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最愛の人を傷つけられたので、最も残酷方法で復讐したいと思います。  作者: 大大大大大確定!!!


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26/26

26

 翌日の昼休み、修と葵は中庭での昼食を終えると、人気のない校舎裏へ向かった。修は背徳的な快楽に擽られるように彼女の後を追った。


 しかし葵は修に何を与えるわけでもなかった。ポケットの中には既に偽物の精液が入ったゴムが用意されており、結衣に監視されているので修の性処理をしてると思わせるためにあの場から二人でコソコソと逃れなければならなかった。

 葵はぼうっと立ち竦んでいた。


「室生さん、最近大丈夫? あいつらは大人しくしてる?」優しく尋ねた。


「ううん、正直ちょっとしんどい。私だけじゃなくて、清野さんも結構参ってるみたい」疲れ果てた表情だった。


「……今月にはどうにかするから、それまで辛いだろうけどさ。絶対に室生さんのこと助けるよ」


「うん、ありがとう」


「それで……なんでこんな人気のない場所に移動してきたの?」声には期待が滲んでいた。


「私、静かな場所の方が好きなの。嫌だった?」修の方さえ見なかった。


「嫌じゃないよ」何を考えてるの。と、喉まで出掛かったがその質問を口にすれば何かが壊れてしまいそうだった。


 葵は積極的に修と会話をしようとはしなかった。黙って思い浮かべるのはあの美しい男だった。

 修は昨日のことが気がかりで、それで葵を傷つけたために冷たい態度を取られてると思った。修は葵の隣に並んだ。葵は否定も肯定もしなかった。

 葵の美しい横顔を見て溜め息を吐いた。あまりにあからさまだったので、流石の葵も顔を横に向けた。


「どうしたの?」


「……室生さんはなんで俺とこうやって一緒にいてくれるの? 俺は嬉しいんだけどさ」


「私も嬉しいからじゃ、ダメ?」


「ダメじゃないよ」


「そう」また、空を見上げた。


 修ははぐらかされていることには気がついていたが、それ以上の言葉は見つからなかった。予鈴がなり二人は教室へ戻った。ただ、寂しさと嫉妬心だけが混ざり合って渦巻いていた。



 葵は放課後に空き教室で凄まじい演技力を見せつけて結衣を喜ばせた。

 途中で楓が再び助けに入ろうとするも、結衣はそれを制止して葵に飲み干すことを強要させた。葵は涙を浮かべながら、それを飲み干し床に伏せ何度も咳き込んでえずいた。

 結衣は満足して教室を後にした。


「ねえ、本当に偽物を準備したんでしょうね」楓もあまりにの演技力に近寄って屈み込んだ。


「うん、偽物だよ」けろっとしていた。


 楓は葵の手を引いて立ち上がらせた。楓は葵の瞳に強い輝きを感じた。今までにはない意志がそこにはあった。


 二人が一緒に教室へ戻る最中に修と鈴木が談笑しているところに遭遇した。鈴木は修に遠慮することはなかった。修と楽しそうに話す美しい男の姿を見て、周りの女生徒たちはざわめいていた。

 葵はこれに好機を見出した。図らずも修のおかげで鈴木の周りには他の女性は近寄らなかった。葵は二人の輪の中に入って行った。


「なんの話をしてるの?」葵の美しい笑顔は全て鈴木に向けられた。


「他愛もない話だよ」鈴木もにこやかに返事をした。


 修は葵の輝く笑顔を見てその表情を深刻なものへと変えた。楓は頭を抱えたいような思いで溜息を吐いた。一目瞭然な三角関係が形成されており、修の表情は彼女の気持ちが自身へ微塵も向いてないことに対する絶望だった。


 彼はまざまざと現実を見せつけられて、葵のために戦うのだろうか。自身の好意や善意や行動が全て無碍にされ、古い親友に想い人を奪われて、それでもなお彼女のために戦おうという気概はあるのだろうか。と、楓は自身の心配をすると共に、哀れな修の心を想った。

 楓もその輪の中へ入り、慰めと励ましを込めて肩が触れ合うほど修に寄り添った。修は驚き左を見て、少し距離を取った。楓はすかさず距離を詰めて肩を押し当てた。修は観念して楓の優しさを受け入れた。


「二人は知り合いだったの?」その意味ありげな行動に鈴木も何か思うところがあったらしい。


「ええ、私も彼に助けてもらっていて感謝しているの」わざとらしく修の顔を覗き込んだ。


「……そうだったんだ」そんな親切な友人を疑ってしまったのかと。


「いや、別に助けてないけど」冷静に修は言った。


「確かに私を助けようとは思ってなくて、間接的にはって話になるのだけど、それでも私がありがたく思ってる心は変わらないわ」まっすぐに見据えた。


 修は困惑していた。前に話した時とは打って変わって別人のようだった。猫を被っている楓は淑やかな美少女そのものだった。


「……そう」修はまだ彼女をよく知らないので淡白だった。


「そうなの、本当にありがとう」修の左手を両手で包み込んだ。


「……え、あぁ、どういたしまして」


 修はわざわざ多くのギャラリーがいる前でこんなことをするのは何か意図があるんだろうと推察し、それは当たっていた。あの東が憎たらしそうに陰から修を睨んでいることに楓は気がついた。この行為は東に対する挑発であった。彼の尊厳を傷つけるためにわざわざ見せつけた。

 東というのは悪のカリスマを気取っていたが、悪の部分では修にカリスマの部分では鈴木に完敗していた。最も東のコンプレックスを刺激する二人に、今まで支配下においていたと思っている女と、仲間だと思っていた女が寝返えるさまを見せつけた。


