第33戦記 Shout《シャウト》‼︎
徳川が新たな総理大臣に就いたことで世間は大きくざわつき、日本社会は動乱の兆候を見せ始めた。
そして、狡猾で用意周到な徳川はその魔手をすでに最終自衛隊にも忍ばせていた。
【星龍會アジト】
星龍會のアジトでは、バスターシリーズとジェネバスターの奪取に失敗した流星組の構成員たちが幹部から叱責を受けていた。
星龍會幹部「テメェらどの面下げて戻ってきやがったぁ‼︎ ワシの顔に泥を塗りやがって‼︎」
構成員A「すいません、アニキ‼︎」
構成員B「ガキどもの強さがハンパじゃなかったンス‼︎」
星龍會幹部「そんなもん言い訳になるか‼︎」
辰夫「もういい、その変にしとけ‼︎」
星龍會幹部「会長…⁉︎」
辰夫「しょせん流山は鉄砲玉…、最初からアイツに期待なんかしとらん。
だが、徳川の御仁が付け入る口実は十分に作れたし、報酬ももらった‼︎次の指示を気長に待てばいい」
星龍會幹部「分かりました‼︎」
「会長…、あのアーマード・ギアのことなら、俺にいい考えがあるんすよ…‼︎」
辰夫「おお…、お前は…‼︎」
「ちょっと…、《《ツテ》》がありましてね…」
辰夫の前に現れた、この男は一体何者なのだろうか。
【秘密のラボ】
政見放送を見ていた湯川は焦り出し、《《データ》》を持って逃げ出す準備をしていた。
湯川「早く、宇宙連邦政府の《《エージェント》》がここへ来る前に《《データ》》を持ち出さねば‼︎」
湯川が《《データ》》を持ってラボから出ようとした時だった。
エージェント「動くな‼︎」
湯川「なっ…⁉︎」
「ガチャ…、ガチャ…、ガチャ…」
宇宙連邦政府のエージェントたちが現れ湯川にプラズマガンを向けた。
エージェント「湯川英一郎だな…。《《実験体》》およびバスターシリーズとジェネバスターの研究・開発データをこちらに渡し、我々に同行してもらおうか‼︎」
湯川「何故この場所が分かった⁉︎」
湯川がそう言うと、エージェントたちの間から一人の男が現れた。
その男は1年前、湯川の亡命を手助けした研究員、「石井野秀人」であった。
普段の彼はメガネをかけた真面目で優しそうな好青年だが、今は冷たい目をしており腹黒さを感じる。
湯川「石井野…、宇宙連邦政府の《《スパイ》》だったか…‼︎」
※石井野秀人=以下、石井野と略。
石井野「そうですよ、博士。私は最初からあなたの持つ《《データ》》と《《実験体》》を手に入れるのが目的だったのです。私の《《クライアント》》が欲しがっていますのでね」
湯川「おのれ…‼︎」
石井野「私は機甲十字軍を調査しているエージェントから、あなたが軍からの亡命を計っているとの情報を手に入れ、あなたに接触を試みました。
すると思惑通り、あなたは私に亡命の手引きを依頼してきました。
《《実験体》》には逃げられましたが、《《データ》》があるだけでも十分な報酬が期待できますよ」
湯川「私をどうする気だ‼︎」
石井野「ご安心下さい。手荒な真似はいたしません。博士にはこれから我々のために働いていただきますから」
湯川「…⁉︎ そのバッジは…、「S.I.A」‼︎ 「監視員」だったか…、石井野…‼︎」
石井野「フフフ…」
石井野は、Space Intelligence Agencyと書かれたバッジを身につけていた。
湯川(私はもうダメかもしれん…、あとは《《頼む》》…)
湯川は石井野とエージェントたちに連行された。
【最終自衛隊総司令部】
その頃地球防衛省は、宇宙連邦政府軍とS.I.Aに包囲されていた。
オペレーター「長官、宇宙連邦政府軍とS.I.Aに地球防衛省を包囲されています‼︎」
全員「ええっ…⁉︎」
直虎「何ですって…⁉︎」
富士山「何と…、もうここまで手を回してきたか…‼︎」
明日美「マズいわね…‼︎」
麻里奈「四面楚歌でござるな…」
萌「どうする?」
悠理「どうすればいいんだろう?」
杏花(S.I.A…‼︎)
