表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/88

第6章 8 暴かれる真実

地上へ着地すると同時に、葵時雨は地面を深く踏み込み、一気に駆け出した。


その刹那――

足元へ、黒い塊が落ちてくる。


次の瞬間、塊は炸裂し、濃い黒煙が噴き上がった。


葵時雨は即座に後方へ跳躍。

空中で一回転しながら、爆風を紙一重でかわす。


……!


さらに、宙からもう一つ、黒い塊が落下。


葵時雨の動体視力が、その正体を瞬時に見抜いた。


――時限式の爆薬。


彼女は落下してくる爆薬を足の甲でそれを拾い上げ、そのまま頭上高く蹴り上げる。


宙高く舞う爆弾が花火のように爆発。


前方に、プレイヤーの群集が立ちはだかっていく。


その中央で、ヴォルグがニヤリと口角を上げ、散弾銃を構える。


「……悪いが、ここは通せねぇな」


「黒いワンコがいっぱい来た…」


葵時雨の不敵な笑みに、ヴォルグは迷わず引き金を引いた。


一発、二発、三発。


散弾が炸裂し、無数の弾丸が空間を埋め尽くす。


だが葵時雨は、しなやかに身体を反らし、

弾丸の雨を縫うように回避していく。


ヴォルグは間髪入れず、爆薬を投擲。

時間差でもう一つ投げ、回避の隙を塞ぐ。


葵時雨は地面に両手をつき、そのまま回転。

脚を大きく開き、二つの爆薬を蹴り飛ばした。


左右へ弾かれた爆薬が炸裂。


黒煙と風圧が渦巻き、葵時雨の髪が大きくなびく。

仮面の奥で、黄金の瞳が鋭く光った。


「……噂通りの、バケモンが」


ヴォルグは皮肉を交えつつも、散弾銃に弾を込め直す。

次の攻撃に備えながら、決して油断はしていない。


その装填の一瞬を狙い、葵時雨は突進する。


一気に距離を詰め、ヴォルグへ一撃を叩き込もうとした――その瞬間。


別角度からの射撃。


葵時雨は直感で危険を予知、連続でバク転。

弾幕から距離を取り、後方へと下がる。


さらに、別の方向からは砲撃。


葵時雨はバク転の着地と同時に、

戦場に落ちていた剣を拾い上げると、砲弾へ向けて投げつけた。


剣が砲弾に触れ、爆発。


衝撃波が広がり、葵時雨はわずかに息を整える。


だが、続く砲撃が、撃ち込まれ

足場が次々と崩れていく。


「……嫌な感じ」


葵時雨は違和感を持つ。

まるで、何者かの意思が戦場そのものを操り、

自分を縛りつけようとしているような感覚。


「……よし」


「このまま爆撃をメインに、追い立てろ!」


ヴォルグは、確かな手応えを感じていた。

その感触に、わずかな複雑さが混じる。



突入直前、ワトソンから各ギルドへ共有された情報が脳裏をよぎる。


――葵時雨のような格闘タイプは機動力が高いがその代わりリーチが短い。面で捉え、足場を壊し、機動力を奪う。

距離を保ち、一方的に攻撃する事。


合理的で、冷徹な戦術。


「……こっちの大将もバケモンってわけか」


ヴォルグは吐き捨てるように呟いた。


「どいつもこいつも、まともじゃねぇな……おい!」


自分の感情を振り払うように、

ヴォルグは再び銃口を向け、引き金を引く――。


---


**丘上――九尾の晩餐の陣。**


眼下では、葵時雨が複数ギルドを相手取り、なおも突破を試みている。

その様子を、真羅は静かに見下ろしていた。


立ち上がり、同じく丘の縁まで歩み寄る李・酒龍。


「大事な弟子が苦戦してるみてぇだが……いいのかい?」


嫌味を含んだ声。

その表情には、心配など微塵もない。


真羅は眉一つ動かさず、視線を外さないまま答えた。


「……あの程度の輩に苦戦しているようでは、まだまだです」


淡々とした口調。


「良い修行の機会でしょう」


「それよりも――」


真羅は葵時雨から視線を逸らし、さらに遠方の一点を見据えた。


「……あそこにアメリカの錬金術師殿がいますな」


酒龍がその視線を追う。


「下の輩といい

 先ほど、威閻殿を挑発した女性……

 あれも、彼の手によるものかと」


「会議で話してた奴か…」


李・酒龍は口の端を吊り上げた。


「はは……面白ぇことになってきたじゃねぇか」


「葵が相手している者共以外は

 私が制圧してきます」


「酒龍殿は、陣で待機していてください」


真羅は首を軽く鳴らしながら言った。


「待て待て」


酒龍は即座に遮る。


「陣の防衛ってことで、仕方なく俺が出てやる」


まるで理由を後付けするように言い回し。


“仕方なく”と言いながら、その顔は満面の笑みだった。


真羅の返事を聞く間もなく


李・酒龍は、丘の縁から躊躇なく飛び降りる。


「……身勝手な御仁だ」


真羅は、短くため息をついた。


---


**ズン……!**


低い地鳴りと共に、一つの影が戦場へと降り立つ。


その身体から放たれるのは、

むき出しの殺意ではない。


雑念を削ぎ落とした末に研ぎ澄まされた――

**純粋な戦闘意志。**


それが、正面に立つ者すべてへと向けられる。


振るわれる青龍刀の一薙ぎ。


ただそれだけで、三人のプレイヤーが同時に刈り取られた。


「――俺が、遊んでやる……!」


目の前には“九尾の晩餐最強”がいたー。


その名を呼ぶ声が、正面から響く。


「李・酒龍……!!」


アーサーは戦慄し、なおを立ち向かうー。



---

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