「十分後に校舎裏に来て」修の耳に唇を近付けて囁いた。「それじゃあね」修の肩を撫でた。


 楓は一人で歩いて行った。彼女は自分を餌として東を誘き寄せるつもりだった。

 人気の少ない旧校舎裏へ震える足取りで歩いた。東が後を追ってきていることを知りながらも止まらなかった。


 彼女が寂れた旧校舎裏で足を止めると、尋常ではない眼をした東がぬっと現れた。


「わざわざこんな人気のないところに何をしにきたんだよ」東はその濁った眼を楓に向けた。


「それはこっちの台詞よ、コソコソ後を付け回って」言いながら、胸ポケットに挿したペン型の小型カメラを起動させた。


「楓、お前はいつからあの性犯罪者と仲良くなったんだ?」怒気を含んだ声が響いた。その眼は裏切り者が。とでも言いたそうだった。


「私が誰と仲良くしようが私の勝手でしょ?」


「よりにもよってあいつかよ。趣味が悪いんじゃねえか?」心の底から修を憎んでいる声だった。


「自分より弱い女の子を虐めるしか能がない男よりはよっぽど増しだと思うけど?」東をあからさまに嘲笑った。


「テメェ!」叫んだ。


「そうやってすぐに叫んでばかり、正に弱い犬ほどってやつね」


 東はズカズカと楓に近寄って胸ぐらを掴み、旧校舎の壁に強く押し付けた。楓は背中を打ち、鈍い声を漏らした。


「弱い男が私に触らないでくれる」震えていたが彼女の凛とした表情は崩さずに強く言い放った。


「お前、舐めてるだろ?」鼻息は荒く、顔は怒りから皺くちゃになっていた。


「そりゃあね。京谷修に脅されては結衣に泣きついてヨシヨシしてもらって、今度は私に虐められたって泣きつくつもり? 情けないわね。愛想尽かされるわよ?」鼻で笑って見せた。そしてこう言ってやることで、東は何があったのかを結衣に話せなくなった。東のちっぽけなプライドを楓は良く理解していた。楓にとって最大の脅威は東ではなくて結衣だった。「結衣からあんたの愚痴を聞かされる回数も最近多くなったわ。結衣も強い男に乗り換えようかっていつも言ってるわよ」


 東は拳を振り上げた。結衣はギュッと眼を瞑り歯を食いしばった。しかし、殴られることはなく震えながらゆっくり眼を開けた。その時、彼女の細く柔らかく脆い腹に目一杯の拳がぶち込まれた。

 楓は呼吸が困難になり地面に蹲った。お腹を抑えて掠れた呼吸を何度もゆっくり繰り返した。楓の眼には涙が浮かび上がり、顔は異常なまでに赤くなった。涎はみるも無惨に口端からだらだらと止めどなく流れ落ちた。

 楓は苦しみの最中顔を上げて東を睨みつけた。


「なんだぁ、その生意気な眼はよお」そう言いながら、蹲った楓の後頭部を踏み躙った。


 楓はなんとか呼吸を整えることだけを考えた。自分に力がないことをこれほど恨めしく思ったこともなかった。そしてこんな頭の悪い連中に弱みを握られた自分を情けなく思った。


 尊厳を踏み躙られながらもようやく呼吸を万全とはいかないものの取り戻した。それを東も分かったのか、しゃがみ込んで楓の顎をを強引に持ち上げた。


「いい顔になったじゃねえか。生意気な女はこうやってどっちが上かを調教してやんねえとな」下衆な笑みを浮かべていた。


「……分かった分かったから、本当のことを教えるから」掠れる声で言った。彼女には考えがあった。


「本当のことだぁ? なんだよ言ってみろよ」顎を投げ捨てるように話した。


「結衣はあんたと京谷を戦わせようとしてるの」言いながら踏みつけられた髪を手櫛で整えた。


「おい、それはどういうことだよ?」声には怒気が含まれていた。


「大体、意味もないのにあんな奴と仲良くするわけないでしょ」


「だから、どういうことだよ!」叫んだ。


「結衣の考えることはよく分からないわ、ただ私は結衣に指示された通りに動いてるだけなの。京谷への接触や、あんたへ敵対するような言動は全部が結衣の思惑なの」


「そんなことしてなんの意味があるんだよ」


「さあね。結衣は強い雄が好きだから、あなたが本当に強い雄かどうか確かめたいと思ってるんじゃないかしら」


「あのバカマンコが」チッと舌打ちをした。修に戦う以前に敗北を喫してから結衣のことすら信じられず、自分は陰で笑われているのではと、被害妄想に囚われていた。


「あんたが結衣に黙ってくれるなら、京谷との戦いをあんたが有利になるように舞台を整えてあげられるけど? 京谷は私の言うことならなんでも聞くと思う、葵に相手にされなかったからって次は私に言い寄ってきたから」


「確かにあのバカマンコは葵を俺から遠ざけさせたり何か企んでるかと思ってたが……」


「そりゃあだって、葵がいたら彼に付けられた傷を彼女を虐めて誤魔化そうとするでしょう? 京谷に勝つんじゃなくて」


「お前は俺じゃあ京谷には勝てねえって思ってるのか?」睨みつけて威圧した。


「そうは言ってないけど、彼は実際に格闘技を何年も続けてたみたいだから」


「じゃあ、整った舞台ではお前は何をしてくれるんだ?」再び胸ぐらを掴んだ。


「簡単よ、彼を応援してるように装って眠剤か下剤でも入れた飲み物を渡して飲ませるわ」フッと笑った。


「分かった。それでいい」下品にケラケラ笑った。それからいやらしい目付きで楓を見下ろした。「お前は結衣を裏切って俺の従順な女になることを選んだわけだよな?」


「従順にも、あんたの女になったつもりもないけどね」掴まれた胸倉を払い退けようとした。


「別にならないんだったらさっきの教育の続きをするだけだ」手に力を込めた。


「結衣に言いつけるよ」苦しそうにその手を両手で握った。


「その時は結衣を裏切ったこともバレるけどな。お前は結衣には頭が上がらないんだろ」くらい笑みを浮かべた。


「分かったわ……」両手を離した。


「じゃあまずは、その舐めた態度を改めて雌は雌らしく媚び諂え」


 楓は視線を落として自身の肩を抱いた。


「おい、あの性犯罪者には媚びてたじゃねえか。俺にはできないってか? 教育が必要そうだな」眼は血走っていた。


「何をすればいいのよ……」顔を上げてその表情は珍しく弱々しくなっていた。その弱々しさは東の情欲を唆るには十分過ぎた。


「口を開け」


 楓は小さな口を開いた。白く綺麗に並んだ歯の中に、生々しい色をした舌がちんまりと収まっていた。


「もっとだ」


 楓は限界まで口を開けた。


「舌を出せ」


 楓は長い舌をべえっと垂らして見せた。


 東は葵の口の中に指を突っ込み、舌や歯や歯茎を弄った。そして楓のポニーテールの根本を乱暴に掴むと、口腔の奥へ手を伸ばした。楓は何度もえずきネバネバとした粘液が口腔を守るために分泌された。東はようやく楓の口から手を引いて、手に絡みつく唾液を満足そうに眺めていた。


