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第8章 4 冬フェス ヴァーチャルリンク開催

「もしかして…リリカ?」


迅は、思わず呟くように口にした。


「……っ!!!」


帽子を受け取った女性は、反射的に帽子を深く被り直し、

ずり落ちていたサングラスを慌ててかけ直す。


そして周囲をきょろきょろと見回し、

行き交うプレイヤーたちの様子を確認した。


誰一人として気にも留めず通り過ぎていくのを見て、

彼女はようやく安堵の息を吐く。


帽子とサングラスでの変装――

(正直、安直だな……)と思いながら

迅は様子を見る。


次の瞬間――


「申し訳ないけど周りには黙ってて…!」


小声で、必死の形相のまま迅に詰め寄った。


あまりの勢いに、迅は一瞬言葉を失う。

その様子を見て、紗良は呆気にとられていた。


要領を得ていない迅に痺れを切らし、女性は迅の腕を掴み、半ば引きずられるように連れて行かれる。


「どこ行くんだよ!」


「ここじゃ話せないから、とにかくこっち来て……!」


迅と女性は人混みの中へ消えていく。


「……え、ちょっと待って!」


置いていかれた紗良は、慌てて後を追った。



ーーー


人通りの少ない裏路地へと出る。


「こんな所まで連れてきて、何の用だ」


迅は少し不振気味に話す。


「急にこんな所連れてきてごめん!」


「でも、あんな公衆の面前で身バレしたら動けなくなっちゃうでしょ!

 貴方が私のファンなのもありがたいけど!」


「…?いや、俺は別にファンじゃないぞ?」


「え……?」


女性は一瞬固まり、再びサングラスをずり落とす。


「だって、さっき……私のこと……」


「知り合いが無理矢理、アンタのグッズ渡してくるから覚えてただけだ」


迅の脳裏には布教活動に勤しむ美咲の顔が浮かんだ。


その言葉を聞いた瞬間。


「~~~~っ!」


両手で顔を覆い、リリカ?はその場に崩れ落ちた。


「は、恥ずかしすぎる……!

 ……死にたい……!」


だが、次の瞬間。


「……でも!」


勢いよく立ち上がり、ガッツポーズを決める。


「なら隠しててもしょうがないか!

 あなたの言う通り、私が――あのリリカです!」


ドヤ顔で腰に手を当てる。


しかし。


「……へぇ」


迅の反応は、驚くほど薄かった。


リリカは、すっと一筋の涙を流す。


そのとき。


「ちょっと!置いていかないでよ!」


上方から声が降ってきた。


紗良が軽やかに宙から降り、

くるりと体を反転させて勢いを殺し、地面に着地する。


その一連の動きを、

リリカはぽかんと口を開けて見つめていた。


「あ……あなた達……身軽なのね……それにアバターのフォルムも凄い綺麗…!」


数秒の沈黙。


そして――


「……っ!これだわ!」


リリカは何かを閃いたように、

迅と紗良を交互に見つめた。


「あなた達!2週間後に開催されるヴァーチャルリンクに一緒に出てくれない?」


リリカの提案に呆然とする2人だった。

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