① 審議
「セーラー服と雪女」シリーズの第2部の⑤です。
その夜、25歳になったサン・ジェルマン伯爵は、自室のベッドで眠っていた……はずだった。
ふと目を開けた彼は、自らが眩い光の中に居るのを感じた。
そこは、何やら円形の議場のような場所だった。
目が慣れて来ると、12人の白い服を着た、顔も髪の色も白い人物たちが、まるで裁判でもするかのように、自分をグルリと取り囲んで、座っている事に気づいた。
「サン・ジェルマンよ。」
その中の一人が声を掛けて来た。
しかし、唇が動く気配はない。テレパシーか?
「何ですか?……いや、それより、ココはどこですか?」
思わず尋ねるサン・ジェルマン。
「ココは何処でもないし、何処でもある……キミたちの使う、座標が意味を為さない場所だ。」
返答する白い人物。
「……つまりココは、三次元空間ではない、と?」
「おお、流石に、状況の呑み込みが早いな。助かるぞ、そうでなくてはな。」
嬉しそうなその人物。おそらくはソノ姿も、仮のモノなのだろう。
「アナタたちが何者か、大体察しがつきましたよ……それで?私に、何の御用ですか?」
「うむ。キミの最近の活動ぶりについて、少々モノ申したくなってな?」
「最近の……ああ、タイムトラベルの件ですか?」
「……そうだ。キミなりに、細心の注意を払ってやっている事だろうが、もう少し自重する訳には、行かないかな?」
「そうですね。歴史調査として、満足する結果を得られましたら、そう頻繁に行う事も無くなると、自己分析していますが……。」
「そうか。ならば、よかろう……これまで、時間軸上を自由に行き来する事は、我々四次元人の特権であったのでな。つい、見咎めてしまったのだよ。」
「……他の、三次元の方々にも、こんな事を?」
「ああ、順次やっていく。キミは……はて、何人目だったかな?」
「……なるほど。」
「今までも、特別なチカラの持ち主によって、時間旅行は為されて来た。……時代によって、ソレは"魔法使い"と呼ばれたり、"超能力"と呼ばれたりした……」
「……そうなんですね?」
「しかし、純粋な"科学技術"で、時の流れを越えた三次元人は、キミが初めてなのだよ。だから我々としては、要注意人物として、キミをマークせざるを得ない。」
「……それは、どうも。充実した科学技術は、最早、魔法と比べても、遜色無いモノですからねえ……もっとも、私に言わせれば、いにしえの魔法だって、かつて誰かの残した、ロストテクノロジーに過ぎない。」
「……まあよいわ。くれぐれも、時の流れを乱さぬよう、自重するように。もしもソレが出来なければ、その時は……。」
「その時は……私をどうするおつもりで?」




