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とあるイベントNPCの見る世界  作者: 鷹野メツ
第一章【始まりの町レクサスとポーション騒動】
13/27

策戦会議

ねえちょっと、誰かこの思いを聞いてください。





「ほう、いい目をしておるではないか」

「お前達、いい奴だな!お前達とは仲良くなれそうだ!」

「よく分かってるじゃないか!そうだ!それ以上の、いやそれ以外の理由なんかあるものか!」

「ははは、俺も皆さんとは仲良く出来そうです」



何で、こんなに仲良く話し合ってるんですか…!!





会議室で、私と異邦人さん達とお父さん達は、椅子に座って話し合いをしていた。

話し合いという言葉だけみれば、今回の王都行きについて、真面目に話し合いをしているのだろうと、思うだろう。


しかし、その話し合ってる内容は、全然関係なかったりするんですよ……。









フレイアさんが、笑顔で「私の笑顔を守るため」と即答した後のこと……


お父さん達は、なにやら三人で集まって、ひそひそ小声で話し合っていた。

もしかして、今の理由じゃ、異邦人さん達を信用出来ないとか、そんなことを話し合っているのでは……。

だって私自身、フレイアさんが本気か一瞬疑っちゃったし。そんな理由で、危険な王都行き(ポーション無し)に協力してくれるなんて、って、なんかあっけにとられちゃったし。



でもフレイアさんは、お父さん達の様子を見て、ちっとも不思議だとか、不安に思っていないみたい。

さっき理由を言ったときの自信満々な笑顔のまま、ただ見ているだけだった。

他の異邦人さん達も同じで、なんかやりきったみたいな表情のままだった。



前に向き直ると、お父さん達が話し合いを止めて、こちらに向き直っていた。

いままで見たことないような、すごく厳しい表情をしていた。

やっぱり、駄目なのかな……。


と、思ってたんですが。




「我等三人で話し合った結果、お前達のギルド『ナツリムちゃんを見守り隊』と、我等がコミュニティ『ナツリムを見守る会』は連合を組みたい、という結論に至った。ギルドマスター、フレイア殿。了承していただけるだろうか?」



えええ?



「ええ。こちらこそ、そちらのコミュニティについての話を聞いたことがあり連合を組みたいと思っていました。是非、よろしくお願いします」



ええええええ?









という感じで、フレイアさん達とお父さん達は意気投合し、こうして仲良く座って話をしているわけですが。

わからないことって言うか、聞きたいことがありすぎてこんがらがりそうだ。

とりあえず、フレイアさんとお父さん達の会話から得た情報をまとめてみる。


その1

フレイアさんがギルドマスターをしているギルド『見守り隊』(恥ずかしいから私の名前は省いた)は、異邦人さん達が集まってできたギルドで、他に同じような名前の『お守りし隊』と『護衛し隊』もあるそうだ。ここにいる異邦人さん達は全員、その三つのうちのどれかのギルドメンバーらしく、掲示板?で呼びかけたら集まってくれたそうで。私達は異邦人さん達が使う掲示板というのは見られないから、何て書いて集まってもらったのか、ちょっと気になった。


その2

お父さんが会長をしているコミュニティ『見守る会』(上に同じく)は、レクサスの町の人全員と、あとは町に来た商人さんとかが入っているらしい。人数は…1000人以上という、かなーり大規模なコミュニティらしい。

そもそもコミュニティって、各町の町民のつながりみたいな感じで、そこまで大規模にはならない筈なんだけどなー……。


その3

上記のギルドとコミュニティが、連合を組んだみたいだ。どっちもこの場にいない人以外、事後承諾になっちゃうんだけど……そこはもう既に話し合っていたらしい。随分とあっさり決まってしまった。





今は情報交換と称して私についての話題で盛り上がっている。正直もう何も聞こえないとばかりに私は机に突っ伏している。理由?聞かないでよ。恥ずか死ぬからに決まってるじゃないか。


もう!ちゃんと真面目に話し合いしてよ!




