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また、私しかいない世界で  作者: 井土側安藤/果実夢想
第一章――I am for you.
2/81

1――平和な日常に、お別れを

 無感情なチャイムの音が、高校の校舎全体に響き渡った。


「夢か……」


 足元がぶれる様な感覚に、敦盛鬼灯は深い眠りから目を覚ます。もとい、居眠りから目を覚ました。

 時計を見ると既に時刻は午後の授業の終わりを告げていた。碌に話も聞かない不真面目な生徒など意に介さない男性教師が気だるげに話を畳み始めるのを、上の空で聞き流しながら、橙色だいだいいろに染まる窓の外を見やる。


 彼岸、終末、黄昏、そんな終わりの言葉を想起させる深い赤。

 水底に溜まった淀みのような夕焼けの赤。

 冷気に歪む球体がゆっくりと沈んでいくその動きさえも、今の眠たい意識ははっきりと捉えた。そんな、生きていてなんの役にも立たない夢想的な感情を抱きながら、気が付かれないように欠伸をする。とは言え、居眠りを分かっていてスルーしているような教師だ、欠伸をしたところで糾弾する事もないだろうし、俺の狼藉ろうぜきに気が付いてもいるだろう。それを分かって欠伸をした。

 お前の授業はつまらなかった、聴く価値もなかったと言わんばかりに。無論、そんな風に考えてなどいない。ただただ興味がないだけだった。授業に、勉学に、然したる興味を持つことができない。持とうとしない。それ以外の大事なものがあった。そのことについて自分のリソースを割かなくてはならない。その為には、将来の為だと銘打たれたこの”授業”すら、どうでもいいものだと一蹴できた。それくらい、ソレは俺にとって大切なものだ。


「眠い……」


 男性教師が宿題について何かを告げて教室を後にした。一応それは聴いておく。必要最低限の、生徒としての体裁は整えておきたい。そうでなければ必要以上に浮いてしまう。あくまで学校という名の液体の一部として、個体として突出しない程度に、ガラス容器に張り付いた空気の泡のように存在したかった。いや――空気の泡なら既に少し浮いているか。そう、既に俺は浮いた存在だ。この学校の中で、ひいては人間として。周囲から見れば異常ともとれてしまう存在。

 俺にとってソレは自然なことだった。なんの疑問も抱かないことだった。だが、いつしか人と関わる濃度が高まるにつれそれが異常なものだと感じ始めた。もしくは、ソレは幼い時分にのみ許されたものだったのかもしれない。


 ――おおきくなったら、おにーちゃんと結婚する!


 妹のそんな言葉が、俺は心から嬉しかった。

 それを本気にして今までずっと大事に持ち続けて来た。

 妹を深く愛した。実の妹。血が繋がった肉親。

 そんな、本来なら許されざる行為も気にならなかった。その愛は本物だ。忙しい両親の代わりに毎日ご飯もつくってあげたし、身の回りの世話も全部こなした。任せっきりにはできないと、時には手伝ってもらったりもした。何をするにも一緒だった。朝起きた時も歯を磨く時も顔を洗う時も朝ご飯を作る時も朝ご飯を食べる時も学校に行く時も昼休みも放課後も夜の団欒も晩御飯を作るときも晩御飯を食べる時もお風呂に入る時も歯を磨く時も寝る時も――それこそ互いに体の一部がそうであるように、俺達は運命共同体だった。

 だがそれはすぐに崩れる泥船の如く、いつしか消えてなくなる一時の幻にすぎない。

 今はただ夕焼けが落ちかかっているだけで、いつか気が付く。これは本当におかしいことだったのだと。そうして人は大人になっていくのだろう。

 だから今はこれでよかった。

 妹を愛するというインモラルも、それを笑う同級生も、咎める大人達も、全てを無視できた。どうでもいいと思えた。

 だが――もしそれが度を越えてしまったら?


 ――また待ち合わせてるよあの二人。

 ――やっぱり付き合ってるんじゃ……?

