52drink「敵襲」
「奇襲」を「敵襲」に変更しました。
「敵襲だ!! お前ら起きろぉーーー!!!」
……え?
「き、敵襲って……どーゆー事ですか?」
「あ? そのままの意味だ! お前らは早く戦闘の準備に取り掛かれ! ……くそっ! あいつらは何をやってたんだ!?」
……何が何だかさっぱり分からない。
敵襲って言われても、異形之者はもう来ないってゲスデゲスさんが言ってたし……。
それに、あいつらって……?
分からない事だらけだ。
だが唯一、その敵襲が原因でフクロウさんが慌てている事だけは分かった。
すぐさま走り出そうとするフクロウさんの手を引き、俺は問いただす。
「フクロウさん! 全然話が掴めないんで、せめて襲ってきた相手だけでも教えてもらえますか!?」
「……ゲイヴァーだ。 目的の為なら手段を選ばない、厄介なヤツらだ!」
ゲイヴァー?
いきなり分からない名前が出てきたな。
話の内容から察するに、あまり友好的な間柄ではなさそうだが……。
それが敵襲してきたって事か。
政府に連絡でもとろうとしてるのか、自室へ走っていくフクロウさんを見て、俺も皆んなを起こさなければと思い立つ。
「ギャルるん! ハガネ! ヒゲ子! 皆んな起きて!!」
敵襲って事は、この店も少なからず壊される可能性がある。
扉などは真っ先に破られるだろう。
もしそうなれば、俺は元の世界に戻れなくなるかも知れない。
それだけは阻止しなければ。
「……ん? きば美っち、どぉしたの?」
「ゲイヴァーって言うのが攻めてきたみたい。フクロウさんが、私たちも早く戦闘準備に取り掛かれって」
「ゲイヴァー……? あ、確か……あの呪われた孤島の民族の名前がそーだっけ?」
「え? ギャルるん知ってるの!?」
さすがギャルるん。
俺の知らない事をサラッと説明してくれる。
「あたいも聞いた事があるだけなんだけど、お客様がこの国に来る前までは、よく対立してたらしーよぉ?」
「そうなんだ?」
「ん……。どうかしたのか?」
ハガネも起きてくれた。
あとはヒゲ子だけ。
「ヒゲ子! ヒゲ子も起きて! なんか前に対立してたゲイヴァーってのが攻めてきてるみたいだから、早く応戦しないと扉が壊されちゃうの!!」
「なに!? そうなのか!?」
「……ん、パパ……うるさい」
「ヒゲ子っち! 寝ぼけてないで起きてぇ!」
「よし。ヒゲ子が起きるまで、我が運ぶぞ!」
「ごめん! ハガネお願い!」
ハガネがヒゲ子を背負い、俺たちは一旦武器を取りに調理場へ向かう。
走りながらギャルるんが俺に話しかける。
「でも、応戦するとしても、あたい達だけじゃキツくない?」
「さっきフクロウさんが自室に走って行ったから、多分応援を呼んでると思うんだけど……」
「ゲイヴァー……と言ったか? そいつらがどのくらいの規模なのかも分からないのか?」
「あ、ごめん……聞き忘れた」
「う〜ん。取り敢えず、きば美のシャングラタワーは用意しといた方が良いんじゃない? お客様以外にどれ位通用するか分かんないけど」
「うん、そうだね。……けど」
「けど……?」
「ううん。何でもない。さ、早く準備しよう!!」
もしシャングラタワーを使うとしたら、俺の酒気も減る事になる。
この敵襲のせいで店の解体自体は進む事は無いだろうが、それでも転移に必要な酒気量が分からない以上、消費は最低限に収めておきたい。
「シャングラタワー、20組はできそーだね? 良かった余ってて」
前回の闘いで使い損ねたシャンパングラスを、俺と同じようにタワー状に積み重ねて行くギャルるんとハガネ。
もともと仲間の回復用にとっておいたものだが、タワーに注ぐお酒を替えれば攻撃用に使える。
お酒は……攻撃力重視のアルコール強めで値段の高い物を置いておこう。
「私のを手伝ってくれるのは嬉しいんだけど、そっちの準備は終わったの!?」
「あたい達は後でいーの。きば美のが1番戦力になるんだし」
「でも……」
「だいじょーぶ! もう直ぐ終わるし!」
「……くそ! どいつもこいつも使えんヤツらだ!」
そこに悪態をつくフクロウさんが戻って来た。
言動から考えると、嫌な予感しかしない。
「ど、どうかしたんですか?」
「政府どもは、元々こちらに送る予定だった兵士を寄越すようだ。だが、若干遅れるらしい……」
「え……、遅れるってどのくらいですか?」
「『ここが落ちるまでには間に合うだろう。壊す予定だった物が壊されるだけだ。お前達は無理に応戦せず、退避していろ』だとよ。フザケんな! 私の店だぞ!! 改装ならまだしも壊されるなんて黙って見てられるか!!」
おいおい……マジかよ。
扉が壊されるの確定じゃないか。
これ、酒気をケチっている場合じゃないかも知れないな。
「あ、そう言えば、そのゲイヴァーって人達はどのくらいの人数で攻めてきてるんですか?」
あくまで異形之者との経験でしかないが。
100人くらいなら、そんなに酒気を使用しなくても蹴散らす事は出来るハズだ。
消費する酒気が少なければ、皆んなに手伝ってもらって貯めてから帰れる。
「そういえば言ってなかったな。ヤツらの総数は目算でしかないが、……ざっと1万だ」
「「「「い、いちまん!!??」」」」
なんだその数! ケタが違うじゃねーか!!!
応戦とか言うレベルじゃねーぞ!!
そんなのに参加したら、確実に死ぬだろ!?




