第1章 第25話 針のずれ *
カバを連れた女性は寝る様子もなかったけど、二人だけでいるのもどうかと思ったので、簡単な食事だけ用意をして灯台に戻った。
泊まる場所も決まってないようだったから、雨がやまなければ、あのままリブロールで一夜を明かすのかもしれない。大きなザックのようなものも持っていたので、いつもは野営しているのだろう。実際、夏になると島に遊びに来て屋外で朝を迎える人も多い。
ミドリ鮫のことが気になって、ミドリ鮫を見たあとのページを読み返してみた。
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南西の風と日差しが強い
今日は驚くことがありました。日時計の針が指す位置が前と少しちがっているのです。太陽の位置が変わらないと考えると日時計は石に固定されていましたから、地面が動いたとしか思えません。周辺を見渡しても何も変わるところがないのに、最初に植えた苗の場所と比べてみると、島そのものが少し右回りの向きに動いたということになります。
しげしげと日時計を眺めていると、草むらからきまぐれが顔を出して、こちらの様子を伺うようにじっと見ていました。昨日から今日にかけて身体に感じる揺れもなかったので、何も起こらなかったと思いたいところですが、目の前の日時計がそれをどうしても許してくれそうにないのです。
もしかすると、気がつかなかっただけで、もっと以前に何か起こったのかもしれないとも考えてみましたが、まったく心当たりがありません。最後に考えられるのが、ミドリ鮫の中で意識がなくなっていたときです。そう思うとますますあの時間が悔やまれるばかりです。
きまぐれはこちらが考えるのをあきらめたのを見届けるようにして消えてしまいました。同じ島の仲間と言いたいところですが、なかなかつれない友達です。どこで寝起きしているのかはよくわかりませんが、いつも出会うのは灯台の近くなので、このあたりをネグラにしているのだと思います。
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