第62戦記 可憐総長《キューティーヘッド》‼
マッドエンペラー連合による「天越学園襲撃事件」は鎮圧され、参加したメンバーの多くは逮捕となった。
この事件はニュースにもなり、これを機に機甲警察では対策と戦力の強化が練られるようになる。
【俠星高校】
事件の翌日、竜二は父の辰夫から電話で酷く叱られていた。
辰夫「バカ息子が‼︎ アーマード・ギアをケンカで使うなといつも言っているだろう‼︎ しかも、新型をスクラップにしやがって‼︎
それに天越学園はな、うかつに手を出してはいけない《《大物》》がたくさんいるんだ‼︎ 今日という今日は絶対に許さんぞ‼︎」
竜二「また出て行けとか言うんだろう、クソ親父‼」
辰夫「竜二、お前を勘当にする‼︎ そうでもしなけりゃ、《《お上》》に示しがつかん‼︎ 二度と敷居を跨いで来るな‼︎」
辰夫から勘当され、通話を終えた竜二はv Phoneを強く握り締めて地面に叩きつけた。
竜二「何が勘当だ‼ ろくに父親らしいこともしてねぇくせに‼」
不良A「竜二さん、これからどうするんスか?」
不良B「主力メンバーはほとんど捕まるかバックレて、組織は壊滅状態」
不良C「残ったのは支部と一部の主力メンバーと幹部。しかし、みんなあの状態っス」
狭山「く…、黒い凶星に、呪われる…‼ 殺される…‼」
天王寺「何だ…、あの黒い鬼のような怪物は…‼」
ボブソン「わあっ…、来るな、来るな…‼」
ミアと交戦した幹部やメンバーたちは頭を抱えて震え、黒い凶星のトラウマにさいなまれていた。
竜二「腰抜けどもが‼ だが、俺は必ず再起してやる‼」
鮫島「またあのバケモンと戦う気っスか⁉ 俺はもう勘弁っスよ‼」
竜二「仕方ねぇだろ、もうあとがねぇんだ‼ しかし愛沢の奴、どこへバックレやがった⁉」
竜二は一人どこかへいなくなった愛沢の行方を追い、再起を計る決意を固めた。
【天越学園】
天越学園は先日の事件の爪痕を残しつつも何とか開校し、学園にまたいつもの平和な日常が戻った。
亜里沙「ええっ、覚えてないの⁉」
悠理「ゴメン、全然覚えてない…」
亜里沙「そっか…。私を助けてくれたのは、悠理だったのに…」
亜里沙(でもいっか…。悠理は私にとってのスーパーヒーローだもん…♡)
悠理(ダメだ、全然思い出せない…。ただ…、《《プロトY》》って言葉を聞いた瞬間、意識が無くなったことくらいしか…)
いい感じの雰囲気で会話している悠理と亜里沙の様子を、拓哉たちは遠くから眺めていた。
拓哉「最近あの二人、妙に仲良くねぇか…?」
陸翔「きっと何か秘密があるな」
玲「付き合ってる…、とか…?」
浩樹「それより俺は、悠理と杏花さんの関係が気になる…」
昇太・松山・竹原・梅澤「我々は悠理氏と、まり~なと萌ちゃんとの関係が…」
3K「おい、大和‼」
悠理と亜里沙が会話をしているところへ、突然3Kが割り込んだ。
加藤「昨日はよくも俺たちを踏みつけてくれたな⁉」
悠理「そうだっけ?」
小宮「しらばっくれる気か⁉」
甲斐山田「ちょっと面貸せよ‼ 俺たちが思い出させてやるからよ‼」
甲斐山田が悠理の胸倉を掴んだ瞬間、遠くから杏花がやって来た。
杏花「悠理ー--‼」
3K「ああっ⁉」
杏花「アンタらぁー‼」
加藤「ぐぼぉー‼」
杏花「本当にー‼」
甲斐山田「なんでぇぇぇ‼」
杏花「邪魔よー--‼」
小宮「うわあぁぁぁぁ‼」
杏花は加藤を右ストレートで殴り飛ばし、甲斐山田を左足で蹴り飛ばしたあと、小宮の制服の襟を掴んで引きずり、一本背負いで勢いよく投げ飛ばした。
悠理「杏花、どうしたの?」
杏花「悠理‼ 今日、乗り込むわよ‼」
悠理「どこへ?」
杏花「マッドエンペラー連合の本拠地よ‼」
悠理・亜里沙・拓哉たち「ええっ⁉」
亜里沙「杏花さん、いくら何でも無茶じゃ…」
杏花「あんな奴らに好き放題されたままでいい訳⁉ 私は気が収まらないわ‼」
悠理「でも、終わったことだし…」
杏花「ああいうのは一発喝を入れてやらないと、また何かやらかすわ‼ 昨日の奴らのボスはNO.2の竜二とか言ったわね⁉ だったらNO.1の大ボスと直接、話をしに行くのよ‼ 麻里奈と萌と十兵衛も賛同してくれたわ‼ 部活が終わったら、校庭で待ってるからね‼」