そんな私の心の叫びが聞こえたのか、町長さんがはっという表情をした後、うおっほんとわざとらしい咳払いをして言った。


「では、王都へ行く計画について話し合おうではないか」


他の人もはっとなる。

私はようやく顔をあげられた。うー、なんか無駄に疲れた……。








策戦会議については割合。なんか議論が白熱しちゃっていて、凄くたくさんの案が出てきていたからね。

異邦人さんって凄いんだなあって、いまさらながらに思ったよ。


たとえば最初の案では、比較的安全な、セイオンを通る王都への周り道ルートを考えていたんだけど……異邦人さん達がいれば、王都への最短ルートであるレイジ山脈を通ることが出来るらしいから、変更になった。


あ、今セイオンの名前が出て、ん?ってなった人、いるよね?実際、一人の異邦人さんが、「セイオンでポーションを買って、レクサスの道具屋で売れば?」って、お父さん達に質問してたし。

でも、なんだっけ……あ、そうそう、転売。転売っていうのは、基本しちゃいけないんだって。

商人さんから買ったものとか、もしくは買ったものに一工夫入れたりとかしたなら売ってもいいんだけど、ポーションはそれ一つが完成系で、それ以上は手を加えられないし……。それに、セイオンのポーションは高いのに、利益を得るためにもっと高くしなきゃいけないし。



食べ物も、今回は長旅だから、護衛対象が増えちゃうけど誰か料理人を連れて行くっていうことにしていたらしいけど、最短ルートでいけば、荷物として持っていける量に収まるし、なにより異邦人さんの中に料理ができるっていう人がいたから、その案は無しになった。

山脈を越えられるぐらい強くって、料理も出来るなんて、凄いよね。




「それで、ナツリムなんじゃが……」


で、今は、私にも関係あることについて話合っていた。

話題は一つ、私を連れて行くか行かないか。これだ。


「当初の考えでは、ナツリムは町にいてもらい、商人を護衛して、町で商人から購入するという話だったんだが……ナツリムを王都まで直接護衛できるならその方がいい。君達は、ナツリムを護衛しながら、レイジ山脈を越えて、王都まで行けるか?」



とりあえず、私を連れて行くことが、どういうことか説明しようと思う。


実は、商人から薬草を買う場合、薬草に対する専門的知識を持っていないといけないのだ。

理由は、薬草は枯れやすいし繊細なので、買った後も管理しなきゃいけないっていうのと、いい薬草、悪い薬草を見分けなければいけないからだ。

この町で薬草の知識を持っているのは私だけなので、つまり私がいないと、商人から薬草を買うことが出来ない、というわけだ。


最初の案だと、冒険者さんは、

・王都まで行く

・レクサスまで商人さんを連れてくる

・王都まで商人さんを護衛する

・レクサスに帰る


と、レクサスから王都までの道のりを二往復しなきゃいけなかった。でも、私が王都までいけば、一往復ですむ。お父さんはそのことを考えて、フレイアさん達に説明して、出来るかどうか聞いているのだ。




それで、フレイアさんが言うことには、


「話にあがった魔物しかいないのなら、ナツちゃんを護衛することは可能です。というか護衛する必要もないくらい、瞬殺すればいいだけですし」


さらりと恐ろしいことを言っていた。瞬殺って……そんなまさか。レイジ山脈に出る魔物は、平原とかと違ってかなり強いんだけど……。


でも、強がりには見えないし、他の異邦人さん達もうんうんって頷いてるし、なにより、慎重派っぽいフレイアさんが言っているんだから、大丈夫なのかな?



お父さん達もそう思ったみたい。町長さんの方をちらっと見て、町長さんがそれに頷いて、



「では、ナツリムは連れて行くこととする。他に話し合うことはあるかの?」

「ないな」

「ありません」

「こちらも特には」



「それでは、これにて会議は終わりとする。出発は明日の昼の一時、集合は町の西門前とする。では、解散」




こうして、王都へ行くための、ちょっと長めの策戦会議は終わったのでした。

作中で出てきたので、一応。



ギルド(プレイヤー側・ゲームシステム)は、冒険者が冒険者ギルドにお金を出すことで結成できるチームのようなもので、そのギルドでは様々な特典が得られたり恩恵を与えられたりします。作中の冒険者ギルドとはまた別物です。


コミュニティは作中で話していた通り、各町の町民が気軽に入ったり出来る、同好会とか研究会とか、そんな感じのものです。


ゲーム内の時間は昼時間が六時間、夜時間が六時間で一日十二時間となっていて、夜の2時〜6時くらいが寝る時間とされています。時間が流れる速さは同じです。

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