第50戦記 災厄を告げる尖兵
激闘の末、創世兵士を倒した最終自衛隊。
だが、持てる力を使い果たした彼ら彼女らに、さらなる試練が降りかかろうとしていた。
【ネオ新宿区 都心近郊】
杏花「噓…、まだ三人もいるの⁉」
直虎「ジェネバスターの回復は、まだ不十分なのに…‼」
レーチェル「ミカサ・グレートも臨界でフルドライブした以上、24時間は冷却が必要よ…」
麻里奈「十兵衛、リジェネシステムの調子はどうかの⁉」
十兵衛「回復マデ、3時間ハ必要ダ」
萌「3時間も待つの~?」
創世兵士A「人間ゴトキニ敗レルトハ…、情ケナイ…」
創世兵士B「ダガ、相手ハ《《光ノ子》》…。他ノ人間トハ、訳ガ違ウ…」
創世兵士C「ソレニ、奴ハ最下級ノ兵士。《《光ノ子》》ノ相手ハ、少々荷ガ重イ…」
最終隊員A「あれで最下級⁉」
オペレーター「立花司令‼ 創世兵士が地球上の各国に現れています‼」
直虎「何ですって⁉」
メインモニターには、各国の燃え上がる街とEDEN'S GATEをバックに、宇宙連邦政府軍が創世兵士や魔光牙と戦う姿が映っていた。
政府軍兵A「化け物めっ‼」
政府軍兵たち「ぐあぁぁぁぁっ‼」
政府軍兵B「ギャラクシア・ヴァース帝国や機甲十字軍で手が一杯だというのに‼」
政府軍兵C「このままでは、第三次宇宙大戦に勝つ前に地球が滅びてしまう‼」
政府軍艦長「撃てー‼ 休まずに撃ち続けろー‼」
※アル・スフィア兵=以下、A・S兵と略。
A・S兵「ミケル少将、通常兵器では歯が立ちません‼」
ミケル「どうすればいい…‼」
ベレッタ「私も出る」
ミケル「ブラウベレッタ特佐⁉」
宇宙連邦政府軍やアル・スフィアの兵士は、創世兵士に攻撃を仕掛けているが、かすり傷一つ負わせられず、創世兵士の槍や目から放つビームで次々と撃墜されている。
アーサー「ええいっ‼ こうなったら創世兵士に直接、戦術核を使うぞ‼」
コブロフ「なりません、それだけは‼」
オズマ「ダグラス大将、そんなことをしては我らの立場が‼」
アーサー「黙れ、貴様ら‼」
「バキィィィィッ‼」
コブロフ・オズマ「ぐふぅぅぅっ‼」
創世兵士に核を使おうとするアーサーを、コブロフとオズマは諫めようとしたが、二人はアーサーに殴られ吹っ飛ばされた。
福山「世界が…」
直虎「燃えている………‼」
レーチェル「まるで「ヨハネの黙示録」の、「終末の騎士」…‼」
メインモニターを見つめる直虎たちは、世界の終わりの光景を見ているような目をしており、直虎は幼い頃のトラウマが少し蘇っていた。
創世兵士A「《《光ノ子》》ト、《《闇ノ子》》…」
創世兵士B「マダ、《《目覚メテハイナイ》》ガ…」
創世兵士C「イズレ《《脅威》》トナル…‼」
創世兵士たち「消シ去ル‼ 時ガ《《来ル》》前ニ‼‼‼」
悠理「来る、創世兵士たちが‼ 倒さなきゃ‼」
明日美「ダメよ、悠理くん‼ もう身体がボロボロなのに‼」
悠理「僕たち以外に誰が奴らを倒せるんですか⁉ それに《《言った》》でしょう、明日美さん⁉」
明日美「…⁉」
悠理「ベックリンの《《生の島》》を見に行くまでは、《《死なない》》って…‼」
明日美「悠理くん…?」
杏花「待ちなさい、悠理‼」
麻里奈「悠理殿‼」
萌「悠理くん‼」
十兵衛「ユウリ‼」
仲間たちの静止を振り切り、悠理は創世兵士たちに立ち向かった。
創世兵士たち「叩キ落トス‼ 堕天ヘ‼‼‼」
悠理「うおぉぉぉぉ‼ ムラクモソーー-ド‼‼‼」
槍を振り下ろす創世兵士たちと、ムラクモソードを振り上げる悠理がスピリットフィールドをまとい、ぶつかり合う瞬間だった。
「神風突風拳‼‼‼」
創世兵士たち「グオォォォ‼ ナ、何者ダ…‼」
突然何者かが、猛スピードで風をまといながら、創世兵士たちに右手でパンチを繰り出した。その者は創世兵士たちを吹き飛ばしたあと、近くのビルの屋上に降り立った。
悠理「誰だ…⁉」
その者はフードをかぶり、月の逆光を浴びて顔が見えなかったが、ジェネバスターの姿を確認し微笑むと、口にくわえていた葉巻とフードを脱ぎ捨て姿を現した。
正体はブラディスト教団の十血将の一人である、斬風将ハリ・ケーンだった。
彼は長身瘦躯でスーツを着た紳士的でダンディーな中年男性で、手には手袋をはめ、左目には片眼鏡をかけていた。
