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全能視覚の冒険者  作者: 囹圄
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序・闇の中にて

 長い長い暗闇を抜けると、そこには、やはり濃密な闇が広がっていた。

 ほんの微かな光さえ差し込まぬ洞窟の奥で、血に(まみ)れたその男は、視界など利くはずもない深淵(しんえん)に目を凝らす。

 すると、巨大ななにかがゆっくりと身を起こすのが、たしかに()()()

 長かった、と男は思う。

 ここへ辿り着くまでに、いったいどれほどの時間と、手間と、犠牲を払ったことか。

 だがそれも、今、ようやく報われる。

 (はや)る気持ちを抑えて、男は闇に向かって声を張る。


「竜の王の御子(みこ)よ、おまえに()いに来た!」


 その言葉に呼応したかのように、闇の中に浮かぶ巨大な目が赤い光を放った。


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