司令室のメインモニターに宇宙連邦政府軍の兵士とS.I.Aのエージェントたちの姿が映り、スピーカーからイギリス人の司令官の声が鳴り響いた。
司令官は「オズマ・ヘンダーソン」と言う名前で、階級は中佐だった。
※オズマ・ヘンダーソン=以下、オズマと略。
オズマ「最終自衛隊の全隊員に次ぐ‼︎ お前たちは完全に包囲されている‼︎ 速やかに武装を解除し、バスターシリーズとジェネバスター及び《《実験体》》、そしてこの基地を明け渡してもらおう‼︎
この要求を24時間以内に受け入れない場合、交戦の意志があるものとみなし、我々は基地への突入および攻撃を開始する‼︎ 繰り返す‼︎」
富士山「待て‼︎ 目的は何だ⁉︎ バスターシリーズとジェネバスター…、そして《《実験体》》を手に入れて、地球防衛省をどうする気だ⁉︎」
オズマ「政見放送を見ていなかったのか⁉︎ 新日本政府の新総理が全ての武装の解除およびアーマード・ギアと兵器の研究・開発を破棄、宇宙連邦政府へ委任し、完全平和主義国家宣言をしたのだ‼︎
よって今日よりここは、我々宇宙連邦政府の管轄下となった‼︎ そのため、全ての戦力を我々が直接管理する‼︎」
富士山「そんなことをしてどうする⁉︎ バスターシリーズとジェネバスターは、あの《《子供たち》》にしか扱えないんだぞ‼︎ あの子たち以外に誰が操縦するのだ⁉︎ 外敵の脅威とどうやって戦うのだ⁉︎」
オズマ「無論、我々の管轄下に入り、宇宙連邦政府軍の一兵士として戦ってもらうつもりだ‼︎ 手荒な真似をするつもりはない‼︎ 衣・食・住、生活の安全も保証しよう‼︎」
直虎「生活の安全を保証するですって⁉︎ 今更ノコノコやって来て、平和の使者気取り⁉︎ ムシがよすぎるにもほどがあるわ‼︎」
オズマ「宇宙連邦政府に歯向かう気か⁉︎ 大人しく我々の要求に応じる気がないならば、完全平和主義国家の秩序を乱す反逆者として拘束させてもらうぞ‼︎」
直虎「完全平和主義国家…⁉︎ 都合の悪い人間を力づくで押さえ込んでるだけじゃない‼︎」
オズマ「それだけではない‼︎ 最終自衛隊には、宇宙治安維持法違反の容疑もかかっている‼︎」
富士山「何だと⁉︎」
オズマ「お前たちが機甲十字軍から亡命した科学者、湯川英一郎とコンタクトを取っていたことは把握済みだ‼︎
機甲十字軍と言えば、宇宙連邦政府軍の艦隊を次々と壊滅させる、宇宙の治安と平和を脅かす宇宙のテロリスト‼︎
その機甲十字軍の科学者の亡命を手引きし、コンタクトを取っていたお前たちも、平和を脅かす脅威の一つとして捉えることができるのではないか⁉︎
ちなみに、湯川英一郎の身柄はすでにS.I.Aが拘束した‼︎ 宇宙治安維持法違反の容疑でな‼︎」
全員「…‼︎」
直虎「そんな…⁉︎」
富士山「博士が…⁉︎」
オズマ「さあ、どうする⁉︎ 24時間以内に我々の要求に応じれば、容疑を晴らしてやってもよいんだぞ‼︎」
その時、杏花がゆっくりと立ち上がり、顔をうつむいたまま司令室のメインモニターに近づいた。
杏花「直虎…、マイク貸して…」
直虎「え…、一体何をする気なの…?」
杏花は、ゆっくりと深呼吸をしてからマイクを手に取った。
杏花「コラーーーーー‼︎‼︎‼︎ さっきからアンタたち、好き勝手言いたい放題言ってーーー‼︎‼︎‼︎ 文句があるなら、ここまで来てみなさいよーーー‼︎‼︎‼︎」
全員「…‼︎‼︎‼︎」
地球防衛省全域に杏花の大声が鳴り響き、その場にいた全員が思わず耳を塞いだ。
最終隊員たち「な、何だこの怒声は…⁉︎」
オズマ・政府軍兵たち・エージェントたち「耳が軋む…‼︎」
杏花「何が、24時間以内に要求に応じろよ‼︎‼︎‼︎ 何が、宇宙治安維持法違反の容疑よ‼︎‼︎‼︎ 何が、完全平和主義国家よーーー‼︎‼︎‼︎
自分の身を守る術も、何もかもほっぽり出して、やられてもやり返さずに、ただ指をくわえて黙って見てろって言うの⁉︎
バカじゃない⁉︎ 黙ってやられるくらいなら、戦って死んだ方がマシよ‼︎‼︎‼︎
