第63戦記 宇宙会議
翌日、悠理たちは京都での会談の日を迎えたが、会談は夕方のため午前中はいつも通り登校した。
【天越学園】
悠理「京都って、どんなところかな?」
麻里奈「ロマン溢れる、日本の古都でござる」
萌「美味しいお茶と和菓子がい~っぱい…♡」
十兵衛「宇治抹茶・夕子・八ツ橋、色々アルゾ」
杏花「アンタたち、遊びに行くんじゃないのよ」
ニコル「悠理」
登校途中の悠理たちの元へニコルがやって来た。
ニコル「昨日、一つ言い忘れたことがある」
悠理「言い忘れたこと…?」
ニコル「お前は無鉄砲で危なっかしい奴だ。だがお前から一つ、学んだことがあった」
悠理「…?」
ニコル「あんな雑魚どもとは言え無闇に揉め事を起こせば、無関係な周囲にも火の粉が降りかかるということだ。あれは俺が火種になった事件でもある。一応、感謝しておく」
ニコルは横を向いたまま悠理と目を合わせなかったが、感謝の気持ちを受け取った悠理は嬉しくなり少し微笑んだ。
「ハッハッハッ…‼」
悠理たち「…⁉」
「レッド、ブルー、イエロー、グリーン、ピンク‼」
大河内・大河内親衛隊たち「天越学園の平和を守る愛と美の戦士‼︎ 天越戦隊、大河内トルーパーズ‼ ただ今参上‼︎」
悠理たちの前に突然現れた5人の人影。それは、特撮ヒーロー戦隊の格好をした大河内と大河内親衛隊であった。Gトルーパーズに影響され、自分たちも人気を集めようと始めた試みであった。
大河内「美しく決まったかな…?」
大河内親衛隊たち「美しゅうございます、大河内様ー--‼」
大河内「グッドモーニング、レディーたちにメンズ‼ 天越学園を救った謎のヒーロー、Gトルーパーズに倣って僕たちも始めたんだ‼
いくぞ‼ 天越学園の平和を守る、愛と美のスーパーヒーロ………⁉」
杏花「バカ‼」
ニコル「マヌケ」
萌「痛すぎ」
十兵衛「偽善者」
悠理「何ですか、それ?」
麻里奈「カッコいいでござる‼ 拙者もやってみたいのう‼」
杏花「さあ、行きましょう。早くしないと遅刻するわ」
大河内親衛隊たち「大河内様~~~‼」
大河内「愛と美のスーパーヒーロー…、大河内トルーパーズが…」
杏花たちに手厳しくあしらわれ、大河内たちは落ち込んだ。
【スペースコロニー グランドール】
ここはスペースコロニー「グランドール」。地球周辺に点在するスペースコロニーの中で、最も巨大な多目的スペースコロニーである。
ここで今、年に一度ラニアケア超銀河団内の各銀河系の代表者や宇宙連邦政府議会の議員たちが集まるサミット「宇宙会議」が開かれていた。
大勢のマスコミ関係者が駆けつけ、会場では宇宙社会の現状や今後の方針を議題として会議が行なわれている。
会議には議員たちの他、宇宙連邦政府軍からも佐官クラス以上の将校たちが参加しており、尉官クラス以下の将校や兵士は護衛任務に当たっていた。司会進行役はベレッタとハリーマンが執り行っている。
ベレッタ「では、宇宙情勢の現状についてご説明したいと思います。現在、我々にとって脅威となる勢力は、大きく分けて以下の4つです。
第三次宇宙大戦で戦争中の、強大無比な異星人たちの宇宙帝国、ギャラクシア・ヴァース帝国。
突如として現れた、オーバーテクノロジーを用いる未知の軍事勢力、機甲十字軍。
天変地異をも起こす異能者集団を率いる、目的不明のカルト教団、ブラディスト教団。
そしてGATE事変で話題となった、EDEN'S GATEより現れる、魔光牙と創世兵士と言う正体不明の怪物です」
ハリーマン「またS.I.Aの情報によると、機甲十字軍とブラディスト教団は利害の一致で同盟を結び、宇宙連邦政府やギャラクシア・ヴァース帝国の艦隊を次々と壊滅させています」
議員A「ただでさえ厄介な勢力同士が同盟とは」
議員B「だが見方を変えれば、ギャラクシア・ヴァース帝国への抑止力にもなっている訳か」
議員C「第三次宇宙大戦の戦況はどうなのだ⁉」
ベレッタ「戦況は開戦以来、よろしくない状況が続いています。今月初頭に防衛網を突破されたあと、敵は圧倒的な科学力と物量差で地球に向かって侵攻を続け、その勢いは太陽系に届こうとしています」
