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とろろ姫とわさび

「もぐもぐもぐもぐ……」


 今日もとろろ姫は元気にとろろを食っている。

 それを見守るのも護衛の務めだ。


「なあそち」


 姫様がこちらを向く。


「はっ! 何でしょう」


「わさびは、好きか?」


「えっ……まあ……」


 何の話だろう。


「これ、そちにやる」


 姫様が箸で腕から何かを掬い取り、オレの方へぶん投げた。

 慌ててキャッチするオレ。


「これは……」


 まじまじとよく見る。ワサビの塊。しかもとろろ付いてる。汚え。


「ありがたき幸せ、だろ」


 護衛仲間のカネダさんに小声でつつかれハッとする。


「あ……ありがたき幸せ……」


「ん、遠慮なく食え」


 え!?カネダさんの方を見ると憐れんだような眼差しでこちらを見ている。

 まじか。ダイレクトわさび、姫のヨダレととろろ付き。


「いただきます」


 覚悟を決めて塊を飲み込む。辛い。鼻の奥がツーンとする。


「んん……!」


 辛さに悶えているとカネダさんが水をくれた。意外といい奴なのか?話したことないけど。

 水を流し込み一息つくと姫が満足そうに一言。


「わらわをワサビから守ってくれてありがとうな」


 護衛ってそういう意味だったのかよ。

 オレの受難は始まったばかりだ。

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