そんなんだからアンタたち宇宙連邦政府は、ギャラクシア・ヴァース帝国にやられっぱなしなのよーーー‼︎‼︎‼︎」
福山「元気なお嬢さんだ…」
レーチェル「これが、若さね…」
富士山「若い者には敵わんよ…」
直虎「は…、ははは…」
杏花「全ての武装の解除及びアーマード・ギアと兵器の研究・開発を破棄⁉︎ やれるものならやって見なさいよーーー‼︎‼︎‼︎
完全平和主義国家の秩序を乱す反逆者として拘束⁉︎ できるものならやって見なさいよーーー‼︎‼︎‼︎」
悠理「話してることはよく分からないけど、杏花ってすごいんだね…」
萌「杏花ちゃん、ナイス…」
明日美「私たちの言いたいこと、全部言ってくれてるわ…」
麻里奈「杏花姫…、そなたこそ真の武士でござる…」
十兵衛「杏花、勇マシイ‼︎ 杏花、勇マシイ‼︎」
杏花「生活の保証なんてごめんよ‼︎‼︎‼︎ 誰がアンタたちについて行くもんですか‼︎‼︎‼︎
バスターシリーズも、ジェネバスターも、最終自衛隊総司令部も、みんなみーんな、絶対に絶対にぜーーーーっっっっったいに、渡さないんだからーーー‼︎‼︎‼︎
この前ここを襲撃したチンピラ軍団だって、どーーーせアンタたちが徳川とグルになって、よこしたんでしょ⁉︎ アンタたちの方が、よーーーっぽど、テロリストよ‼︎‼︎‼︎
新日本政府の新総理だとか、宇宙治安維持法だとか、完全平和主義国家だとか、グダグダグダグダ言ってないで、かかってらっしゃい‼︎‼︎‼︎
反逆者、上等よっ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」
杏花のけたたましくも勇敢?な叫び声に全員が絶句してしまった。
杏花「ふぅ…、スッキリした…」
オズマ「ぐぅぅぅぅ…………、お、おのれぇぇぇぇぇっ‼︎ こうなったら、強行突破して取り押さえろーーー‼︎」
政府軍兵たち「はっ‼︎」
エージェントたち「任務を開始する」
兵士たちとエージェントたちは突入を開始した。
直虎「はぁ、杏花…、頭の中が一周回ってスッキリしちゃったわ‼︎」
萌「ほんと…」
麻里奈「拙者も一度は言ってみたいでござる」
十兵衛「言ッテミタイ、言ッテミタイ‼︎」
杏花「ごめんねみんな、私ってああいう駆け引きは苦手でさ…。あの手の相手には、ハッキリ言ってやらないと気が済まないのよ…」
レーチェル「あの沈黙を破れるのはあなたくらいのものよ」
福山「向こうは鼻から強硬手段に出る作戦だったみたいだしな」
富士山「遅かれ早かれ、衝突は避けられんよ」
悠理「敵がたくさん入ってくるみたいですね」
明日美「本当。私の銃とイスラエル式近接格闘術、クラヴ・マガが炸裂するわ‼︎」
直虎「私は空手、柔道、合気道に自衛隊格闘術が火を吹くわよ‼︎」
杏花「だったら私は、米海兵隊の近接格闘術、MCMAPをお見舞いしてやるわ‼︎」
麻里奈「拙者たちは気合と根性で戦おうかの…?」
悠理・萌「うーん…?」
十兵衛「気合ダ、気合ダ‼︎」
直虎「みんな、覚悟はいいかしら⁉︎」
G・T「OK‼︎」
理不尽な要求の数々に苛立ちを隠せない杏花が突破口?を切り開き、最終自衛隊VS宇宙連邦政府軍&S.I.Aの白兵戦の火蓋が切って落とされた。
最終自衛隊はこの包囲網を無事に突破できるのか?
そして、湯川の運命はいかに?
【次回予告】
ナレーション:レーチェル・ヴァイン=シュタイン
レーチェルよ。覚えておいてね。
ふぅ…、いつか宇宙連邦政府とは反りが合わなくなって、どこかでぶつかるとは思っていたけど、まさかこんな形になるとは思わなかったわ。
ティアーさん、あなた大したものね。
今から私たちは宇宙連邦政府軍とS.I.Aを相手に白兵戦を展開していくことになる訳だけど、直虎とティアーさんと華園さん…、この三人が素晴らしい活躍を見せてくれるわ。男性陣の出る幕がないほどにね。
女性と言う生き物は、いつの時代も本能的に強いものよね。
次回、宇宙創戦記XTENTION‼︎
【第34戦記 バトルガールズ‼︎】
と言うお話らしいわ。楽しみね。