議員D「軍は何をしている⁉ 連戦連敗続きではないか‼」
議員E「軍が不甲斐ないせいで、ワシらの銀河系は侵略された‼」
議員F「九条くん、君はどうかね⁉」
議員や代表者たちが腹を立て大騒ぎする中、一人の男が立ち上がった。この男の名前は「九条京士郎」。
宇宙連邦政府軍の総帥で、第二次宇宙大戦を勝利に導いた「伝説の英雄」として兵士たちから尊敬される一方で、ギャラクシア・ヴァース帝国からは「翠緑の悪魔」と恐れられた男だ。
※九条京士郎=以下、京士郎と略。
京士郎「戦況挽回のため、超越兵士計画の発動を準備しております」
議員G「超越兵士計画⁉」
ハリーマン「私からご説明いたします。モニターをご覧下さい」
ハリーマンは会場のモニターに超越兵士のデータや資料を映し出し、画面を切り替えながら説明を始めた。
ハリーマン「超越兵士とは人間の《《五感を超越した》》超感覚的知覚を開花した兵士であり、その超越兵士で構成された最強の軍隊を創設する計画こそが、超越兵士計画です」
コブロフ「俗に言う、ESPや第六感というやつですかな?」
ハリーマン「超越兵士計画はスタン・ハーバード研究所の主任、エドモンド・アイザック博士を研究・開発チームのリーダーとして進めています。そして先日、プロトタイプとなる《《超越兵士第一号》》と超越兵士専用試作型アーマード・ギア「メタルフォートレス」が完成いたしました」
ハリーマンはメタルフォートレスの映像を映し出し、説明を続けた。
ハリーマン「SFG-EXP01 メタルフォートレス。全高500mを誇る超巨大アーマード・ギアで全身に無数のプラズマキャノンを装備し、超越兵士の人並み外れた反応速度とセンサーで敵を的確に捉え、巨体から放つ強大なパワーと圧倒的な火力で敵軍を駆逐します。
さらには大型シップ・ギア並みの装甲と特殊なバリアであるスピリットフィールドを持つ、正に文字通りの鉄壁の要塞です」
議員H「素晴らしいぞ、ハリーマン‼」
議員I「これならば、戦況を覆せるかもしれん‼」
アーサー「青二才が図に乗りおって…‼」
京士郎(このような《《非人道的》》な計画…、本来ならば破棄したいものだがな…)
ハリーマンの超越兵士計画の説明を聞いて議員と代表者たちは歓喜し、アーサーは拳を握り締め、悔しそうに歯を食いしばっていた。だが、京士郎は一人うつむいて難色を示していた。
ベレッタ「それから、皆様方に知っていただきたい勢力があと二つ。
アステロイドベルト周辺をアジトとする宙域指定機甲暴力団、星龍會。
木星の衛星エウロパを本拠地とするスペースマフィア、宇宙犯罪結社ワルディ・シンジケート。
宇宙連邦政府の宇宙輸送艦などから海賊行為を繰り返す、宇宙海賊カルバリア団と、以上の三つを中心とした、宇宙犯罪組織の数々です」
議員J「ならず者集団など、今さら敵ではなかろう?」
議員K「裏社会の組織など、勝手にしのぎの削り合いでもさせておけ‼」
議員L「それよりも、機甲十字軍のハーケンローゼス13人衆、ブラディスト教団の十血将と言う得体の知れん連中を何とかしろ‼ 特に黒い凶星と呼ばれる謎の兵士は驚異的だ‼ 今までに200以上もの艦隊が、奴一人に壊滅させられている‼」
ベレッタ「おっしゃる通り、戦力や組織の規模は他の勢力と比較するまでもありません。しかし近年、徐々に科学技術を増している宇宙犯罪組織があるのも事実です。こちらをご覧下さい」
ベレッタはモニターに天越学園襲撃事件の映像を映し出した。
ベレッタ「これは2日前に地球の日本でアウトロー集団によって起こされた、天越学園襲撃事件をS.I.Aが捉えた時の映像です。
犯行グループは練度も操縦技術も低いため、最終自衛隊と機甲警察によって間もなく鎮圧されましたが、注目すべきは主犯格の搭乗するアーマード・ギア。どこから技術が流出したか分かりませんが、宇宙連邦政府軍にも引けを取らない高い技術が使われていました」
議員M「信じられん…」
ベレッタ「また略奪したシップ・ギアを違法カスタムした、宇宙海賊カルバリア団の宇宙海賊船、スターダスト・サーベル号にも高い技術が使われています。