陸翔「強い、杏花さんには敵わないな」
拓哉「ああ、俺たちより強い。あの強さなら大丈夫だろうが、一応様子だけ見に行くか?」
浩樹「強く美しい杏花さん…‼ 俺はあなたに相応しい強い男になりたい‼」
昇太・松山・竹原・梅澤「まり~なと萌ちゃんが行くなら…‼」
玲「危ないからやめとけば…?」
麻衣子「みなさーん‼ 授業が始まりますよー‼」
始業ベルが鳴り、悠理たちや他の生徒たちは教室に入り席に着いた。だが。
男性教師「おい、加藤と小宮と甲斐山田はどうした?」
男子生徒「さあ、分かりません」
男性教師「アイツら、またサボりか‼」
3K「ほえはひを…、わふえないで~~~…」
1年C組の3Kだけは気絶して忘れられたまま、授業が始まった。
そして放課後、部活を終えた悠理たちは校庭に集まった。
杏花「さあ行くわよ、大ボスのところへ‼」
十兵衛「カチコミダ、カチコミダ‼」
ニコル「待て、俺も連れて行け。大ボスとやらの面だけでも拝んでおきたい」
悠理たちの元へ突然ニコルが入り込んだ。
麻里奈「悠理殿のクラスメイト、ニコル殿でござるな」
萌「イ…、イケメン…♡」
ニコル「奴らがたまり場にしているアジトの場所ならつかんでいる。新中野倉庫の跡地だ」
麻里奈「新中野倉庫…。十兵衛ナビを頼むぞ」
十兵衛「承知」
十兵衛がGPSで新中野倉庫の座標をセットすると、一同はそれについて新中野倉庫の跡地を目指した。
【新中野倉庫 跡地】
新中野倉庫の跡地にたどり着くと、悠理はボーっと見ていたが、他はたむろしていたメンバーたちを締め上げて、半ば強引に情報収集を行った。
杏花「さあ、教えなさい‼」
ニコル「お前たちの総長、真のボス猿はどこだ‼」
麻里奈「教えなくば…」
萌「昨日よりもっと痛い目に遭うかもね…」
M・E・UメンバーA「わ…、分かった、言う‼ 総長は「新中野総合病院」にいる‼」
悠理たち「新中野総合病院⁉」
杏花「何で病院に⁉」
M・E・UメンバーB「総長は生まれつき身体が病弱なんだ。それに今、《《原因不明の病気》》にかかっている‼」
情報を聞き出した悠理たちは、新中野総合病院へ急いだ。
【新中野総合病院】
ここは新中野総合病院。50階建ての大型病院で最先端医療の機器を揃え、数多くの名医たちが在籍している。玄関付近にはメンバーたちがいたため、悠理たちは話を聞くことにした。
M・E・UメンバーC「杏花・E・ティアー、皇麻里奈、雪月萌⁉」
M・E・UメンバーD「有名人が何の用だ⁉」
杏花「昨日の天越学園襲撃事件‼ そのことで総長に話があんのよ‼」
萌「部屋はどこ?」
麻里奈「名を何と申す?」
M・E・UメンバーC「50階の5004号室。名前は「早乙女加恋」だ」
悠理「早乙女加恋?」
十兵衛「可愛イ名前ダナ」
ニコル「油断はするな」
メンバーたちから名前を聞き出して総長である早乙女加恋の元へ向かう悠理たち。5004号室へ入った悠理たちは、そこで信じられない光景を目にすることになる。
「コンコン…」
※早乙女加恋=加恋と略。
加恋「はい、どうぞ…」
悠理たち「はっ…⁉」
そこにいたのは色白でか細い、清純な美少女であった。肩までかかるくらいの髪の長さで前髪は綺麗に揃っており、生まれつき身体が病弱なためか、雰囲気は暗く目力が感じられない。
悠理「はじめまして。早乙女加恋さんですか…?」
加恋「はい、そうですが……⁉ そこにいるのは、杏花さんに麻里奈さんに萌さん…⁉」
萌「本当にこんな可愛い子が、あんな野蛮な集団を率いてるの…?」
麻里奈「人違いでござったかの…?」
一同はか弱い少女がアウトロー集団のトップであることに疑惑を隠せないでいた。
加恋「有名人が三人も⁉ 感激です…‼ 私に、何か御用でしたか?」
杏花「御用でしたかじゃないわよ‼ アンタの手下のおかげで天越学園は滅茶苦茶だったんだから‼ 今朝のニュースで、天越学園襲撃事件のことは耳にしてるでしょ⁉」
十兵衛「杏花、怖ガッテルゾ‼」
ニコル「少し落ち着け」
加恋「そ…、それは…」
M・E・UメンバーC「待ってくれ、それについては俺たちから話すぜ‼」
詰め寄る杏花に怯えながら加恋が話し出そうとした時、玄関付近にいたメンバーたちが病室に入り説明をし始めた。