「練習だ。舐めてみろ」再び指を突っ込んだ。


 結衣は人差し指に舌を絡み付けてたり、その柔らかい唇を押し付けた。彼女は心の中で修の名前を叫んだ。


「あんま上手くねえけどまあいっか。歯を立てるなよ、あと吐きそうになっても我慢しろ、そのうちなれるから」


「おい」東がベルトを外そうとしたとき楓の後ろからその声が響いた。「てめえ、何やってんだよ」低く唸るような声だった。


 楓はハッと振り返った。そこには修の姿があった。安堵から泣きそうになりながら、歩いてくる修の姿をじいっと眺めていた。

 修は楓の隣に立って彼女の頭に付いた砂を優しく払った。東は後退りをしていたが、修の視線が楓へ向いているのを隙だと思い走って蹴りを喰らわせようとした。が、修は楓を守るために彼女の前に手を伸ばしながら、もう片方の手で簡単に蹴りを受け止め、東の軸足を蹴り飛ばして呆気なく転ばせた。


「立てよ」修は嘲笑った。「これで終わりか?」


東は立ちあがろうとしたが修は軽く肩を蹴り飛ばした。修は重心を崩すのが上手く、大した威力ではなかったが東は派手に転んだ。それから、楓の頭に砂が付いてたことから、東の頭を踏みつけた。


「おい、立てよ」無機質な声だった。


 楓は二人の間の圧倒的な実力差を痛感した。その事実に満足しながらも、東には自身が彼の味方であることを証明しなければならなかった。


「もうその辺にしておきましょうよ。私は大丈夫だから……」修を後ろから抱きしめた。


「……でも」


「あなたがこんな奴のために手を汚す必要はないわ。その代わりに私のことを慰めて」


 楓は修を抱きしめながら、早く逃げろと東に視線を送った。修が足を退かすと東も視線に気が付いて走って逃げ出した。


「これでよかった?」楓の演技に合わせていた修は、東の姿が見えなくなると呟いた。


「……遅かったじゃない」声は震えていた。


「校舎裏って新校舎の方だと思ってさ、何も起きなあと思って全速力でこっちに走ってきたよ」


「……バカ」楓は修の正面に回り込んでもう一度抱きしめた。


 修も楓を抱いて何度も頭を撫でた。


「……一人じゃ怖くて帰れないから、送って欲しいんだけど」


「ああ、一緒に帰ろうか」


 二人は並んで歩いた。楓の住むマンションは学校からすぐ近くだった。二人は会話もなく歩いていた。互いに少し気恥ずかしかった。

 直ぐにマンションへ辿り着いた。


「じゃあ、俺は帰るから」


「ううん、今後の作戦を話しておきたくて。私の部屋まで来てくれる?」修の腕を掴んだ。


「俺はいいけど……いいの?」


「大丈夫よ。誰もいないし」視線を落とした。


「わかったよ」一人じゃ寂しいのだろうと共に行った。


 楓の部屋は整然とされ、あまり女の子らしくはないように思えた。部屋全体はミニマルな感じで統一され、北欧のようなインテリアとデザインだと修は思った。小説や漫画は修の趣味とは合いそうになかった。


 楓はベッドの縁に座り、そして隣をポンポンと叩いた。修は彼女の隣に緊張しながら座った。楓は修の腿の付け根に手を置いて、事のあらましを説明した。


「あなたがくるのがもう少し遅れていたら、私は性奴隷として扱われて酷いことをされていたでしょうね」言いながら修の腿をすりすり撫でた。


「なんでそんな危ないことをしたんだよ」楓を心配して声は大きくなった。


「あなたが私を信用できないと言ったでしょう? 私はただあなたに信頼して欲しかったの。ちゃんとあいつにされた酷いことも録画しておいたから」声は震えていた。


「悪かったよ。そんな酷いことを言って……信頼するから、もう二度とそんな危ないことをしないでくれよ」


「じゃあ、どのくらい信頼してくれてるのか、身体を使って示してよ……。言葉だけじゃ信じられないわ」


 修は戸惑いながらも意を決して楓の細い身体を優しく抱きしめて額に口付けをした。そして一度顔を離すと楓は目を瞑り唇を軽く突き出して、修からの接吻を待っていた。修は楓の頬に手を添えて唇同士を触れ合わせた。すると楓は積極的になり何度も唇を触れ合わせ、修の情欲を煽るためにチュパチュパと音を立てた。楓は自身が弄ばれたことを舌を使って再現した。歯や唇や歯茎を舐めて、自身の唾液を修の口に注ぎ込んだ。


 楓は修の目の前に立ち、ブレザーのボタンを外して脱ぎシャツのボタンを下から二つ外すと捲り上げた。


「ほら、こんなに赤くなっちゃった」と殴られた場所を見せつけた。痛々しいほど赤くなっていた。


「早く冷やした方がいいよ。保冷剤をタオルで包んでさ」


「ううん、キスして。ここに」


「冗談で言ってるんじゃないよ、早く冷やさないと腫れが酷くなったら青痣になって治りが遅くなるかもしれないんだ」


「じゃあ早くキスして、そしたら冷やすから」目には涙を浮かべていた。


 修は観念して頭を下ろして臍の横に口をそっと付けた。楓は修の頭を押さえて離さなかった。


「そのまま舐めて」


 修は言われた通り赤くなった肌に何度も舌を這わせた。楓は頭を離して部屋から出て行った。修が大人しく待っているとタオルでお腹を押さえた楓が部屋に戻ってきた。


「今私はあなたの優しさを踏み躙って酷いことをした」修の頬に触れた。


「別に気にしてないよ」


「いいえ、あなたは今、私がしたことの仕返しをする権利を得たわけ」頬を撫で続けた。


「いいよ、仕返しなんて」


 修の目の前で恭しくしゃがみ込むと修の足を両手で広げながらそこに正座をしてちんまり収まった。修の手を持ち、自分のポニーテールの根本を掴ませた。


「こうやって頭を押さえつけて、キスをしろ、舐めろってあなたも私に命令することができるの。どうする、この子は舐めさせたいと思ってるみたいだけど?」長い舌を屹立する肉棒の前に伸ばした。