特筆すべきはその豊富な武装と艦体全体にバリアを張り巡らせ艦体ごとぶつける、突艦戦術を持つ点。これができるシップ・ギアは、スターダスト・サーベル号と最終自衛隊の旗艦、ミカサ・グレートのみです」
オズマ「最終自衛隊…‼ 忌々しい連中め…‼」
ベレッタ「そして最後にご説明する勢力は、第三次宇宙大戦の混乱に乗じて打倒、宇宙連邦政府の思想を掲げ各地でレジスタンス活動を行う、火星を拠点とする反宇宙連邦政府レジスタンス組織、REVARSE」
アーサー「REVARSE…。8年前、当時中将であった九条総帥が総指揮を取った大規模なレジスタンス鎮圧作戦、「オペレーション・マーズ」でリーダーのマイケル・ティアーと杏子・ティアーが討ち取られ、なりを潜めたと思っていたがな…」
京士郎「………」
京士郎はオペレーション・マーズについて小声で話すアーサーを横目で見て、《《深刻な顔》》をしていた。
ハリーマン「この組織も先ほど同様、今はまだ大した勢力ではありませんが、彼らの思想と影響力は危険です。メンバーの多くは反宇宙連邦政府思想の宇宙移民や異星人で構成され、その思想は近年宇宙に大きく広がりつつあり、このまま野放しにしておけば宇宙連邦政府にとって脅威となる一大勢力になると思われます。
特に危惧すべきは、《《革命の灯》》」
コブロフ「革命の灯…⁉」
ハリーマン「彼らは組織の再興と蹶起を計り《《それ》》を探し求めています。《《革命の灯》》はこの宇宙社会を根幹から《《ひっくり返し》》かねない、《《ある意味》》では宇宙市民にとって最も危険な《《思想》》、《《存在》》そのものです」
議員N「ならば、何故今すぐ捕まえん⁉ 反分子は徹底的に洗い出せ‼」
議員O「《《革命の灯》》とは何だ⁉ 我々にも教えろ‼」
※ヨハンナ・アディヤ=ヴィルスマイアー=以下、ヨハンナと略。
ヨハンナ「みなさん、ご静粛に‼」
議員と代表者たちが大声で騒ぎ立てる中、ヨハンナが立ち上がり声を張り上げると、会場は一斉に静まり返った。
ヨハンナ「レジスタンスも我々と同じ宇宙市民。また、地球人にとってはかつて地球再星計画で手を取り合った仲間でもあります。みなさん、それをお忘れではありませんか?」
ヨハンナの言葉に圧倒され、会場の参加者が小声でざわつき始めた。
ヨハンナ「力で支配し、血で血を洗う争いを続けた結果起きたのが、旧世界の最終戦争…、第三次世界大戦。これ以上無駄な争いを続ければ、その先に待つのは最終戦争の再来です」
ミケル「議長…」
ヨハンナ「もし彼らが我々と同じよりよい宇宙社会を望むのならば、今こそ再び手を取り合い、諸問題に立ち向かう時ではないでしょうか⁉」
アーサー「理想主義者め」
ヨハンナ「無論、急に銃を下して対話を計るなど、突拍子もない理想を掲げるつもりはありません。ですが、いつかはギャラクシア・ヴァース帝国とも戦争を終結させ、同じ宇宙に住む者として対話できる日が来ると信じています‼
よってわたくしはその足掛かりとして、REVARSEとの会談を試みたいと考えております‼」
議員たち「議長、ご立派です‼ 私たちも賛同いたしますぞ‼」
ヨハンナが話し終えると、《《一部を除いた》》会場の参加者たちが一斉に立ち上がり拍手と歓声をヨハンナに浴びせた。
ベレッタ「以上を持ちまして、新西暦2089年度、宇宙会議を閉会いたします‼ ご参加の皆様方、誠にありがとうございました‼」
ハリーマン(七賢星が全権を握っているとは言え、最高評議会の影響力はまだまだ健在か…。ヨハンナ・アディヤ=ヴィルスマイアー…、侮れんな…)
こうして、宇宙会議は閉会した。
ヨハンナの行動により、今後宇宙社会はどう移り変わっていくのか?
【次回予告】
ナレーション:愛沢誠
よう‼ Night Starの指名NO.3、月夜野夢こと、愛沢だ‼ 指名待ってるぜ‼
最終自衛隊とGトルーパーズの奴ら、京都で最高評議会の議長とアル・スフィアの連中と会談するらしい。
そして、それを機甲十字軍の奴らは陰から狙ってるって訳だ。
こりゃ、一荒れしそうだな。
次回、宇宙創戦記XTENTION‼
【第64戦記 京都会談】
って言う話らしいな。楽しみにしてたら、サービスしてやるぜ‼