M・E・UメンバーC「加恋さんはマッドエンペラー連合の総長であって、総長じゃねえ‼ あれは実質的に竜二さんが勝手に作り上げたチーム、一連の騒動も全部竜二さんの独断だ‼」
杏花「どういうこと?」
M・E・UメンバーD「加恋さんの親父は任侠で有名な「早乙女一家」の8代目で、加恋さんはそのお嬢さんだ。そして、狭星高校も元はあそこまで評判の悪い高校ではなく、マッドエンペラー連合も元は別の名前だった」
萌「別の名前?」
M・E・UメンバーC「「ロードフラワーズ」と言う加恋さんを総長とした少数派のバイクチームで、加恋さんの体調がいい時はよくツーリングに行ってたんだ。だが、竜二さんが狭星高校へ来てからあそこは日本一の不良校に成り果て、さらに竜二さんは言葉巧みに加恋さんに近づいてロードフラワーズを吸収し、今のマッドエンペラー連合を作ったのさ」
ニコル「それがあの般若男が言っていた、実質的なトップという言葉の意味か」
M・E・UメンバーD「今の狭星高校やあのチームには、加恋さんがしめてた頃のような仁義や任侠なんて欠片もありゃしねぇ‼ あるのは暴力や支配だけ‼
変わり果てた連中についていけねぇからこうして加恋さんの側についているが、竜二さんは宇宙三大犯罪組織として有名な星龍會の跡取り‼ 俺たちはどうしていいか分からなくてよ…‼」
麻里奈(せ…、《《星龍會》》…‼)
星龍會の名前を聞いた瞬間、麻里奈の顔が少し青ざめた。
杏花「星龍會って言えば、現総理大臣の徳川や宇宙連邦政府の一部ともつながってるというスペースアウトロー集団ね。それなら任せといて‼」
加恋・M・E・Uメンバーたち「ええっ、本当に⁉」
悠理(杏花、相手は…‼)
杏花(何を今さらビビってんのよ⁉ 私たちはそれより100万倍強い魔光牙や創世兵士、機甲十字軍と戦ってきたのよ‼)
萌「色々事情があって詳しいことは言えないけど、そういう相手なら今まで戦って倒したこともあるからね」
杏花「そういうことで、アイツらのことは私たちに任せておきなさい‼ その代わり、マッドエンペラー連合は解散させるのよ‼ 総長であるアンタの権限でね‼」
加恋「いいですよ。ただし私にも「可憐総長」と呼ばれた女としての意地があります。ここは一発勝負といきましょう‼」
そう言うと加恋は壺とサイコロを二つ取り出した。
悠理「何ですかそれ?」
加恋「これは丁半。二つの賽を振り、出た目の合計が偶数と奇数、どちらになるかを当てるのです。偶数なら丁、奇数なら半。入ります‼」
M・E・Uメンバーたち「久しぶりに見た‼ 加恋さんの本気モード‼」
加恋は丁半の説明を終えると、さっきまでと打って変わった強い表情と口調で壺を振り、勢いよくテーブルの上に壺を置いた。
悠理「丁‼」
杏花「コラ、勝手に勝負に乗るな‼」
加恋「勝負‼」
加恋が壺を開けると六の目が二つ揃い、ロクゾロの丁が出ていた。
加恋「みなさんの勝ちです。約束通りチームは解散しますね」
萌「よく分からないけど、勝ったね」
ニコル「アイツの勘も当たるものだな」
杏花「ありがとう。急に押しかけてきて悪かったわね、またお見舞いに来るわね‼」
加恋「はい、また…」
M・E・UメンバーC「杏花さん、アンタの強さは聞いてるぜ‼」
M・E・UメンバーD「加恋さんがよくなるまでの間、総長になってくれ‼ 姐さん‼」
杏花「姐さんって言うなー--‼」
M・E・Uメンバーたち「ヒィィィィィ‼」
十兵衛「麻里奈、顔色ガ悪イゾ」
麻里奈「すまぬ十兵衛…。また…、《《思い出しちゃった》》…」
こうしてマッドエンペラー連合は解散となり、一連の事件は終息した。
悠理たちは笑顔で帰宅をするがただ一人、麻里奈だけは《《浮かない表情》》をしていた。
【次回予告】
ナレーション:天岩屋動地
やあ、天岩屋動地だ。動地と呼んでくれ。
明日は悠理くんたちが、京都で議長との会談に出席するらしい。だけどそれと同時に、宇宙連邦政府全体でも今後のことについての大きな会議を開くらしい。
内容が少し気になるな。
次回、宇宙創戦記XTENTION‼
【第63戦記 宇宙会議】
と言う話らしい。楽しみだね。