「あんまり男を揶揄うんじゃないよ。そんなことしてると、また酷い目に遭うかもしれないよ」スラックスの上からでも肉棒の脈動は伝わった。


「あなたの性奴隷にされるのなら別に構わないわ。あなたが私を憎んでるなら無理にとは言わないけど」


「憎んでなんかないよ」


「それじゃあ、私なんかじゃあなたの食指は動かないかしら?」目を細めて長い舌で何かをゆっくりと丁寧に舐めるような仕草をしてみせた。


「いや、見ての通りだよ。ちょっともう我慢できそうにないな。こんな美人に揶揄われて、本当は滅茶苦茶にしてやりたいと思ってるよ」


「その意思を示して」扇情的に微笑み唇を窄めた。


 心には葵の姿が浮かんでいたのだが、その美化された葵でさえ修に冷たい視線を送っていた。修は自暴自棄になりながらベルトを外してチャックを下ろして肉棒を露出させ、楓のポニーテールを握り頭を近づけた。


「……はい、ご主人様」と修を薄ら笑って見つめた。


 楓は修の腰に抱きついて先っぽに何度も口付けをし、カウパーが溢れ出すと舌で舐め取った。修はポニーテールから手を離し、楓の頭を愛おしく思って撫でた。楓は破顔し玉や根本から舌を這わせて敏感な裏側を丁寧に舐め上げた。

 悪戯っ子の微笑みで先っぽにふうっと息を吹きかけては、身体を震わす修の様子を見て笑っていた。

 ひとしきり笑い終えると遂に肉棒を咥えた。楓は奥まで咥え込もうとしてえずいた。


「無理しなくていいよ」楓の頭を撫でた。


「違うの、こうすると唾液がたくさん出るからで唾液が溜まってきたら普通にするから」


「そうなんだ……」


「うん、唾液がたくさん出た方が気持ちいいみたいだから」


「無理しなくても、今ので十分気持ちいいから」


「ありがとう」優しく微笑んだ。


 楓は笑顔を浮かべて再び奥まで咥え込んでえずいた。確かにその度に粘性の高い唾液が絡み付き気持ち良かったが、修は楓が苦しむ様子を見るのが辛かった。

 楓もそれがわかったようで空いている片手で見せつけるように自慰行為を始めた。楓は股から指を引き抜いて、親指と人差し指をくっつけて離し、ネバネバとした糸を引いている様子を修に見せつけた。自身も楽しみ興奮状態にあるのだと行為を通して修に伝えた。当然効果は覿面で、修の肉棒が熱く硬くなってゆくのを口腔で感じとった。

 唾液が溜まってきた楓は本格的に修への奉仕を開始した。

 修は肛門に力を込めてなんとか耐えていたものの、直ぐに限界が近づいてきた。


「そろそろ、イキそう。ティッシュない?」口腔に出すことは悪いと思い部屋を見渡した。


 楓は自分の愛液に塗れた手で修の手を取り、もう一度ポニーテールの根本を掴ませ、蠱惑的に眼を細めて修を小馬鹿にした。修は自身の欲望に従い彼女の美しい髪と顔を好き勝手に弄び、その顔を思い切り押さえつけて極上の快楽の中で果てた。楓は残った物もちゅうちゅうと吸い出し、修の征服欲を満たして口を開いた。

 唾液と精液が混ざり合った白く濁り泡立った液体を口いっぱいに含んでいた。


「べえしなさい。ティッシュ持ってくるから」修は焦って言った。


 楓は首を横に振って立ち上がり喉元を修の耳にピッタリと当ててゴクリと嚥下の音を聞かせた。そんなに焦らなくても、あなた精子はもう一度飲んだことがあるの。と、心の中でさえ修を揶揄していた。

 それからもう一度口を大きく開けて飲み干した口内を見せつけた。


「気持ち良かった?」言いながら修の胸に寄り掛かった。


「まだクラクラするよ」修は深く頷いた。


「そう、よかった」微笑んだ。


修はそのまま楓を抱きしめて肩や背中を撫で、快楽の残滓を味わっていた。


「こうやって抱かれていると、男の子の身体がとってもしっかりしてるってことが伝わってきて、やっぱり私とは全然違うんだったって」


「それはこっちも同じだよ。細く脆く柔らかくて大事に繊細に扱わないとって」


二人はお互いの身体を確かめ合うように撫であった。高まり合った二人は互いに鼻息を荒くしながらじっと見つめ合うとどちらが仕掛けるでもなく接吻をして舌を絡めた。


「……あの、私もずっとムラムラしてるからちょっと手伝うというか、えっと身体を貸して欲しいんだけど」顔を離すと修の胸を撫でて言った。


「あぁ、俺でよければ手伝うよ」


「……ありがとう」


 楓はシャツを脱いで、スカートを脱いだ。下着姿で修の上に背を向けて座った。


「これはもういいでしょう?」保冷剤を掲げた。


「ああ、冷やしすぎも悪いからね」


「これ当てて冷えてきちゃったから、温めて」甘くまろやかな声だった。


 修もブレザーとシャツを脱いで背後から抱き締めた。きめ細かい瑞々しい肌が吸い付いてきて修は直ぐに硬くなってきた。


「ねえ、勃つのが早いんじゃないの?」楓も笑っていた。


「それだけ魅力的ってことだよ」唇で耳を食んだ。


 楓の身体はびくりと震えた。散々やられてきた修はここぞとばかりに下着の下から手を滑り込ませて、楓の程よい胸の肉を揉みながら先端を優しく弄った。

 楓はその焦ったい快楽を更なる高みへ昇華させるため、自慰行為を始めた。彼女は両手を使い自分自身を慰めた。荒く深くなりゆく鼻息は彼女の情欲をそのまま表していた。修は自身の手で楓を導くために下半身へ手を伸ばした。