ケーン「突然のご無礼、お許しを。私めは、こういう者です」
ケーンは右手の手袋を外し、手の甲を見せつけた。そこにはブラディスト教団員の証である「聖血印」が刻まれていた。
福山「あれは…‼」
レーチェル「聖血印…‼」
直虎「間違いない、ブラディスト教団だわ…‼」
麻里奈「ブラディスト教団…⁉」
萌「何それ? 美味しいの?」
十兵衛「萌、食ベ物ジャナイゾ‼」
明日美「名前なら、聞いたことはあるけど…」
杏花「直虎、ブラディスト教団って何なの⁉」
直虎「世界のどこかに存在するカルト宗教団体よ。宇宙連邦政府の樹立以前から存在していて、政府から宗教弾圧を受けてきた歴史を持つわ。
そのため教団は、政府の目を逃れて秘密裏に活動をし、世界中に隠れ教団員がいると言われている‼
あの腕の印…。あれは教団員が身体に刻み込んでいる聖血印よ‼」
悠理「彼らの目的は何なんですか⁉︎」
直虎「教団の教義や成り立ち、目的などは一切不明‼ 暗黒大司教ブラドスという教祖が教団を率い、その配下に十血将という幹部教団員がいることくらいしか私も知らない‼」
麻里奈「では、かの者が十血将の一人…⁉」
ケーン「左様でございます。私は十血将の一人にして、全てを斬り裂く風の力を授かりし者…、斬風将ハリ・ケーンと申します。以後、お見知りおきを。
なお、ハリ・ケーンとはブラドス様から頂いた洗礼名であることもお忘れなく…」
ケーンは深々とお辞儀をしながら自己紹介をすると、Gトルーパーズの方を見た。EDEN'S GATEに赤く照らされた月の逆光もあって、それが彼の不気味さを引き立てている。
萌「あのおじさんは、何しに来たのかな?」
明日美「私たちを助けに来たのではないことは、確かみたいよ」
ケーン「ほっほっほ、あなた方が《《光の子》》に選ばれた《《子供たち》》ですか…」
杏花「《《光の子》》…? 何、意味分かんないこと言ってんのよ、オジサン‼ これは波動氣神ジェネバスターって言うのよ‼」
十兵衛「杏花、熱クナルナ‼」
ケーン「ジェネバスターをそう呼ぶ者たちもいるのです。また、阿修羅天デア・シャッテン・ローゼを《《闇の子》》と呼ぶ者も…」
全員「《《闇の子》》…⁉」
直虎「やっぱり、ジェネバスターと何か《《関係》》が…⁉」
ケーン「余談はさておき…、私はあなた方と戦いに来た訳ではありません。ブラドス様からは、《《時期を待て》》と仰せつかっております。小手調べに参っただけです」
悠理「小手調べ…⁉」
創世兵士たち「グオォォォ…、小賢シイ人間ドモハ、全テ滅シテクレル‼」
ケーン「おやおや…。我々は後々、あなた方の《《協力者》》になるというのに…。仕方がありませんね…、《《聖血なる神々》》より授かりし風の力、とくとご覧にいれましょう‼」
萌「飛んだ…‼」
ケーンは風をまとって空中を舞い、襲い来る創世兵士たちに向かっていった。
ケーン「竜巻拳‼」
創世兵士たち「オォォォォォ‼」
ケーンは両手の拳から強力な竜巻を発生させて、創世兵士たちを吹き飛ばした。
悠理「拳から竜巻を出した…⁉」
ケーン「鎌鼬‼」
創世兵士B「グアァァァ‼」
ケーン「百連斬鎌鼬‼ ほしゃ、しゃ、しゃ、しゃ、しゃ、しゃ、しゃ、しゃ、しゃっ‼」
創世兵士B「ガアァァァ‼ アリ得ン…、人間ゴトキニ………‼」
ケーンは左手で鋭利な刃物のような風、斬風を発生させ創世兵士の一人を斬りつけたあと、さらに両手で連続して斬風を発生させて、創世兵士を倒した。
麻里奈「切れ味抜群の風を起こし、創世兵士を倒したでござるよ‼」
萌「ほえ~、小説の敵キャラのモデルになりそう…」
ケーン「神風烈風脚‼」
創世兵士C「ドオォォォ‼」
ケーン「空裂台風陣‼」
十兵衛「大型ノ台風ガ、発生中‼」
創世兵士C「グ…、グ…、グオォォォ‼ コノ…、我ガアァァァ………‼」
ケーンは風をまとった強烈な蹴りを創世兵士の一人に浴びせたあと、両腕を大きく広げて回転し、台風を起こした。
台風に巻き込まれた創世兵士は鎧をトタン屋根のようにはがされていき、風圧で押しつぶされて爆発した。
杏花「何これ…」
明日美「さあ…」
創世兵士A「オノレ…、人間ノ分際デ…‼ 許サンゾー--‼」
