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第33話 黒鎖の核

第33話「黒鎖の核」


 “核”との戦いが、始まる。


 次の瞬間――


 黒が弾けた。


 弾けた床一面のスライムが一斉に持ち上がる。


 そして――


 細く、長く、伸びる。


「……っ!」


 レイが構える。


 黒が形を変える。


 鞭のように。


 いや――


「鎖……?!」


 トペミアが叫ぶ。


 無数の“黒い鎖”が空中を這う。


 しなる。


 うねる。


 そして――


 襲いかかる。


「散開!」


 リンの声。


 全員が散る。


 ――ビシィッ!!


 床を叩く。


 石が砕ける。


「こりゃ喰らったらやばいな……!」


 レイが舌打ちする。


 次の瞬間。


 一本が絡みつくように迫る。


 回避。


 だが――


 もう一本。


「くっ……!」


 腕に巻き付く。


「レイ!」


 トペミアが矢を放つ。


 鎖を撃ち抜く。


 だが、崩れない。


「硬っ……!」


 黒い鎖が蠢く。


 締め付ける。


 そして――


 表面が波打つ。


「……まずい!」


 シェリが言う。


「体内に侵入されるぞ!」


 鎖が、皮膚へと沈み込もうとする。


「離れろ!」


 リンが一閃。


 巻き付いた部分ごと斬り飛ばす。


 レイが後ろへ跳ぶ。


「助かった……!」


 だが。


 床から次々と鎖が伸びる。


 数が多すぎる。


「これ……全部が本体かよ!」


「違う!」


 ルークが叫ぶ。


「なにか中心に強い反応があります!」


「あれが核だな」


 リンが目を細める。


「そこを叩くしかない」


 だが――


 道がない。


 鎖が壁のように防ぐ。


 その時。


「……視界を遮るぞ!」


 チャコリアが呟く。


「一瞬でいい」


 レイが答える。


「道作れればいける」


 チャコリアがニヤッと笑う。


「なら任せて!」


 懐から取り出す。


 小さな球。


「全員、目閉じろ!」


「は?」


「いいから!」


 投げる。


 ――バンッ!!


 強烈な閃光。


 同時に煙。


「今!」


 チャコリアの声。


 レイが踏み込む。


 リンも同時に動く。


 鎖が反応するが――遅い。


「行くぞ!」


 レイが斬る。


 道をこじ開ける。


 リンが突破する。


 一直線に核へ。


「《アーク・ブースト》!」


 リノアとルークの支援。


 速度が跳ね上がる。


「いける!」


 トペミアが後方から援護。


 鎖の動きを牽制する。


 シェリが横から切り払う。


 進路を確保。


「見えた!」


 レイが叫ぶ。


 脈打つ黒い核。


 ドクン、ドクンと動いている。


 その瞬間。


 鎖が一斉に戻る。


 守るように。


「させるか!」


 レイが踏み込む。


 一閃。


 まとめて断つ。


 リンが飛び込む。


「終わりだ」


 剣を振り上げる。


 だが――


 足元から鎖。


 絡みつく。


「っ……!」


 動きが止まる。


 その瞬間。


 鎖が一気に身体へと這い上がる。


「リン!」


 リノアが叫ぶ。


 侵入が始まる。


 皮膚の下に、黒が入り込もうとする。


「くそっ……!」


 動けない。


 その時。


「任せて」


 チャコリア。


 いつの間にか、背後にいた。


 手に持つのは――刃。


 だが狙いは鎖ではない。


 核。


「そこだよ」


 投げる。


 一直線。


 鎖の隙間を縫うように。


 核へ。


 ――突き刺さる。


 一瞬。


 動きが止まる。


「今だ!」


 レイが叫ぶ。


 リンが歯を食いしばる。


 力を振り絞る。


「……はあああああ!!」


 鎖を引きちぎる。


 一歩。


 踏み込む。


 そして――


 一閃。


 核を、断つ。


 


 ドクン。


 


 大きく脈打ち――


 


 止まる。


 


 次の瞬間。


 全ての鎖が崩れ落ちた。


 黒い液体へと戻り、


 動きを失う。


 そしてじわじわと蒸発した。


 静寂。


 


「……終わったか」


 レイが息を吐く。


 トペミアがその場に座り込む。


「……怖すぎでしょ、あれ……」


 ルークが駆け寄る。


「大丈夫ですか!?リンさん!」


 リノアも続く。


「侵入されてない……?」


「……ギリ大丈夫だ」


 リンが腕を見る。


 黒い跡が残っているが、広がってはいない。


「危なかった」


 シェリが短く言う。


 チャコリアが肩をすくめる。


「でしょ?だから言ったじゃん、任せてって」


 リンが周囲を確認する。


「……これで終わりだな」


 黒は、もう動かない。


 リノアが静かに呟く。


「……これが、あの人たちがあんな風になった原因……」


 誰も答えない。


 ただ、重い沈黙だけが残る。



 だが――


 確かに。


 終わった。

 偽りの村の、悲劇は。


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