「優しくしてね」と振り向いて微笑み、素直に明け渡した。


 修は楓がしていたように両手で丁寧に撫で上げた。楓は身体を小刻みに震わせ、漏れる声を抑えていた。


「ビクビク震えて可愛いよ」


「やっぱり人に触られるのは自分でするのと全然違う、頭がジンジンする」無邪気な笑みを見せた。快楽を素直に受け止めて、特に恥ずかしがらなかった。


 修は撫でる場所を少しづつ変えて、彼女の腰が浮いてくる場所を見つけてそこを執拗に責め立てた。楓は修に声を聞かせたくなかったのか、唇を硬く結び声を抑えた。抑えてるがそれでも漏れ出る嬌声が修を悦ばせた。足をもぞもぞと動かしながら耐えていたが、両足を修に絡めて取られあられもない姿を晒した。


「ここ弱いんだ、楓」耳に唇を触れながら囁いた。


 楓はゆっくりと深く頷いた。


「ヤバい、もう、イキそう……」切ない声で喘いだ。


「イっていいよ、その可愛い姿を見せて」


「キスしながイキたい」楓は振り向いて目を瞑り軽く唇を突き出した。


「本当に可愛いな」


 修は楓に口付けをして舌で舐め合い、互いの情欲を高め合った。楓は背後に手を回し修の身体を撫で上げて挑発した。修はその挑発を受けて眼を開くと、薄く艶やかに微笑んでいた。修はどきりとしてその余裕そうな表情を崩してやろうと手の動きを早めて少しだけ力を込めた。


 修が執拗に責め続けると、楓の腹には力が入りビクビクと痙攣した。その後彼女の身体は脱力し全てを修の身体に預けた。修を押し倒して腕を取り自身の頭の下に回し、恍惚とした表情で見つめて抱きついた。

 修も楓を抱き締めて優しく頭を撫でて頬に触れた。それからふと、彼女の髪が解けた姿を見てみたく思い、後頭部に手を回してヘアゴムに手をかけた。


「あ、ちょっと待って」彼女は自らヘアゴムを外すと長い艶やかな髪を靡かせて恥ずかしそうにその髪で表情を隠した。「ねえ、ちょっと、恥ずかしい」


「なんでよ、すごく綺麗だよ。よく見せて」言いながら顔を覆い隠す髪を優しく退けると彼女は顔を真っ赤に紅潮させていた。そして目を逸らした。「そんなに恥ずかしい?」先ほどの余裕そうな態度とのギャップが修の心をくすぐった。


 楓は黙って修の胸に顔を埋めた。修は長く美しい髪に何度も指を通して味わった。彼女の呼吸はようやく落ち着き、修の胸に舌を這わせていつもの挑発的な視線で見上げた。


「さっき、私のこと名前で呼んだでしょう?」意地悪く笑った。


「……あ、いや、ごめん」


「別に謝ることないじゃない、修」笑った「これからは二人でいる時は名前で呼び合いましょう」


「あぁ」


「それともやっぱり“ご主人様”と呼んだ方が良かったかしら」甘ったるい嬌声で媚びて腰や胸を艶かしく押し付けて擦り付けた。「やっぱりこっちの方が嬉しそうね」馬鹿にしたように微笑みながら肉棒をすりすりと撫で上げた。


「それは反則だよ」


「今日は疲れたから修の身体に抱かれながら眠りたいのだけど、この子を放置するのは流石に酷よね」


「大丈夫だよ。疲れてるだろうし休んでよ」


「こんな凶悪なモノを放置してたら寝てる間にナニをされるかも分からないじゃない」握りしめて扱き始めた。


「じゃあ、お願いしようかな」


「何かして欲しいことはある?」


「ありすぎてちょっと一つには絞れそうにないな」


「そうだ、ちょっと面白いものがあったの。ちょっと待ってて」


 楓は立ち上がると部屋の押し入れの中から筒状の物を取り出した。楓はそれを掲げながらニコニコと修の横に寝転がった。


「これ何かわかる?」子供のような笑顔だった。


「オナホールでしょ。でもなんで、楓がそんなもの持ってるの?」


「知りたい?」修の耳にキスをしながら囁いた。


 修は良くない想像をしながらも海綿体には尋常じゃないほどの血が集まり、心臓の鼓動が激しくなった。修は深く頷くしかなかった。


「……元カレのために買ってあげたの」笑いながら囁いた。「ねえ、ビクビクしてるよ」先っぽを突いた。


「それを俺に使うんだ……」


「大丈夫、しっかり洗ってるから」


「そういうことじゃないんだけど」


「ごめんね揶揄って、本当は嫉妬してるんでしょ?」


「頭がおかしくなりそう」楓の肩を強く抱いた。


「今この瞬間、私の身体は修だけのものだから許してね」


「許すも何も、ただ俺がショックを受けてるだけで、楓が悪いわけじゃないよ」


「じゃあ、そのショックを癒やしてあげる」


 楓は笑って筒の中に肉棒を迎え入れた。顔を胸に寄せて小さな突起を見せつけるように舐め、反対側は爪で引っ掻いた。修は声を漏らした。


「どう、気持ちいい?」


「……いや、あんまり……多分ローションとか入れて使うんじゃないかな。前はどうしてたの?」


「……そうね、確か前は唾液でベトベトになるくらいフェラをしてあげてからしたんだった。彼、私の頭を無理矢理押さえつけてするのが好きだったから」


 楓は上体を起こして肉棒に何度も口付けをしてから咥え込み、修の手を後頭部へ運んだ。修は彼女の挑発に乗せられて、強引に頭を押さえつけた。楓はえずきながらも蠱惑的な表情を崩さなかった。修の腿をタップするように叩き、修はハッとして彼女の頭から手を離した。

