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6、担任と頼まれごと


HRの内容は、生徒会がどのような活動をしているか紹介する会のことについてだった。

……これ、必ず八神君がいなきゃいけない理由なくない?

担任はこっちをチラッと見たあと、舌をペロッと出しておどけた表情をしてきた。

あいつ、ただ単に八神君をHRに出したかっただけだ!

気づいた途端、ひどい脱力感が襲ってきた。

私の労力はいったい…



「あ、あと穂高と八神は放課後、生徒会長が呼んでるから生徒会室に行っといてな〜」

担任から話された内容に一瞬ポカンとする。

え…えぇ?生徒会室?私なにかやらかしたっけ?

軽いパニック状態に陥っていると、担任は再び今度は私だけ呼び寄せた。


「いやぁ、穂高は凄いな!まさか本当に八神を連れてくるとは思ってなかったよ!」

「ていうか、先生が言えばよくないですか?なんで私に…」

「まぁ生徒会長に呼ばれたのも穂高は悪い意味ではないはずだから、あまり深く考えるなよ〜」

「…先生、私の話聞いてませんよね。」


担任と一緒に、頼まれた教材を職員室まで運びながら何気ない会話をしていた。

…まぁ内容は全然噛み合ってないけどね。

とはいえ、担任はこの学校ではかなり人気な先生である。

歩いている間も、結構他の女子生徒がこちらを見てキャイキャイとはしゃいでいる。



私の担任―――西条彰さいじょうあきらは若くて親しみやすい爽やか系教師ということで学校の女子生徒からかなりの人気を誇っている。ガチな告白をされたことも何度もあるらしい。まぁ、教師と生徒の禁断の恋…なんてものはあるはずがなく、ご丁寧に全て断ってるみたいだけれどね。


私は隣を歩く先生の顔をじっと見上げた。

……まぁ、確かに顔は整ってるな。

しかし、幼い頃から雄大や大翔などアイドル級のイケメンが近くにいたため、イケメンに対して耐性が出来てしまった。

故に、私は先生のことをカッコイイとは思うが、ただそれだけである。顔が整った教師という認識だけしている。…あぁ、あと人のことをよく使う駄目教師でもあるけどね。


「ん?穂高どうかしたか?」

「いえ、やっぱり西条先生は人気があるだけあってカッコイイなぁと思いまして。」

じっと見つめていたことに気づいて不思議に思ったであろう、先生に思っていたことをそのまま伝えると、先生は何故か急にそっぽを向いてしまった。なんとなく耳が赤い気がする。



「ゴホンッ…あー、穂高?そういうのは簡単に言うものではないぞ?」

しばらくそうしてた後、先生はわざとらしく咳払いをしたあと、私に何故か説教(?)をしてきた。

んん、意味が分からない。とりあえず、何で私のカッコイイ発言に対して過剰に照れたのだ。

カッコイイなんて言葉、先生なら言われなれてるだろうに…。



先生の長ったらしい説教(?)や、よく分からない言い訳に適当に相槌を打ちながら歩くとようやく職員室に着くことが出来た。

綺麗に整頓してある先生の机に内心意外だと驚きながら、頼まれた教材を置いていく。

「あー、まぁなんだ。穂高も大変だろうけど、八神のことよろしく頼むな」

頼みごとが終わったためさっさと教室に戻ろうとしたら、突然先生からそんなことを言われた。その時の顔がやけに優しくて、何故先生が大勢の生徒に慕われているのか分かった気がする。ただ、顔が良いだけじゃなくて、生徒思いなんだ…。少しだけドキッとしてしまったのは秘密だ。

しかし先生は最後まで『いいか!あんなこと軽々しく男に言っちゃだめだからな!?』と言っていた。

あなたは私のお父さんか何かですか。しつこ過ぎる…

さっきまでのトキメキを返せ。



「綾音ただいま〜」

「はいはい、お疲れ様」

私がぐでーっとした感じで綾音の方へと倒れ込めば、苦笑しながらもしっかり受け止めてくれた。

「というか、美波って事ある事に西条先生に絡まれてるよね〜」

「本当にね。教材くらい運ぶのわざわざ私のこと呼ばなくてよかったじゃん!」

「実際かなり気に入られてるからねぇ〜…なになに?禁断の恋の始まり?」

ニヤニヤと期待するように私を見る綾音には悪いけど、先生に限ってそんなことはないだろう。

なにより、私より可愛く美人な人でさえ先生に告って玉砕しているのに、私を選ぶ意味が分からない。


だから、絶対ありえない。

ありえない……よね?


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