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第8章 31 冬フェス ヴァーチャルリンク開催

上層へたどり着いたリリカチームは、周囲を見渡した。


――他のチームの姿は、ない。


静けさが広がっている。


予定通り、事前に組んでいたルートで進行を開始する。


先行する迅と紗良の視界の先――


橋の上に、ゴーレムの群れが現れた。


八体。


橋を塞ぐように配置されている。


ゴーレム達は周囲を警戒し見つかれば即戦いになりそうな雰囲気。


だが、右手のルートには敵影はない。


「美咲、ゴーレムが目視で八体。橋を警備してる。


 右ルートはフリーだ。どうする?」


迅は、簡潔かつ正確に状況を伝える。


遠征調査で鍛えた観察力が、そのまま発揮されていた。


「オッケー……今は中層のチームに気づかれたくない。


 右ルートでいこう」


即断。


「迅はその場で警戒。紗良、右ルート先行お願い!」


「了解!」


紗良は建物の壁を蹴り上がり、そのまま軽やかに跳躍する。


龍焔の力を使い、空を滑るように進んでいく。


「明鏡止水……ルート修正、お願い」


「――良かろう」


美咲が地図を操作し、明鏡止水へ指示を出す。


淡く光る瞳。


次の瞬間、五人の共有マップに新たなルートが描き出されていく。


「ほんま便利やな、人形ちゃん……」


キャットが感心したように呟く。


その間も、迅は橋のゴーレムへ視線を向け続けていた。


万が一の襲撃に備えるためだ。


(……この配置なら――)


ゴーレムを回避すれば、後続チームの足止めにもなる。


美咲の意図を読み取り、


迅は迂回ルートの選択が正しいと確信する。


先行した紗良のルートは、やがて崖に突き当たる。


だが、紗良は迷わない。


龍焔の力で一気に上昇し、崖を駆け上がる。


そして頂上へ到達すると、


素早くロープを複数固定し、下へと垂らした。


「来て!」


迅の位置を越え、


後続の美咲、リリカ、キャットがロープを掴み、順に登っていく。


淀みのない連携。


迂回ルートを難なく突破し、


リリカチームは最初の目的地――中ブロックへと到達した。


「待ってました――ワタシの出番!」


リリカが目を輝かせる。


その瞬間、空気が変わる。


戦闘から、表現へ。


彼女は迷いなく、撮影の準備に取りかかった。


到達したブロックは――桜咲く空中庭園。


淡い花びらが風に舞い、静かな時間が流れている。


「……よし、ここは任せて」


キャットが一歩前に出る。


その目は、完全に“仕事人”のそれだった。


「ここに合う衣装は……これしかないでしょ!」


手際よくリリカをコーディネートしていく。


綺羅びやかでありながら、どこか落ち着いた色合いの着物。


手には和傘。


ベンチには、赤い反物を敷く。


舞い散る桜。


構図が、完成する。


「――いくで」


シャッターが切られる。


和傘の影。


その奥から、ふと息をつくように向けられる視線。


吸い込まれるような、表情。


撮影したキャットは――言葉を失った。


「どう? 撮れたー?」


次の瞬間、


リリカはいつもの調子でひょいと近づいてくる。


その落差に、


キャットは一拍遅れて反応した。


「リリカ……! これ、売れる……!」


ごくり、と生唾を飲む。


「いやこれ販売用じゃないからっ!


 早く登録して!」


「えぇ〜……」


しょんぼりしながらも、キャットは写真を登録する。


――その瞬間。


『おっと! 開始12分!


 リリカチーム、ここで初の撮影成功です!』


実況が響く。


『お、おお……! なんという美しさ……!


 これは……クオリティが桁違いだ……!』


スクリーンに映し出された写真に、


観客がどよめく。


投票数が、一気に跳ね上がる。


――制圧。


リリカチーム、中ブロックを獲得。


20ポイントを加算。


「やった!」


「ナイスや!」


リリカとキャットがハイタッチする。


桜の花びらが、その間を静かに舞い落ちた。

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