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勇者と魔法とエッチな防具  作者: 姫宮 雅美
レベル08「お宝を 探し回って 落っこちて」
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(温泉でシッポリ)

 ――午前十一時二分。

 ミヨイ湖畔、タミアラの宿屋。


「こんなに、早く決着を付けられるとは思わなかったわね」

 旅館「湖畔の宿」、大浴場の脱衣所。

 アンナは高等部の制服を脱ぎながらそう言った。青いネクタイを、竹で編んだカゴに入れる。


「ああ、そうだな。昼飯前に一風呂浴びて、午後からは部屋に帰って静養しよう」

 クロエは既に下着姿になっていた。背中を盛り上げている、筋肉が見事であった。その上からスポーツブラが大きな胸を押さえつけている。


「まあ、宿屋さんに戻る前に一波乱ありましたが……」

 含みのある表情で、大盗賊に冷たい目を向けるマリーだった。

「イイやんか。ポケットの中に金貨が一枚残っていたのは不可抗力や。出口で電撃に焼かれそうになったのは、ウチの方やで。放り出して何とか逃れたけどな」

 全く反省の色のないミーシャ。黒いタンクトップを脱ぎ、カゴに放り込む。

 黒いホットパンツと下着も脱いで、あっという間に真っ裸になる。


「チョ、チョッと待って下さいよ! どうしてボクが女風呂に入らないとイケナイのですか? ボクだったら部屋のお風呂に入りますよ!」

 カイトは抗議の声を上げる。彼だけが、学園高等部の制服を着たままだった。


「イイジャン! 女の子の体だから、アタシたちは見られても別に困らないし。カイトは男風呂の方には入れないでしょ」

 アンナはブラを外そうと前屈みになり、背中に両手を回す。

 胸の谷間が強調される姿勢に、カイトは顔を赤くして横を向く。


 パン、パン――手を叩くマリー。一同は注目する。

「そうですわ。間を取って、水着で入浴するのはどうでしょうか? この時間は、他の利用者さんも少ないですし、旅館の方に許可を頂ければ可能でしょう――ね、ミーシャさん?」

 マリーは長い睫毛を瞬かせて、ウインクする。


「勝手に水着で入っても、ええんやないかな。ウチが、旅館の女将に事後承諾を取り付けるさかい、安心してや。ステイタスカード、起動! 王立学園・スクール水着装備やん!」

 ミーシャが叫ぶと、素っ裸の彼女の身体に瞬間的に紺色ワンピース型の女子水着が装着される。

 胸には白い布が縫い付けられており「ミーシャ」と名前が入れられている。背中側は、思ったよりも大胆にU字型に切れ込んでいる。

 ペッタンコの体型に妙にマッチしていたのだった。


「まあ、イイ。カイト君の目線が気にならないとは、いえんからな。オレも水着になるとしようか。ステイタスカード、起動! 王立学園・競泳水着装備!」

 クロエは下着を急いで脱いで叫ぶ。筋肉隆々の鍛えられた体には、黒い色の競泳用の水着が装着される。

 股間が際どく切れ上がっており、褐色の肌の彼女には似合っていた。ピチピチの水着に押されて、大きな胸の谷間も強調される。

 ヘアバンドを使い、ボサボサに乱れていた赤い髪の毛をポニーテールにしていた。


「アタシの水着は、花柄のビキニタイプよ。学園指定の水着は可愛くないでしょう。夏になっての水泳の授業に向けても、体を鍛えないとね」

 アンナは瞬時に水着姿に変わっていた。

 本人が言ったとおりに、白のビキニには可愛らしい花の模様が散りばめられている。


「あの、わたくしは去年までの水着が小さくなりまして……」

 恥ずかしそうに手を挙げるマリーだった。


「そんなら、その水着をカイトに貸してあげて。今まで学校に通っていないから、指定の水着は持っていないんよ。まあ、女子水着は最初から持っているはずもないし、持っていたら変態だし」

 アンナは爽やかなるにこやかな表情で、マリーに言う。


「ええ、そうならばステイタスカード、起動! 王立学園・スクール水着、展開!」

 バスタオルを体に巻くマリーの右手には、白い色の水着が現れた。

「ホラ、カイト。受け取りな」

 アンナに背中を押されて、マリーの前に出るカイトだった。


「昨年までは、中等部の時のスクール水着を無理して着ていたのですが、育ってしまった今は流石に着られなくて……」

 自分の胸元を、左手で恥ずかしげに押さえるマリー。水着を受け取ったカイトも顔を赤くする。

 どこが育ったんだ?


