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32.女達の闘い

夏は終わり実りの秋となった。


昼休みの昼食でいつもの4人が食堂の一角に居た。

リノアはリゾットを美味しそうに頬張りながら話を切り出す。



「そろそろ文化祭が始まるわね!」


「文化祭?」


そんな催しが学園にあるのか。



「交流を目的として2日間行われますよ、1日目は他校の生徒が来て2日目は家族同士の交流です」


「交流っていう肩書きだけど、本当の所は将来のパートナー探しとか人脈を作る感じなのよ」


「……なるほどね」


「この都市には騎士学園もあるし、いろんな人が行き交うわ」


キーラは自分には関係ないかなと思いながら話を聞き流す。



「あんた、呑気にしてるけど対抗試合で注目を浴びたから、確実に囲まれるわよ!」


「スカウトとかいっぱい来そうです!将来どうするのとか決めてるんですか?」


「私は自由気ままに生きたいだけだし、正体は男で一生女で過ごすつもりも無いから、基本断るつもり」


「あら、素晴らしい能力もあるのに勿体無いわ」


前世の社畜時代に長年こき使われまくった経験をしている以上、誰かに指図されるのは御免だ。



「文化祭では何やるの?」


「基本は1〜3学年の各クラスで出し物をするわ!」


「去年はお店を出したりとか、魔法を使ったアートを作ったりしてるクラスが多かったですよね」


「クラス内で案を出し合って、多数決で何をするか決めるのよ」


住む世界は変わっても学生のする事は変わらなかった。



午後の最後の授業でサリー先生が言う。



「皆、文化祭何やるか決めるわよ」


クラスの皆は何しようかと周りと相談し始める。



「例年通り、多数決で決めるわよ」


カフェ、劇、アスレチックなどの案が上がり、多数決で劇に決まった。



「何の劇にしようかしら?」


サリー先生は唇に指を当て考える、仕草が女らしくてなんか最近サリー先生が普通の女性に見えて脳がバグってきた。



「ハイハイ!!悲恋の騎士と歌姫やりたいです!!」


リノアは立ち上がりアピールした。


クラスの皆も良いんじゃないと肯定的で案は採用される。



「じゃあ配役を決めないとね、とりあえず今回は主役の騎士ロイズ役とヒロインの歌姫シェリー役だけでも決めちゃおうかしら、公平にクジ引きで決めるわよ」


そう言うとサリー先生は即席のクジ引きを作った。

まずはロイズ役のクジ引きが回って来る。



(……裏方でのんびりしたいや)


キーラは欠伸をしながら早く終わらないかなと思い、頬杖を付いていた。



ーー騎士役やりたかったのに外れたぁ。


ーー私もよ、ついてないなぁ。



女生徒達の悲壮が伝わって来る


順番にクジの入った筒が回って来てキーラは適当にクジを引く、紙を開くと丸が書いてあった。



「……あ、私当たった」


わぁっとクラス内が盛り上がる。

対抗試合でお姫様抱っこをしたせいか周りからは的役だと声が上がる。



「じゃあ次はヒロインのシェリー役よ」


女生徒達の目つきが一瞬にして変わった、もはや殺気すら感じる。

キーラ以外の誰もが思っていた、私がヒロインの座を掴むと。


クジの入った筒が回り、外れた女生徒達からこの世の終わりの様な悲痛な声がこだまする。


そしてリノアの番が回って来た。



(……最後にはキスシーンもあるのよね)


リノアの手に力が篭る。



「どりゃあぁぉぁぁ!」


気合いを込めクジを引き紙を開く、だが白紙だった。

リノアは紙を持ったまま灰になる。


次はルルの番だ。



(もしクジが当たりだったらアキラさんと密着……あわわ……)


ルルはアキラに見つめながら抱かれる姿の自分を妄想し顔を赤くする。



「えい!!!!」


ルルは渾身の運を使ったつもりでクジを引き紙を開く、またしても白紙だった。


ルルはしょぼんとしながら席に座った。

次の女生徒の番になる。



「あら、私当たったわ」


ヒロインの座を手に入れたのは誰なのか、クラス中の注目が集まる。

ニコニコしながら丸が書かれた紙を持つアイリスが居た。



ーーくっそーー


ーーアイリスマジ豪運!!


ーーそういうとこあるよね、アイリスって。



羨望や嫉妬でクラス内が湧き立つ。



「決まりね、ロイズ役をキーラちゃん、シェリー役がアイリスちゃんよ、頑張ってね」


そう言うとサリー先生は教室から退室しお開きになった。












 



















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