㉑ 再びの審議
それから数日後、サン・ジェルマンは、もう一度、瞑想を試みた。
今度は、意識をもっと、時空の遥か彼方へ。
アカシックレコードを探すのだ。
すると彼の意識は、真っ白く輝く、広い円形の場所に出た。
ついにやったのか?
喜ぶのも束の間、伯爵は、自分が、とある議場の真ん中に立たされ、ソレを見下ろす議席に居る、12人の白い服を着た人物たちに、すっかり取り囲まれている事に気がついた。そして何だかそこは、見覚えが有る様な気さえしてきた。
「サン・ジャルマンよ」
その中の議長と思しき人物が、彼に話し掛けて来た。
「はい……何でしょうか?」
伯爵は、素直に答える。
「キミは何故それほど、アカシックレコードに拘るのかね?」
「それは……知識を探求する者として、当然の行為では?」
「……他意は無いのだな?」
「ソレは勿論ですとも……ところで、貴方たちは、どなたなんですか?」
「我々は、三次元宇宙を監視する者だ」
「以前にも、何処かでお会いしたような?」
「気にするな。何処にでも在る顔だ」
「ああ、仮の顔なんですね?それどころか、その姿その物が……いや、この場所すら仮初の……」
「それ以上詮索するのはよせ。まったく、察しが良すぎるのも考えモノだな」
「四次元宇宙からの介入ですか?心配しなくても、"私は"、あなた方に迷惑は掛けませんよ、"私は"ね?」
「どういう意味だ?」
「あなた方ももう、掴んでいるのでしょう?怪しい気配を?」
「何だと?」
「実は私も、つい先日、アカシックレコードの、ほんの片鱗に触れる機会が有りまして……その時に、気づいてしまったのですよ、その存在に」
「……」
「大方、あなた方は、そいつらの事を警戒しているのでしょう?」
「キサマ……?」
「安心して下さい。私だって、あなた方との揉め事は御免だ。ですから、イザという時には、私があなた方に協力しますよ。約束します」
「本当なんだろうな?」
「あなた方に対して、ウソをつくのは、土台無理な話でしょう?だってコレは、テレパシーによる会話なのですから」
「分かった。せいぜい頑張る事だな?期待しているぞ」
次の瞬間、サン・ジャルマンは、瞑想から戻って来た。
そして彼は、今しがたの、脳内で見たビジョンを、ハッキリと覚えていた。
「やれやれ。これから、やっかいな事になりそうだ……いや、むしろ、楽しい事になりそうなのかな?」
彼は一人でそんな事を呟きながら、ニヤニヤするのであった。
以上でこのエピソードは完結です。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
続く「2012年のサン・ジャルマン」にもどうぞ
ご期待ください (>_<)