(この水着、生徒会長さんが着ていたんだ)

 女子のお古を着させられているのには慣れているカイト。故郷のガリラヤ村では、豊富な衣服とは無縁の生活だった。下着でさえ継ぎを当てている。

 一歳年上のアンナが、近郊の街で購入した女物のシャツやズボンを着させられていた。

 同年代の男の子にしては、体の小さいカイトには、アンナのお下がりを着ることは苦にはならなかった。


 でも。


(誰かが着た水着を、身につけるなんて……)

 流石のカイトも、アンナの下着は身につける勇気はなかった。


「チャッチャと着ちゃいなさい! アタシは先にお風呂に入るから」

 アンナは旅館の銘が入った紺色の手拭いを肩に担いで、浴場のドアを開ける。


「着ちゃいなさいと言われても……」

 カイトも困惑する。渡されても、どっちが前なのかも分からない。


「さ、オレたちも入ろう。戦闘で疲れた体を癒すんだ」

「そやな。兄ちゃんも早よし」

 クロエとミーシャの凸凹コンビも浴場へと入っていく。軽く50センチメータルはある身長差だった。


「あの、会長さんは水着に着替えないんですか?」

「ええ、新しい水着は、あるにはあるんですが。その……母親から受け継いだ、アレン家に代々伝わる防具の一種なのですけど……。その、色々と過激でして」

 顔をうつむけて恥ずかしがるマリーが、可愛らしいと感じるカイトだった。


「ボクは大丈夫ですよ。会長さんの事を笑ったり軽蔑したり、しませんよ」

「カイト君は優しいのですね……」


(ますます、好きになってしまいますわ)

 マリーは腹を括る。

「アレン家の家宝『過激な水着』装備!」

 カイトに背中を向けたマリーから、バスタオルがハラリと落ちる。


(あ、綺麗なお尻……)

 ガン見するつもりは無かったが、目線はどうしてもそこに向かってしまう。

 青白く染み一つもない、透き通るような肌。薄い肌なので、皮下の静脈が透けて見えている。

 そして、大きくて洋梨型のヒップの肉感的な魅力に魅了される。


「ああ、恥ずかしいですわ」

 身をよじり、しゃがみ込んだマリーには、水着を着ているような雰囲気はなかった。

「え?」

 思わず声を出すカイト。マリーのお尻をよく見ると、青い紐のようなものが、お尻の割れ目にまとわりついている。


「カイト君は、軽蔑しませんわよね」

 決心し、立ち上がるマリー。クルリと向き直った姿を見て、カイトは鼻血が出そうになった。

「ええ、ええ、えええ」

 カイトは言いながら、マリーにすり寄っていく。

 マリーの見事なボディーに巻き付いている青い紐。股間と乳首を隠すだけの僅かばかりの青い布の存在。

 ほぼ全裸に近い姿を見られて喜んでいた。まるで、変質者である。


「こ、これが、我がアレン家に伝わる『過激な水着』です。『大賢者』の高レベル者しか装備出来ないレア防具なのですが、この冒険でレベルアップして、ようやく装備出来るようになりました。今回入手した『エメレオン』と同じく、女性の羞恥心を魔力へと変換して、強大な防御能力にするのです。わたくしの母も装備して、冒険の旅に出たのです。カイト君のお父さまにも迫ったそうですが、振られてしまいましたのね」

 マリーがしゃべる度に、たおやかな大きなお胸が揺れていた。

 カイトはその揺れに会わせるように、首を振っていた。そして、あの若々しいマリーの母親、パトリシア・アレン枢機卿の姿を思い浮かべる。


「はあ、その水着は、そんなに凄い水着だったのですね」

「ええ、そうですわ。カイト君も水着の着方が分かりませんのね。では、わたくしが着させてあげますわ。まず、服を脱ぎます……」

 カイトの顔の前にマリーの胸が迫っていた。

 そしてシャツのボタンにかけられる、白くて細いマリーの指。


「ボ、ボク、裸になるんですか!」

 素っ頓狂な声を出す。

「そうしないと、水着を着られませんわよね。服を着たまま、温泉に入るわけにはいかないでしょう」

 マリーの白魚のような指の繊細なる運び。あっという間に白シャツを脱がされ、奪われる。上半身はTシャツだけの無防備な姿にされる。


「あ、あの」

「カイト君は今は、女の子なのですから、こういった姿になるときにはチャンとブラジャーもしないといけませんよ。ホラ、胸もあるのですから」

「キャッ!」

 Tシャツを脱がされて声を出す。


「あの……」

 カイトの剥き出しの背中に押しつけられる胸。カイトの僅かな胸の膨らみに伸びてくる、マリーの指。頂点部分を探し当てるかのように、うごめいている。



 ガラッ!

 浴場への扉が、勢いよく開く。


「何やってんのよ、二人共! 早く湯船に入りなさい! それに、アンタは早くこっちに来なさい。カイトが水着を着られないでしょ!」

「アレー。カイト君……」

 アンナはマリーの手を引っ張って連れて行ってしまう。



 ピシャッ!

 勢いよく閉じられる扉。


「あ……」

 カイトの手に残される白い水着。

(会長さんの胸、柔らかかったな)

 そんなことを思いながら、スカートとトランクスを脱ぐ。


「ピピピ?」

 カイトの背後にいたのは、ゼリー・モンスターのピーちゃんだった。

 パタパタと飛びながらカイトの裸を凝視していた。


「み、見ないで」

 慌てて水着に足を突っ込むカイトだった。



   ◆◇◆


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