第2章第3話:綻びる規律 〜パンスト越しに「濡れた下着」を嘲笑われる女教師〜
自己嫌悪に押し潰されそうになりながら、麗子は帰路を急いでいた。
足取りは重く、スカートの下の「とろとろ」とした感触が、一歩歩くごとに彼女の罪悪感を抉ってくる。
その時だった。
薄暗い路地裏から、あの不快な泥の臭いが漂ってきたのは。
「ヒヒッ……。聖女サマ、イイ匂イ、シテルナ」
現れたのは、かつて彼女に屈辱を味わわせた下級怪人、ドロルだった。
通常、彼らのような下級怪人が単独で現れることは少ない。
(……私の精神の乱れに、引き寄せられたの……?)
麗子はセカンドバッグを放り投げ、物陰で素早くセイントレディへと変身した。
ロイヤルブルーのレオタードが全身を締め上げる。
しかし、今日の彼女は、いつものような「規律」を感じることができなかった。
大野に胸を愛撫された余韻。そして、濡れそぼった下着の不快感。それらが、レオタードの着圧によってさらに強調され、彼女の神経を逆撫でする。
「はぁっ!」
彼女はドロルに向かってハイキックを放った。
しかし、身体の動きが鈍い。精神の揺らぎが、そのまま戦闘力の低下に直結していた。
「ヒヒッ! 動き、鈍イゾ!」
ドロルは麗子の蹴りを避け、泥まみれの触手を彼女の足首に絡ませた。
「きゃあっ!」
バランスを崩し、彼女はコンクリートの地面に背中から倒れ込んだ。
ドロルが、彼女の両脚の間に這い寄ってくる。
「見セロ……。お前ノ中、見セロ!」
ドロルの泥だらけの指が、彼女のレオタードのVライン――股間の裾ゴムに強引にかけられた。
(だめ……っ!!)
麗子は必死に身をよじったが、ドロルの指は強靭なゴムを横へ、そして上へと引き絞る。
パチン、と裾ゴムが肉を噛む音が響くが、完全には捲り上がらない。しかし、激しく抵抗し脚を広げたことで、レオタードの裾は中心に寄り、クロッチ部分の青い生地が細くたわんで、その下層にある「肌色のパンスト」が股間の中心部で剥き出しになった。
「ヒヒッ……。ゴム、硬イ。デモ……ココ、透ケテルゾ」
ドロルは捲り上げるのを一旦止め、代わりに、レオタードがズレて剥き出しになった「パンスト越し」の秘部へ、泥まみれの手のひらをねっとりと押し当てた。
「ひっ……! ぁ、あぁ……ッ!!」
泥の冷たさと、パンストの薄い膜を通した生々しい圧迫。
ドロルの手のひらが、実習生との情事の余韻で「とろとろ」に濡れそぼった白いパンティのクロッチ部分を、パンストごとぐりぐりと押し潰す。
「ヒヒヒッ! 聖女サマ、中、とろとろダナ。パンスト越シニ、泥ガヌルヌル滑ルゾ!」
「ヤメロ……っ、そんな……違う、触らないで!!」
麗子は半狂乱になって抵抗したが、ドロルはその指先をパンストの目に食い込ませるようにして、下着のステッチの輪郭をなぞり、そこに溜まった不純な熱を愉しんだ。
「聖女サマ、本当ハ、淫乱ナンダナ。実習生ト、何シテタ?」
「あ、あああぁっ……!!」
麗子は羞恥と絶望で叫び声を上げ、残る全魔力を右足に込めて、ドロルを蹴り飛ばした。
「グギャッ!」
ドロルは壁に激突し、泥の塊となって路地の奥へと逃走していった。
『……上ニ、報告シテヤル……。聖女、崩レカケテルト……』
捨て台詞を残して消えたドロル。
彼女はその場にへたり込み、自らの膝を抱えて震えた。
ドロルを撃退できたのは、単なる偶然だ。
彼女の「神聖な空間」は、泥でこそ汚されなかったものの、彼らの言葉によって精神的に完全に蹂躙されてしまった。
私がいない。
実習生に隙を見せ、怪人にまでその「汚濁」を嘲笑われた。
麗子は、もう一人では立てない。
ブルークリスタルの光は、かつてないほど弱々しく、不規則に明滅を繰り返していた。
それは、次に訪れる「完全なる絶望」――ゾディアックの再来を予感させる、最悪の兆候だった。




