか不穏な言葉が・・・」

「まーそれはおいといてー」

「いやいや見過ごせないね」

えー・・・っとぉー・・・

「いーやー思春期真っ只中のアルカだってどうせ───」

「へ・ん・な・そ・う・ぞ・う・は・や・め・て・く・だ・さ・い」

「ごめんまじのほうで聞き取れなかったわ」

「はぁーこれ言うのも結構アレなんだからねー?」

「・・・ン?」

「いやいや、ン?じゃなくて───って、あ、ユウト、ごめーん」

まったくだ───なんて言葉は飲み込んで。

「いや、構わないけど・・・」

「こちら、わたしのパーティメンバー、水騎士(アクアナイト)のリン」

すると、アルカの自己紹介に合わせてリンが微笑み、こちらに手を振った。

「やっほー、リンだよー」

「おう、よろしく。俺はユウト、風魔剣士(ウィンドブレイバー)

「へぇー、風魔剣士(ウィンドブレイバー)ねぇー・・・」

そう言ってリンは、俺の顔を覗き込んでくる。

「・・・ち、近いって・・・」

するとなぜか焦ったアルカが、

「ちょ、ちょっとリンー、離れない?ね?」

止めようとする。

「へぇー・・・」

な、なんだよ。

「なかなかいいねー、君」

・・・なかなかいいってどういうことだ?

「ねー、(⚫︎)(⚫︎)(⚫︎)(⚫︎)(⚫︎)(⚫︎)(⚫︎)(⚫︎)(⚫︎)(⚫︎)(⚫︎)(⚫︎)(⚫︎)(⚫︎)?」

・・・は?

「そ、それって・・・」

「見たところ君、強そうだし。頼りになると思うなー」

・・・さすがに、ここまで言われると、ちょっと恥ずかしい。

まったく、調子が狂う。

「ま、まあ弱くはないとは、思うけど」

「ならよし。アルカ、適当にクエストチケット取ってきて」

「ちょ、ちょっ、わたしたちのパーティに入れるって、どういうこと!?」

「?そのまんまの意味だけど」

「その意味がわかんない!いや、別に嫌ではないけど、なんでそんないきなり」

「じゃ、やめにする?」

「え・・・」

ふいに、アルカを焦燥が襲った。

───いや、なにを焦っているんだ。

さっき会ったばかりの仲ではないか。

アルカはちょっぴり頰を赤らめ、

「ま、まあ強い人をパーティに入れるのは道理だからね、うん」

そう言って、アルカはクエストチケットやらがあるであろうところへ駆け出した。・・・何を急いでいるのだろう?

「ふふふっ、アルカったら。だからカレシが・・・いや、あれは自分で気づくべきかな。なーんて」

リンは微笑んだ。



数分後、アルカは笑顔で戻ってきた。

「これなんてどーお?」

───凶竜(ナイトドラグーン)発生情報。数、1匹。場所、ライン平原。種類……

「ふふっ、アルカ、わかってるー。まずは、テストだよね」

おい、ちょっと待ってくれ。なんで俺が君らのパーティに入ることになってる。

「あー、あー、君、その様子じゃアルカにつられてきたね?もーアルカったらー、『代償』はやめときなさいってー」

んなっ!?

代償って、これか!?

・・・待てよ?それだと、もともと俺をパーティに入れようと・・・

なのに、アルカは不満気味だった。

・・・この矛盾はなんだろう?

まあいいや。確かに、知り合いがいるパーティなら安心感はあるだろう。リンという少女がどうかはわからないが、少なくともアルカは優しい人なのだから。

「まあ、納得したみたいだね。よし、このクエスト受けてくるよ」

待て、なぜ俺の心中がわかる。



やがて、その紙は版が押されて返ってきた。

「受注完了ー!じゃ、二人とも、行くよー?」

リンが先導を切る。

・・・少なくとも、悪い方には転がらなさそうだ。

俺は、気づかないうちに微笑を浮かべていた。

今日の更新はここまでです。

『二人』の刺客と題名にあり、その刺客にあたる人物はリン一人しかいないではないか、という疑問を持つ人もいると思います。(そもそも疑問を持ってくれるほど人気があるのかというところですが……笑)


二人、というのは、アルカも含めて二人になります。

アルカはもうすでに出会っていますが、一応ギルドメンバーか否かという面では他人なので、そういう意味合いをこめて二人にしました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