第11-2話:①ネクサス:多点拘束
戦闘が開始されるや否や、ネクサス・バインドの6本の触手が鞭のように宙を舞った。
かつて第6章で彼女を絶望させた時と同じく、そのうちの4本の触手が瞬時に弾け、セイントレディの両手首と両足首を空中で完全に拘束した。
だが、今回の拘束は、以前の単なる「捕獲」とは質が違っていた。
ネクサスの触手は、彼女の関節に深く絡みつき、骨格の傾き、筋肉の収縮率、そして関節の可動域を冷徹なコンピューターのようにフレーム単位で測定しながら固定していく。動けば関節が外れるギリギリのラインを計算し尽くした、人体設計図をなぞるような完璧なホールドだった。
「くっ……!」
空中に磔にされた彼女は、完全に逃げ場を失った。ロイヤルブルーの生地が四方へ均等に引っ張られ、胸や下腹部のラインが一切の遊びなく浮き彫りになる。
彼女は俺との特訓で培った重心移動で必死に足掻こうとしたが、その力すらもネクサスの触手に備わったセンサーに『拘束データ』として吸収され、より強固な姿勢制御へと即座に還元されていくだけだった。
彼女が動けば動くほど、ネクサスは彼女の「逃げ方向の癖」を完璧に補正していく。それはまるで、自らの肉体の自由が、敵の演算機の中で一つ一つ暗号を解読され、無力化されていくような恐ろしい感覚だった。
四肢を固定されたセイントレディは、文字通り「標本」として空中に静止させられ、これから始まる地獄の連携攻撃を待つしかない無防備な状態へと追い込まれたのだ。




