表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『残り寿命、あと1分。〜君と明日を生きるため、俺は世界の寿命を喰らう〜』  作者: ヒデまる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/27

永遠を軌らう者、新世界の夜明け

タイム・キーパーから十万年の寿命を喰らい尽くし、シュウの右腕は白銀と漆黒が混ざり合う、神々しいまでの龍の姿へと変貌していた。

 辿り着いた最深部。そこには、巨大な宇宙の星々を映し出す「万象の時計塔」が鎮座していた。

「……来たか。システムを食い破り、無限に到達した特異点よ」

 時計の針の上に座っていたのは、第零執行者クロノ。

 彼女が静かに手を振ると、背後の宇宙から、これまでとは比較にならないほどの「時間の重圧」が降り注ぐ。

「私は世界そのもの。私を殺せば、地上のすべての生命も『時間』という概念を失い、霧散する。……それでも、私を喰らうというのか?」

 究極の問い。

 シュウが勝てば世界が壊れ、負ければ人類は家畜のまま。

「……いいえ、クロノ。あなたは間違っているわ」

 フィオナが、ボロボロになりながらもシュウの隣に立った。

 リィネが端末を弾き、エレインが魔力を高め、ミーニャが牙を剥く。

「時間は奪い合う資源じゃない。……私たちが、自分で刻んでいくものよ!」

 四人のヒロインが、シュウの背中に手を置く。

 その瞬間、シュウの「∞」の紋章が、かつてないほど眩い七色の光を放った。

「……クロノ。あんたを殺しはしない。……あんたの持っている『管理権限』、そのすべてを俺が喰らって、世界に『返して』やるよ!」

【最終奥義:虚無の晩餐ゼロ・フェスタ——発動】

 シュウが跳んだ。

 右腕の龍の爪が、クロノの胸元にある「世界時計の核」へと突き刺さる。

 

「……っ! 私を……管理システムごと、飲み込むというのか!? 人間の器で、そんな膨大な時間を……!」

「一人じゃない。……五人(俺たち)なら、耐えられる!」

 シュウ、フィオナ、リィネ、ミーニャ、エレイン。

 五人の魂が一つに溶け合い、クロノの中に蓄積されていた「全人類の数億年分の時間」が、シュウの右腕を通じて逆流していく。

 バキバキと、世界を縛っていた「寿命の数字」が砕け散る。

 

「……ああ。そうか。……温かいのね、『流れる時間』というものは」

 クロノの瞳に、初めて感情の光が宿る。

 爆発的な光と共に、浮遊島「レギオン」が崩壊を始めた。

 数日後。

 地上の人々が見上げた空から、忌々しい「寿命の数字」は消え去っていた。

 誰もが、いつ死ぬか分からない。だが、誰もが、自分の時間をどう使うか選べる世界。

 断絶の崖の上。

 そこには、右腕の変異が消え、普通の少年に戻ったシュウと、彼を囲む四人の少女、そして……。

「……なによ。私、執行者をクビになっちゃったから、ここで監視してあげるって言ってるのよ」

 実体を得て、少しだけ表情が豊かになったクロノがいた。

「いいじゃない、シュウ君! 五人……いえ、六人の新しい生活の始まりよ!」

 フィオナが笑い、リィネが呆れ、ミーニャが甘え、エレインが顔を赤らめる。

 数字のない、不確定で、最高に自由な「明日」へ向かって、彼らは歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