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200.四大国

戦争は終わった。

そして誰もが神樹国アクティースの敗北を予想していた。

だがその予想は外れる所か、終結への脅威的なスピードに誰もが度肝を抜かれた。


そして四大国のメラフューレ王国、オルフェン帝国、ジュレシア獣王国からの注目が集まる。


◇ ◇ ◇ ◇


〜メラフューレ王国城〜


「ほう、何とも興味深い」


王座に座った好々爺の老人が、長い白髭を撫でながら思案に耽る。

男の名はカスティール、世界で知らない者は居ないと言われる程有名であった。


「うむ、予定変更だな」


そう言うとカスティールはにっこりと笑う。


その笑顔を見れば誰もが心を許しかねない。

だがカスティールを一言で言うと、"狸"だ。

いつも相手より上手にいる、その策謀を何重にも張り巡らせる事が誰よりも長けている。


日本の偉人で言えば、徳川家康に近いと言えばわかりやすいだろう。


「カスティール王、どうなさいますか?」


宰相のラゼフが、カスティールの顔を伺った。

その姿を一目見た後、カスティールは徐に三通の手紙を書き出す。


「これを頼む」


「かしこまりました」


ラゼフは一礼すると三通の手紙を受け取った。


◇ ◇ ◇ ◇


〜オルフェン帝国城〜


「……そうか、あっはは!!ミスラウェル聖皇国が負けたか!!」


女は膝を叩きながら大笑いする。


オルフェン帝国の女帝、名はティアーレ。

歴代の皇帝の中で初の女性であり、今まででどの皇帝よりも民の信頼が厚い。

"政治とは民を掌握する事"を信条にし、数々の政策を実行して来た。

その中には前代未聞の政策も少なくは無い、だが時が経つほどにティアーレが言っている事は正しいと皆わかる、なぜなら結果が出ているからだった。


その姿は日本一の出世頭、豊臣秀吉を思い浮かべるだろう。


「そうか、そうか、あのジジイには苛立っていたからな」


「ティアーレ様、あまり大声で言われなさらずとも……」


宰相のリュクスは困り顔を浮かべた。


「リュクスよ、ミスラウェル聖皇国には勇者が加わったのにこのザマだ世の中何が起こるかわからない、だがそれがおもしろいじゃないか」


ニヤニヤと笑うティアーレを見て、リュクスは「おもしろがってる場合じゃない」と思いながらため息をついた。


◇ ◇ ◇ ◇


〜ジュレシア獣王国城〜


「ほう、ミスラウェル聖皇国が敗北だと?」


毛を逆立てながら獅子の獣人が不吉に笑う。


獣王国の王者、名はバルギガレウム。

正しく唯我独尊、己の言う事は絶対服従であり、逆らう者は拳でわからせる。

そのせいか近隣の国家間でいざこざが絶え間なく起こるが、全て力で捩じ伏せて来た。


自他共に認める最強種であり三度の飯より戦いが好き、その暴虐無尽ぶりは織田信長を連想させる。


「アキラか……、一度手合わせしたいぜ」


どうにか会えないものかと、バルギガレウムは思考を巡らす。

体が疼いてしょうがない、もうアポ無しでアクティースに行ってやろうかなと思い始める。


「バルギガレウム様、どうか、どうかそれだけは辞めてください」


そう言いながら宰相のヨーゼフが土下座している。


「ほう、ヨーゼフ、俺の考えを読むか」


「それはもう……見ればわかります」


「それをわかっていながらも、俺に逆らうか?」


「いえ、どうせならお互い全力で戦える場を整えた方が、バルギガレウム様もさぞ楽しかろうと思ったまでです」


それを聞いたバルギガレウムの眉がピクっと動く。


「もう少し様子を見て判断した方が、もっと良い結果になると思います」


心を掴んだと思ったヨーゼフは捲し立てる。

伊達に長年バルギガレウムに仕えてない、興味を引くツボを押さえている。


「……しょうがない、もう少し待つか」


「ははぁ!!」


バルギガレウムの決断を聞き、ヨーゼフは気づかれない様に冷や汗を拭った。


◇ ◇ ◇ ◇


その頃アキラは、ミスラウェル聖皇国城の客間に居た。


「事前に話していた通り、聖遺物とアーティファクト其々一つずつと引き換えに、負傷した兵へ回復魔法を掛けるという事でお願いします」


宰相ロヴオン筆頭にゼルヴィンや、クーデターを計画していた貴族達が頭を下げる。


「わかっている、もうすでにそちらの野戦病院にライムを向かわせているから心配するな」


「ありがとうございます」


「それとライムの報告によればアーヴァインとかいう男は見つかったそうだ、瀕死だがまだ生きているそうだから助かるだろう、聖女の行方は未だわからないそうだ」


「……然様ですか」


「とりあえず細かい事は後日決めよう」


「お泊まりになられますか?」


「いや帰るよ、皆も心配してるだろうし」


「わかりました、お送りします」


「それも結構、アーティファクト(バイク)で帰るから間に合っている」


「わかりました、お気をつけて」


そう言うと一同頭を下げ、アキラを見送った。













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