スパイ大作戦
流石はグロセリウスである。明らかにハイレベルな竜騎兵を相手にしても、その勢いを完全に殺している。確かな実力差が両者にはあった。
グロセリウスの活躍もあり、ようやくエリア2の主であるドラゴン軍団長ディザードを見渡せる所まで来た。
「皆、ここから先はどんなトラップがあるか分からない。」
「そうね。リスターの言う通り。ここは時間をかけて進んだ方が良さそうね。」
「しかしグロセリウスの前には竜騎兵も雑魚以下だな。」
「うちのグロセリウスの敵ではなかったみたいだな。」
「皆、武器弾薬のチェックを忘れない様にな。」
「いざという時に空なんて笑えない冗談だからね。」
「それにしてもエリア4までは無駄打ちは避けてくれ。」
「大丈夫よ。グロセリウスは弾の節約位教わってるわよ。」
「それは、皆で共有しておいた方が良いな。」
「有益な情報は部隊同志連携しなくちゃね。」
そんな余裕綽々の会話をリスターとジャスミンがしていた頃だった。一人のSTRS兵士がヨロヨロになりながら、サウィノス中心部のエリア2までやって来た。
「おい、救護班!手当てを頼む。」
この兵士はどうやらSFFを護衛していた艦隊に所属していた戦闘機乗りであり、何かを伝える為に決死の覚悟でここまで来た事は分かった。その時、手当てから30分頃だっただろうか。目を覚まして、リスターにこう告げた。
「リスター少佐、アイザー・ゼルト元帥が危機にあられます。これを御覧下さい。」
そう言うと、兵士は一枚の紙をリスターに渡した。
「そこに記されているのは、DASとSTRS兵士の通信を傍受したものです。この二人はグルでした。グロセリウスが出張った今、アイザー・ゼルト元帥は危機にさらされています。このような裏切り者は100~500人はいると言われています。敵総大将ブラックキャット直属のスパイ部隊です。一刻も早くグロセリウスを閣下の元へ…。」
「その話もっと詳しく聞かせてくれないか?」
と、リスターは嘘かもしれない話に耳を傾けた。