 楓はジトっとした目つきで修を見ながら、口の中に溜まった唾液をオナホールの中へ注ぎ込んだ。楓は再び修の横に寝転んだ。


「随分乱暴にしてくれるのね」


「楓が悪いんだよ。そんな煽るように元カレの話をしてさ」


「ふふ、ごめんなさい。妬いてくれるのが可愛くて」言いながら筒の中に肉棒を迎え入れた。ネチャネチャと音を立てながら、扱き始めた。「これだと気持ちいいでしょ?」


 その別次元の快楽を少しでも長く味わうため身体に力を込めて我慢した。


「やっぱり気持ちいいんだ? でもそんなに我慢しないで、我慢は身体に毒だから。力を抜いていつでも出していいからね。いつでも気持ちよくなっていいからね」


 楓は意地悪い微笑みを浮かべて筒を高速で動かした。


「彼は私が危ない日なのに無理矢理押さえつけて一番奥でびゅるびゅると濃いドロドロの精子を注ぎ込んで涎を垂らしながら気持ちよさそうな顔をしてたけど、修はこっちね、偽物ね。本物には挿れさせてあげない」


 修は悔しさと惨めさと快楽が混じり合った感情を筒の中に吐き出した。頭がグラングランと混乱し、ただ病みつきになりそうな薄暗い快楽の虜になっていた。

 しかし、シラフに戻るとあまりに大きすぎたショックで楓には背を背けて泣きそうになった。楓は携帯を手に取ると、スピーカーにして誰かに電話をかけ始めた。

 修は焦って振り返った。


「ちょっと待って元カレに電話するから」


 修には抵抗する力も残っていなかった。


「あ、京子? 今大丈夫?」


『なに、いきなりどうしたの?』電話の相手は男ではなかった。


「この前にさ、ドンキのアダルトガチャでローター出して喜んでたでしょ?」


『なに、貸して欲しいの? ダメ、悪いけど毎日使ってるから。確か楓はオナホールが出て使い道がないって嘆いてたじゃん』


「そう、でも今日使う機会があって、ちょっと冗談で元カレに買ってあげたって言ったら相当ショック受けちゃったみたいでね」


『ねえ、そういうの本当やめな。それ繰り返すと一瞬で信頼関係崩れるからね』


「申し訳ないとは思ってるんだけど。生娘だと思われるのが恥ずかしかったのと、嫉妬するのが可愛くてつい……」


『彼氏さんには誠心誠意謝った方がいいね。あと、もしそういうことをするにしても、事前に嫉妬心を煽るようなことをしていいかってちゃんと許可を取ってからにした方がいいよ』


「そうね、そうするわ」


『ねえ、てか、彼氏できたの!?』驚きの声が響いていた。


「あ、ちょと待ってよ。ごめん京子、今の会話を聞かせたら甘えて抱きついてきたから」


修はようやく楓が自分を揶揄うためのプレイだったのだと分かり、楓に甘えて抱きついた。


『はぁ、まじかよ。私をイチャイチャ仲直りプレイの出汁に使ったって訳? こっちは女子校で男っ気もなく悶々と生活してるのに、こんな残酷なことってある? こんなに真面目に頑張って生きてるのに!』


「ごめなさい、今度埋め合わせをするから」


『埋め合わせだぁ? なら男だ、男、男! おい、彼氏も聞いてるんだろ! お前の友達を紹介しろ! ダブルデートに行くぞ、オラァ!』


「もう、五月蝿いわね」と言って電話を切った。「ということなの。意地悪しちゃってごめんなさいね」


 修は楓の胸に顔を埋めて頷いた。楓も修の頭を優しく抱き締めて撫でた。

 そして二人は裸で抱き合って眠りについた。楓は修の腕の中で小さく丸まって眠った。彼女の寝息を聞きながら修も眠りについた。



 修の目が覚めたとき、既に楓は目覚めていて優しい微笑みで修を見守っていた。


「おはよう。傷は癒えたかしら」修の左胸に優しく触れた。


 楓を抱き寄せた。


「もう大丈夫だよ。それにしても、楓にあんな面白い友達がいるなんてね」


「今度、友達を紹介してあげて」


「佳也に頼んでみるか」


「あんなイケメン連れて来たら京子も腰を抜かして驚くと思うわ」


「でも、あいつも彼女の一人や二人や三人くらいいてもよさそうだけどな」


「告白されても部活に集中したいって断ってるそうよ」


「恋愛する気をない男を紹介しても迷惑かもね」


「意外と会ったら上手くいって考えも変わるかもしれないわ。彼なら恋愛と部活の両立くらい簡単にこなすでしょうから」


「そうかもね……」


 楓は修の中に葵の姿が浮かんでいることに気がついた。それから股間に手を伸ばした。


「二回も出したからか流石にふにゃふにゃね。なんだか癖になる触り心地」しかし修の海綿体は否応なく反応して血を集めて硬くなった。「ねえ、硬くしないでよ。せっかく触り心地が」


「無茶言うなよ。楓は自分がどれだけ魅力的かわかってる?」


「嬉しいことを言ってくれるじゃない」


「別に喜ばせるために言ったわけじゃないよ」


「そう、じゃあ他の女のことなんて放っておいて、私だけを見て」


「楓はどうしてそんなに優しくしてくれるの?」


「三人の関係があまりに分かりやすくて、修を見ていられなかったの。あなたの優しさにあんまりの仕打ちじゃない。それに、あなたが子供に好かれて遊んであげてる姿を見て絶対に悪い人じゃないって思ったの」


