第6章 6 暴かれる真実
**イタリア・ローマ都市。**
転送ゲートのエリアに、約束の時間に迅たちは降り立った。
そして、すぐに異常に気づく。
転送ゲートを囲む、あまりにも多すぎるプレイヤーの群れ。
以前体験した大阪の奪還戦とは、全く規模が違う。
「……多いな」
迅は思わず、周囲を見渡した。
ギルドごとに固まって立つプレイヤーたち。
そこかしこから伝わってくる苛立ち、不信、疑念。
空気そのものが、肌を刺すように張り詰めている。
奪還戦の進行が、芳しくないことは一目で分かった。
美咲が、例の機器を取り出す。
周囲のアバター数を把握できる測定ツールだ。
「ざっと見ても、一万人はいるね。
絶えず人が出入りしてるから、正確な数までは分かんないけど」
「一万人……!」
美咲のさらりとした報告が、重く胸に落ちる。
世界大会の会場を思い出す人口密度。
それが、ただの転送ゲート前に存在している。
「これだけゲート周辺にいるなら……
中は、ここにいる倍はいるんじゃないかな」
美咲は、ゲートの向こうを見据えて言った。
その時、ローゼからメールが届く。
――時間になりました。こちらへお集まりください。
集合場所の座標も添えられていた。
「……行くか」
迅が言うと、美咲と紗良は静かに頷いた。
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指定された場所には、すでに連合ギルドの面々が揃っていた。
ワトソンとローゼの姿もある。
「集まったね。じゃあ、作戦を説明する」
ワトソンが前に出る。
ウインドウが五つ展開された。
一つには、ローマ都市全体のマップが映し出される。
「すでに奪還戦エリアをミハイルが現地偵察をしている。
その情報によると――」
ワトソンがマップを操作する。
城壁に囲まれた城塞エリア。
北と南に入口があり、プレイヤーの初期侵入地点は外壁の外、北か南のいずれか一方。
「九尾の晩餐は、既に奪還戦エリア内部北側に陣を構えて準備を進めている」
ワトソンは北側を指で示し、残り4つの幹部が映されたウインドウをそこへ並べる。
* 序列一位 李・酒龍
* 序列三位 真羅
* 序列七位 威閻
* 序列九位 葵時雨
「現地で確認できたのはこの四名」
「……相手も攻略に本気だな」
アーサーが、息を呑む。
ワトソンは一拍置き、続けた。
「ここからが本題だ。
……僕らは、今からこの陣を襲撃する」
一瞬、場が静まり返る。
そして、ざわりと空気が揺れた。
「もちろん、目的もなく突っ込むわけじゃない」
ワトソンは淡々と続ける。
「襲撃の混乱の中で、違法薬物を使いそうな幹部を孤立させ、追い込む」
「待て」
ヴォルグが口を挟む。
「追い込んだとして、幹部が素直に使うとは限らねぇだろ」
「追い込めれば、かなりの確率で使うと思うよ」
ワトソンは即答した。
「九尾の晩餐の幹部は、“撃破されること”を何より避ける傾向がある」
「装備や素材のロストを嫌ってるってこと?」
美咲は奪還戦の仕様をウインドウに表示させながら尋ねる。
■奪還戦エリアは、装備の摩耗が発生する。
撃破された場合、全ての装備が破損状態となり、修復に素材とポイントを消費する。
「それ以上に、プライドだろうな…」
アーサーが頷きながら続ける。
「九尾の晩餐の序列は戦闘成果や功績で決まるって話を聞いた。
奪還戦みたいな大舞台で、一人だけ落とされるような格を落とす行為は避けたいはずだ」
ワトソンが視線を戻す。
「僕達が狙うのは――序列七位、威閻」
威閻のアバターが拡大表示される。
「このプレイヤーが、違法薬物を常用している可能性が今の所一番高い」
威閻の行動をまとめた情報が表示される。
相手プレイヤーのアバターを執拗に破壊する粗暴な行動。
薬物が出回り出してから上がった急激な功績。
そして、最近の序列変動。
「威閻は最近、功績が認められ、序列八位から七位に上がっている」
「……確かに、人相悪そうなアバター」
紗良がぽつりと漏らす。
「威閻は激情型だ。
挑発すれば、真っ先にこちらへ向かってくる」
ワトソンはウインドウを切り替える。
「陽動に成功したら追いかけてきた威閻を相手にする部隊と、
他の幹部が近づけないよう足止めする部隊に分かれる」
作戦分担がの役割が、全員に共有された。
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**▼ 対威閻部隊**
* 紫の境界
3人
* 南の風
ルージュローゼ+50人
ローゼ隊が威閻を陽動し、紫の境界含めた
部隊で威閻を襲撃。
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**▼ 他幹部足止め部隊**
* 南の風
ジェニス・ワトソン
マーク・ミハイル
ギルドメンバー ルージュ隊除く全員。
235名
中央に展開、
右側よりの後方に主力のジュニス・ワトソンが展開。
* 黒の狼
207名
* 傭兵同盟
194名
*一粒の星の砂
132名
この3ギルドは左翼担当
3ギルドが合同して担当する為、イレギュラーに備えて中央、右翼より戦力やや多め。
* 三剣の騎士団
防衛力が高く、単体で成立しているギルドの為、右翼からやや中央まで広く対応。
181名
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「それでは、作戦を開始するー。」