 ――兄妹だよ?

 ――一人はいるでしょああいうの……

 ――まだそんな事やってるんだ。

 ――気持ち悪い……


 醜聞しゅうぶん、風評。

 他者からの勝手なレッテル。

 他人の価値観に彩られた色眼鏡が映し出す極彩色の世界の内側。

 見えない。聞こえない。知らない。存在しない。

 そうやって目を瞑り、耳を塞ぎ、脳を停止し、大切なものだけを見て生きる日々は酷く窮屈で鬱屈としていた。


「おにーちゃん、遅いですよ」

「わりぃわりぃ、先生の話がまた長くなってさ……何回おんなじ話聞いたか……」


 玄関の裏――校舎のすぐ横にある林の影で待つ妹の元に急ぎ足で駆け寄った。

 耳にタコができるほど聴いた、初老の担任が思い出したようにする子供の頃の将来の夢の話をニ十分ほどHRの時間を超過してまで聞いたのだから、うんざりするのも仕方ない。本人も最近ボケてきていると自嘲気味に笑っていたので強く言えないのがもどかしく感じていた。

 俺の妹、敦盛山茶花は茶髪のショートヘアーを軽く掻き上げて微笑んだ。社会科の教師なので山茶花も何度も同じ目に遭っていた。


「あの先生、大好きですよね 。そんなに好きならアイドルになればいいのに」

「そうもいかねぇだろ。色々あるんだよ大人は」

「おにーちゃんはまだ子どもじゃないですか」

「うるせぇ」


 妹の敬語口調は他人行儀を感じさせない優しい声色だ。

 誰に対しても敬語だが決して気難しい性格ではない。少し垂れた目元は相対する者の警戒心を解きほぐし、優しい声色は心の中にするりと入り込み敵愾心てきがいしんを消滅させる。

 俺が唯一、一番に心を許せる存在足るには十分だ。

 現にその愛は家族という枠を越えるもの。

 それを他人に明け渡す事に少なからずとも恐怖を覚えていたが、正直なところそこまで深刻には考えてはいない。いつかは壊れるものだと理解していたから。これは今だけのものだと、俺自身も理解していたから。

 血の色(ゆうやけ)に染められた固いアスファルト道路の上を二人で歩く。

 歩いているとその背丈の差は歴然だ。俺は中肉中背、平均的な背の高さだが妹の山茶花は小学生と見紛うほど背が低い。最初こそコンプレックスに感じていたようだが、ちょうど俺に撫でられやすいことに気が付き気にならなくなっていたそうだ。


「そう言えばおにーちゃん、今日の夜ご飯の買い物は済ませましたか?」


 山茶花が少し意地悪そうに笑う。声色も少し上ずっておりわざとらしい芝居がかった言い方だ。

 こういう時は決まって、兄の失態を分かって弄ろうとしている。


「……あ」


 案の定、俺は昨日に済ませておくはずだった買い物に行っていなかった。

 学校帰りからスーパーに行くとなると一度家の前を通り過ぎなければならず二度手間だ。休みの日だった昨日に済ませておけば楽に家に帰れたものを、すっかり忘れていた。そんなことは今まで一度もなかったはずなのに……疲れているのだろうか? と頭を抑える。実際、内容はよく覚えていないが、さっきも眠っている間に夢を見ていた。夜眠る時も同じだ。酷く疲れる夢だった事だけは覚えていた。そのせいか最近は寝不足気味だったのだ。