「そっか、ありがとう」


「でも、葵にも優しくしてあげてね。彼女も修の庇護下にいないと大変なの」


「あぁ、分かってるよ」


「もう、作戦を実行してもいいんじゃないかしら?」


「今週の水曜日に清水が恐喝されるところを録音してくれるから、それが終わったら始めようか」


「あの、そのこといついてなんだけどね……」


「ああ、分かってるよ。楓が脅されて無理矢理実行犯をさせられたんだろ?」


 楓は頷いた。


「それも清水に俺から話しておくよ。心配しないで」


「ごめんね、何から何まで頼ってしまって」


「いいんだよ。正直、こうやって頼られるのが嬉しいんだ」


「私も修にできる限りの恩を返さないとね」楓はそう言いながら腰をぐいぐいと押し当て、股の割れ目に修の肉棒の先っぽを押し当てた。


「……それって」生唾を飲み込んだ。


「本当は今すぐにでも私の初めてを捧げてあげたいのだけど、今はほら、お腹がね……」


「俺は嬉しいどころじゃ済まないくらい嬉しいけど、楓に申し訳ないよ」


「初めてが気がひけるのなら、誰か適当に引っ掛けて処女を奪って貰おうかしら」


「そんなことは絶対やめてくれ」


「冗談に決まってるでしょ。女の子にここまで言わせて断るなんて修も酷いことしてる自覚を持ってよね」


「……そっか、ごめん」


「気にしないで、それよりそろそろ作戦を共有しておきたいんだけど、この状態で話をしっかり聞けるかしら?」掴んで肉棒を扱いた。


「ごめん、お願いするよ」


 楓はおもむろに修の頭を抱いて自分の胸へ運んだ。それからヨシヨシと頭を撫でた。修は楓のピンク色の突起に吸い付いて舐めた。


「よしよし、いい子でちゅね。おいちいでちゅか」赤子をあやすような声色だった。


 修は恥ずかしく顔を真っ赤にさせながら胸へ顔を埋めて隠れた。


「なんでかくれるんでちゅか? 素直じゃない悪い子にはお仕置きが必要でちゅねぇ」勢いよく修の弱点をいじめた。


 修は必死に我慢したが楓の手つきは激しくなるばかりだった。修の限界は間近だった。楓は修をそっと離し、それから修の下半身の方へ移動した。


「今度はママがミルク飲んであげまちゅからね」先端を口に咥えて舌で舐め上げ、手の動きは最後の追い込みをかけた。


 修は三度目の快楽に浸りながら、なにも考えることができなかった。ただ荒れる呼吸だけが部屋の中に響いていた。楓はさっきと同じように、口の中に溜まった精液を一度見せつけてから飲み干した。


「いっぱいでまちたね」修の頭を撫でた。


「今日だけで楓に開けちゃダメな扉をたくさん開けられた気がするよ」


「もっとたくさん開けられるように勉強しておくわ」


 修が苦笑いをしてみせると楓は制服を着直した。修も制服を着て二人で並んで座った。


「ちょっと元気がなさそうだけど大丈夫?」


「こんな短時間で三回もするのは初めてだからさ。ちょっと疲れちゃった」


「大丈夫? 今日は帰る、それとももうちょっと横になる?」


「水を一杯貰ってもいいかな」


「ごめんなさい、私いやらしいことばかり考えていてお茶も出さないで」


「大丈夫、俺もエロいことしか考えてなかったよ」


「ちょっと待っててね」


 部屋を出ると葵は保温ポットや急須やお茶菓子を持って部屋の中に戻ってきた。


「すげぇ、俺急須なんて初めて見たよ」


「本当?」


「ああ、知っての通り育ちが悪くてね。え、普通はあるものなの?」


「普通はあるんじゃないかしら。お客さんが来た時にも必要でしょ?」


「そっかぁ、ホント自分が社会とは掛け離れた存在なんだなって思うよ。こういう時」


「別にそんなに悲観しなくてもいいんじゃない?」言いながらポットから急須にお湯を注ぎ、湯呑みに注いだ。


「なんかそうしてると上流階級のお嬢様に見えてくるよ。所作が凄い美しくて」


「大袈裟よ、茶道じゃないんだから」湯呑みを受け皿に乗せて修に手渡した「熱いから気をつけてね」


「お茶ってこんないい香りがするんだ。緑茶って言うくらいだけあって急須で淹れるとこんなに緑色なんだね」


「あまり気にしたことなかったけど、ペットボトルのお茶とは全然違うのよね」


「そう、ペットボトルのお茶見て黄茶だろってずっと思ってたんだけどさ。黄色の液体だとイメージが悪いから緑茶って言ってるのかと思ってたんだけど、本当はちゃんと緑茶だったんだなぁ」


「修って自分が可愛い自覚ある?」


「あるわけないだろ、アホだって言いたいんだろ!」そう言いながら湯呑みを持ってゆっくりお茶を飲んだ。


 快楽の代償である困憊した肉体へお茶の美味さは染み渡っていった。あまりの美味さに涙を流した。自分でも訳がわからない感涙だった。


「嘘でしょ?」楓は信じられずに笑って、修の涙をそっと拭った。


「本当、ありがとう」


「こんなことでそんなに喜んでくれるんだったらお茶くらいいつでも淹れてあげる」


「そう? こんなに幸福なことはないね」


「うん、またえっちなことして搾り取って疲れ切った身体にね。ほら、羊羹も食べて」


「ありがとう、美味しいよ」再び落涙した。


「ねえ、やめてよ。私も泣いちゃいそう」と眼を潤ませて笑った。


「なんか凄い元気出てきたわ、ありがとう、楓」


「羊羹は栄養補給に優れてるからね。脂質が低くて糖質が高くておまけに消化にもいいし」


「そうなんだ。楓はなんでも知ってるんだね」


「バカにしてる?」


「そんなことないよ」


 二人は笑い合いながらお茶を呑んだ。

 それから楓は東と結衣の二人の関係に楔を打ち込み、自分たちに有利な土台を作っていることを説明した。二人の関係性の説明は複雑で深く絡まっていた。


「じゃあ、その結衣って女を取っ捕まえてやればいいってこと?」


「そうだけど、東がいつも一緒にいるでしょう? だから私にはどうにもできなかったの」


「まあ、それは俺がなんとかするよ」


「結衣と東は私がまだ自分の仲間だと思ってるから、修を罠に嵌めるってことにして呼び出すわ。そこで二人の携帯を奪って欲しいの。そうしたら後は私がなんとかするから」


「分かった」


「……お願いなんだけど……その時に結衣の携帯は絶対に中を覗かないで欲しいの。私の痴態を修に見られたら生きて行けないから」


 修は深く頷いて、何も聞かなかった。

 楓はそれがありがたく修を抱き締めた。修はふと、全てが終わった後に楓の優しさのメッキが剥がれ自分が必要とされなくなるのではないかと思った。葵がそうだったように……。楓が他の学友と親しげに話す様子を学校の中で何度も見かけることがあった。自分にその輪へ入る資格がないことは明らかだった。しかし彼女の優しい言葉を信じたい気持ちもあった。


