33 愛の聖堂
目がチカチカする。白い。
それが、カイが聖堂に入った時の感想だ。
扉をくぐると、一瞬、目の前が見えなくなるくらいに瞳に白が襲ってくる。
「……すごいところだな」
そんなカイの呟きを、男性は褒め言葉として受け取ったようだった。
「そうでしょう。この聖堂は、我らの誇りですから」
そして、通されたのはその聖堂の更に奥にある部屋。
小さな真っ白な部屋だった。
いっしょにいた男性と共に、どうやら食事を振る舞われるらしい。
「いいのか?俺達まで」
「ええ。そりゃあもう」
テーブルに、食事が所狭しと並べられていく。
見た目は簡素で肉は少なかったけれど、食材の味を引き出すその料理達は、カイとルーナにとっても美味しいといえるものだった。
「あなた方は、どうしてあんなところで?」
少しほろ酔い加減の男性がこちらに話しかける。
カイの隣のルーンは、小さなチーズをちょこちょこと口に入れつつ、薬草茶をご馳走になっていた。
「俺達は、王都に行くところなんだ」
「王都に。それはまた……」
と、男性が二人を眺める。
馬車は手に入らなかった。これでは、確かに何ヶ月かかるかわからない旅路になるだろう。
「もうすぐ、王都は式典があるでしょう。もしかすると、そちらに?」
「そうなんだ」
式典。
それこそが、勇者を弔うための場である葬送の式典だった。
「俺も騎士の端くれだからな。勇者は尊敬していた人で……、だから、確かめに行きたいんだよ」
実際に、勇者オルディオが死んだなどと信じているわけではない。
ただ、その棺の中に何が入っているのか確かめたいだけだ。
オルディオの遺体が入っているわけはない、とはいえ、確認しないわけにはいかなかった。オルディオに縁のあるものが入っている可能性も捨てることはできない。
「なるほど」
男性は、うんうんとうなずく。
うなずきながらも、視線を送ったのはルーナの方へだった。
ルーナはその視線に気づいているのかいないのか、話しかけてきた女性と一言二言交わしていた。
あなた方二人だと、王都へ入るのは大変でしょうね。
「大変、というと?」
「ああ、いや」
男性は、ルーナから視線を戻してにっこりと笑う。
「今、王都の式典へ出かけたいという人は大変多くいます。宿も取れないと言いますから、王都へ行くにはツテが必要でしょうね」
「ああ」
確かに、カイは騎士の端くれだとはいえ、ルーナと二人でどうにかなる場所の確保は難しそうだった。
カイが考える仕草をすると、男性が提案した。
「もしよかったら、我々が力を貸しましょうか」
ご飯は質素系。