ケーン「まだやる気ですか? ならば…」
「Ω《オメガ》サンダーー-‼‼‼」
創世兵士A「グアァァァ………‼ エデンノ守護者デアル…、我ラガアァァァ………‼」
残る一人の創世兵士とケーンが戦おうとした瞬間、突然ケーンの背後から何者かが両腕の拳を構えて雷を放ち、創世兵士を倒した。
ケーン「おお…、あなたも来たのですね…」
雷を放った者はフードを脱ぎ捨てた。その正体は十血将の一人で「冥雷将ライ・ガーン」という男だった。彼はオレンジ色の逆立った髪をしており、全身に雷をまといながら宙に浮き、野心に満ち溢れた目をしている。
※冥雷将ライ・ガーン=以下、ガーンと略。
ガーン「たまたま近くを通りかかったのでな…」
悠理「新しい十血将…⁉」
ガーン「いかにも…。俺は冥雷将ライ・ガーン…‼ 冥府の雷を契約した男よ‼」
G・T「…‼」
ケーン「いかがですかな? これが《《聖血なる神々》》と契約を交わした者の力です‼」
全員「………‼」
最終自衛隊の面々は十血将の自然の摂理をも操る力に圧倒され、言葉が出なかった。
ガーン「しかし、奴らに手こずっているようでは、《《光の子》》も《《まだまだ》》か…。あの兵士どもは、「真の最終戦争」、審判の日の訪れを告げる、尖兵にすぎんのだからな‼」
最終隊員B「尖兵だと…⁉」
ガーン「《《闇の子》》はもっと強く、凄まじい氣を放っていたぞ。見ている俺も武者震いするほどな‼」
明日美(黒い凶星…‼)
ガーン「では、そろそろ帰るか…‼」
ケーン「ええ。ではみなさん、またどこかでお会いしましょう‼」
そう言うと、ガーンとケーンは高速で飛び去っていった。
レーチェル「九死に一生…、ね…」
福山「ああ…」
杏花「非常識…」
萌「杏花ちゃん?」
杏花「何なのアイツら⁉ 非常識でぶっ飛んでるにもほどがあるわ‼」
麻里奈「杏花姫、落ち着くでござる‼」
杏花「だって、私たちが苦労して倒した敵を、生身の人間が、得体の知れない力で、あっさり倒したのよ‼」
直虎「杏花、世の中には《《常識が一切通用しない》》物事だってたくさんあるのよ‼」
明日美「そうよ‼ バスターシリーズやジェネバスターだって、世間から見ればまだまだ常識外れなんだから‼」
杏花「悠理、アンタはどう思うの⁉」
悠理「杏花の気持ちは分かるよ。あれは夢なんじゃないかって、思うさ。だけどこの目で見たら、受け止めるしかないじゃないか」
杏花「え…⁉」
悠理「受け止めなかったら、いつまで経っても強くなれないじゃないか‼ 十血将にも、さっきの創世兵士たちにも勝てない‼」
直虎「悠理くん…」
悠理「だから僕は、その非常識っていうのを受け止めて、乗り越えようと思う‼ よく分からないけどさ…」
感情的になっていた杏花は落ち着き、冗談交じりで悠理を叩いた。
杏花「このぉ、悠理のくせに言うじゃない‼」
萌「悠理くん、時々核心を突くよね」
杏花「でも、今日もまた…、ちょっとだけ…、カッコよかったわよ…」
杏花は顔を赤らめながら、そっぽを向いていた。
麻里奈「おお、杏花姫…、顔が赤いでござるぞ…‼」
十兵衛「ツンデレ、ツンデレ‼」
杏花「うるさー--い‼」
明日美「ねえ、悠理くん」
悠理「何ですか?」
明日美「《《さっき》》はありがとう。私も楽しみにしてるわよ」
悠理「《《さっき》》?」
明日美「もう…、忘れちゃったの?」
杏花「アンタって本当、そういうところは鈍いのね‼」
悠理「ん…?」
明日美「また美術館に行こうって約束よ♡」
悠理「あ…、ああ、はい‼」
EDEN'S GATEが消えたのを確認すると、最終自衛隊は帰還した。
突然現れた十血将は天変地異をも起こす力で、創世兵士を次々と倒した。
Gトルーパーズが彼らと戦える日は来るのか?
【次回予告】
ナレーション:小宮圭佑
オッス‼ オイラ、小宮だぜ‼ おい、小さいって言うなー‼
とりあえず、変な化け物が去ってくれて助かったけど、大和たちが日本で戦っている間、世界中のどの国も大変だったらしいな。
何…? オイラは戦ったのかって?
冗談じゃねーぜ‼ あんな化け物相手にできるかよ‼
次回、宇宙創戦記XTENTION‼
【第51戦記 燃える世界】
って言う話らしいぜ‼ 楽しみにしてろよな‼