「どうしたの?」楓はじっと黙っている修を不審に思って頭を撫でた。


「いや、なんでもない」


「なんでもないってことはないでしょう? もしかして、まだ私を信用できない?」


「いや、室生さんも楓は困ってる時には助けてくれるって言ってたし、信頼してるよ」


「そう、葵がね」そして、頭から手を下ろして修の手を握った。「じゃあなぜ、そんな辛そうな表情をしてるの?」


「今はちょっと難しいな。全てが終わったら打ち明けさせてよ」


「ええ」頷いた。


「そろそろおいとましようかな」


「下まで送っていくわ」


「ありがとう」


「あの、烏滸がましいのは、分かってるんだけど、明日も修が学校に行く途中に迎えに来て欲しいんだ。ちょっと一人じゃ怖くて……」


「あぁ、構わないよ。通学路からちょっとそれただけだしね。むしろ、朝の楽しみができて嬉しいくらいだ」


「ありがとう」修の胸を撫でた。


 沈黙が支配するエレベーターから降りてエントランスを抜けた。二人が立ち止まって無言のまま見つめ合うと、チワワが修に向かってキャンキャンと歯茎を剥き出しにして吠えかかった。


「すみません、こんなこと初めてで、普段は大人しい子なんですけど」飼い主はリードを引っ張って修に謝った。


 修は全く気にせずに片手を上げて応え、歩いてゆく犬の後ろ姿を見送った。


「やっぱり畜生同士通ずるものがあるのかしら」


 修はゲラゲラと笑った。楓は予想していた反応とは違ったため怪訝そうに顔を覗いた。


「やっぱり女の子はちょっと生意気なくらいが可愛いよ」


「自分で言っておいてなんだけど、ちょっとで済まなかったっと思うけど。修って変わってるわ」


「変わってるかな? どんな反応をされると思ってたの」


「……それは、失礼な言動を咎められたり」


「そっか、責められたかったんだ」顎を持ち上げるように頬に触れ楓をじっと見つめた。


「勿論、冗談の範疇の所謂ツッコミとしての……はい……」


 見つめられ顎を持ち上げられた楓は自身の数秒後の未来を予見し、観念して目を瞑り接吻を受け入れる姿勢をとった。修は美しい女性が自身の口付けを受け入れるために目を瞑り軽く口を窄めている表情を優越感に浸って眺めた。楓の柔らかい唇に触れて撫でると、ゆっくりと目を開き自分を弄んだ修にジトっとした抗議の視線を送った。


「あっ、えっ、楓」と驚きの声が響いた。


「あっ、お母さん」楓は声の方に振り向いて言った。「今日は早いね」


 修は何事もなかったかのようにおもむろに手を下ろした。楓の視線の先を見ると楓とよく似た四十代のいかにもキャリアウーマンといった格好の女性が口元に手を当ててあからさまに驚いていた。


「お母さん? お姉さんかと思った」修はなんてことなさそうに呟いた。


「んー、君、百点」と駆け寄って修の肩をバシバシと叩きながら言った。


「ちょっとやめてよ、恥ずかしい」そう言ったが、母親の素行にはもう慣れきっているという様子だった。


「ねえ、ご飯一緒に食べて行かない?」


「大変ありがたいのですが、院で子供たちの面倒を見てやらないといけなくて」


「院?」首を傾げた。「少年……?」


「ねえ、失礼でしょ。孤児院に決まってるじゃない」母親に対して少し大きな声で言った。「ごめんね」修の方を見た。


「大丈夫だよ」親子のやり取りが微笑ましかった。


「ごめんねぇ、若いのに苦労してるのねえ」


「いえ、施設の方も親切で子供たちも懐いてくれてとても楽しく過ごせています。本当にありがたい限りです」


「まえ、子供たちを六、七人くらい連れて公園で遊んでたものね。みんな、あなたに甘えて楽しそうだったわ」と、微笑ましそうに笑った。


「へえ、楓も一緒にいたの?」


「ショートケーキが美味しいって評判のカフェに行ったら、ちょうど目の前の公園で遊んでて」


「そうなんだ。あ、そういえばお名前はなんて言うの?」


「……京谷修です」緊張して言った。


「えっ……」


 母親の明るい表情が一気に翳り、青褪めた。修は自身が京谷修あるという罪を一瞬にして突きつけられたような気分だった。

 修は一瞬にして身体の温度が奪われ、手足の感覚さえなくなってしまったかのように錯覚した。楓も顔を顰めて何も言えずに立ち竦んでいた。修は時が止まってしまったかのような、冷たい空間の中で自身の存在意義を見失った。


「すみません、失礼します」


 修は軽く頭を下げて足早に帰った。母親という子供を守らねばならない立場から見たら修を警戒するのは当然であり、それ自体には修も子を対する愛情を感じた。修を警戒しているわけではなく、その肉親に殺人犯がいる事実は十分警戒に値すると、修は素直に受け止めた。あの、母親も悪気があった訳ではなく、ただ楓に対する愛情があっただけだ。修はそう自身を慰めた。



 楓が孤児院に帰るとミサキは出迎えて修に抱きついた。


「あの女の匂いがする。この前の公園の……」


「よく分かったね。嗅覚が鋭いんだ」頭を撫でた。


「落ち込んでるみたいだけど。あの女に何かされたの?」


「違くて、その子に慰めてもらってたんだよ」


「慰めるって何するの?」無知な子供のふりをして尋ねた。


「急須で淹れたお茶と羊羹を振る舞ってくれたよ」


「そんなことで慰めになるの?」


「ああ、慰めは気持ちだからね。とはいえ、すごい美味しかったけどね」


「すごい濃い匂いが付いてるからぎゅうってして慰めてもらったのかと思った」


「まあ、そういうこともしてもらったけど」


「エッチ、嘘つき、大っ嫌い」べえと舌を出して孤児院に駆けて行った。一度会って女としての格の違いと余裕を見せつけられてから、楓に対する対抗心を燃やしていたのだった。


 修も走って追い掛けてミサキを捕まえるとお姫様抱っこで抱えて孤児院へ戻った。

あと2話か3話で終わらせます。

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