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33.言いたい事も言えないなんて

1日の授業が終わると文化祭の準備に取り組む。

劇の衣装製作や小道具作り、台本作りなどやる事がいっぱいだ。


キーラとルルは衣装製作に必要な材料の買い出しを任され、街中にある雑貨屋に来ていた。


「この造花とか良いんじゃない?」


「そうですね!シェリーさんの胸に付いている薔薇のイメージに近いです!」


「黒のドレス生地も買ったし、そろそろ学園に戻ろうか」


「わかりました!」


店を出て学園へと向かう。


「ちょっとお腹空かない?」



ーーグゥーー



お腹が空腹で鳴り、ルルは恥ずかしそうに俯く。



「……そうですね、歩き回ったんで少し空きました」


「じゃあ、あそこのカフェで休憩しようか」


「はい!」


店に入りキーラはコーヒーとパンケーキ、ルルは紅茶とパフェを注文した。

パンケーキを頬張りながらキーラは尋ねる。



「ルルは将来何かやりたい事とかあるの?」


「……私の父と母は宮廷魔術師で私も宮廷魔術師になろうかと」


ルルは苦笑いしていた、その変化をキーラは見逃さなかった。



「なんか無理してない?」


暫しの沈黙の後ルルは口を開く。



「……私、本当は学園の先生になりたいんですけど、父と母は私にすごく期待してて、本当の事を言ったらがっかりするだろうからその期待を裏切れないです」


俯くルルにキーラは優しい口調で話す。



「……私の知り合いで長年好きでもない仕事を続けてきた人がいるんだけど、ある日"俺、何で生きてるんだろ"って思ったんだって」


ルルは顔を上げ真剣な表情で話を聞いていた。



「言いたい事を心の中で押し留めて、正に死んだ様に生きてる感じだったんだ、ルルはそんな人生嫌だろ?だから言いたい事も言えばいいし、もっと我儘でいいんじゃない?自分の人生だ自分で幸せを勝ち取らなきゃね」


そう言うとキーラは微笑む。



「……ありがとうございます、なんか勇気が湧いてきます」


ルルから感じた暗い陰は自然と消えて行った。



「そろそろ学園に戻ろうか」


「はい!」


会計を済まし店を出る。

少し歩いた所でルルが慌てだす。



「あ!私学生証何処かに忘れてしまったかもです……」


「学生証見せれば割り引きだったから、使うとすれば雑貨屋かな?ここで待ってて私ちょっと見て来るよ!」


「……すみません」


キーラは駆け足で雑貨屋へと向かった。



「ねぇねぇ、今何してるの?」


キーラを待つルルに帯刀した2人の騎士学園の男子生徒が話しかける。



「……あの、えっと」


「今から遊ぼうぜ!な?いいだろ?」


「そうそう!良い場所いっぱい知ってるよ俺ら」


困ったルルは俯きどうしようか気持ちが焦り出す、だが先程のキーラの言葉を思いだした。



(……もっと我儘でいい!)



「あの!興味ないので行きたくないです!!」


食い気味にそう言われた男子生徒達は舌打ちした。



「ノリ悪ぃな、そういうのいいから行こうよ」


「あの路地裏のビリヤード店穴場なんだよね」


1人の男子生徒は強引にルルの手を掴む。



「……おいクソガキ」



ドスの聞いた声で呼ばれた男子生徒達は振り向く。



「あ?なんだてめぇ?」


「君も俺らと遊びたいの?」


「調子乗んなクソガキが、テメェらは互いのケツ穴でも弄って遊んでろや」


キーラは更に煽った。



「……コイツやっちまおうぜ」


「俺もさんせーい」


そう言いながら男子生徒達はキーラに掴み掛かろうとするが……



ーーバキッーーゴキッーーボコッーー



キーラは正当防衛と言いながら男子生徒達をボコボコにした。

慌てて走り去る男子生徒達にキーラは中指を立てる。



「……大丈夫かルル?」


「はい……ありがとうございます」


ルルの目は怖かったのか涙で潤んでいる。



「ちゃんと言いたい事言えたじゃん」


キーラはそんなルルに向かってニカっと屈託のない笑顔を向けた。



(……ずるいですアキラさん)


ルルの頬は赤くなり、更に心に深くアキラという存在が入り込んで来るのを感じていた。









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