「もう、しかたないんですから。今から行きましょう?」

「悪いよ。山茶花は先に帰っててくれ。今日は体育だったんだろ?」


 山茶花からほんのりと汗の香りがする。

 カバンの膨らみは体操服だろう。


「またそう言って。おにーちゃんが疲れてるのは分かってるんですからね。一人で行かせるなんて心配です」

「母さんに似てきたな」

「光栄です。ママのような立派なお嫁さんになって、おにーちゃんを支えないといけませんからね」

「ありがてぇよ……ま、重い荷物は俺が持つからな」

「実はわたしの方がおにーちゃんより握力強いんですよ?」


 さらりと衝撃の事実を突き付けられショックを受ける俺をしり目に、山茶花は軽い足取りで駆けて行く。

 肩提げカバンを背負った少女のシルエットが赤い光と同化する。

 伸びた影を辿って山茶花の背を追う。

 栗色の艶やかな髪、男を引き付ける魅惑の海路、逆光で透けて見えるスタイルのいい体すらりと伸びた手足。くるぶしが見えている。

 振り返り、少女が笑う。

 逆光の笑顔。

 赤い光を通さない笑顔。

 ナニモノにも染まらない笑顔。

 自分だけのモノにしたい笑顔。


 首を横に振る。

 違う。山茶花をそんな目では見たくない。確かに山茶花のことは大好きで、愛していたが、あくまで家族、肉親なのだ。血の繋がった家族だ。その愛がその枠を超えたとしても、更にその先へ辿り着いてはいけないのだ。

 邪念を振り払うように俺も駆け出した。

 早く買い物をして早く帰ろうと、山茶花の背中を軽く叩いて二人で走る。


 カバンの中身が揺れて走りにくいのを我慢しながら最寄りのスーパーへ向かう。途中、カバンだけ家に置いて制服はそのまま再び二人で歩き出す。その頃にはもうそろそろ、夜のとばりが落ち始める頃だ。

 道すがらは薄暗く足元が悪くなる。俺が気を付けるように言おうとした矢先、それを分かっていたように隣を歩く山茶花が身を寄せた。

 肩の感触がポリエステルの制服越しに強く伝わる。そのまま細い腕が、離れないように俺の腕をがっちりホールドする。


 何も言わず、平常心を装って歩く。

 身を寄せ合うと自然と歩く速度も遅くなる。だがそれだけ、こうして二人でくっついていられる時間が長くなる。二人でいられる免罪符だ。


「おにーちゃん……今日のお夕飯、楽しみにしてますね」

「お、おお。まかせとけ」


 袖を掴む手に力が入るのが分かる。

 山茶花は寂しがり屋だ……いいや、俺がそうしたのか。


 全ては俺が――やめておこう、もう終わったことだ。

 そんなことを考えたって意味はない。

 これからを生きればいいんだ……それでいい。


「さて、今日の晩飯は何作るんだっけかなーっと」


 確かスマホケースにメモを挟んでいたので確認しようと制服のポケットに手を入れた瞬間だった。

 脳の間から出た突起物が頭蓋を内側から突き破るような痛みが走り、膝を折りアスファルトに手をつく。断続的な激痛に脂汗が噴き出し、動機は不定期なリズムを刻み続けている。喉の奥から漏れる呼吸が痛い。焼けるように痛い。


「おにーちゃん!? どうしました!?」

「……頭が……割れる……」


 パニックに思考が追いつかない。

 自分がどこに立っているのかすら分からなくなる。平衡感覚が反転し目の前が歪んでいく。

 意識がミキサーに掛けられたような気持ち悪さの中――ほんの刹那の間だけ、冷たく凍った世界があった。



 ――助けて……ください。



 声が、声が聞こえた。

 それを理解した時には、頭痛など気にせず、スーパーへの道のりも無視して近くの雑木林に入っていた。

 俺の奇行に戸惑いながら、山茶花が後ろを付いて来ているのが分かる。

 俺自身、何をやっているのか分からない。


「声がしたんだ……」

「声、ですか? 誰かに呼ばれたんですか?」

「分からない……助けてほしいと言われ――ッアっ、が!?」


 ピシっ、と罅が入るような音がした。

 これ以上は俺の頭がもたなそうだ。

 だがここで足を止める訳にはいかない。

 そんな焦燥感しょうそうかんに支配されて、俺は歩を進めた。


 細い木々の間を抜けた、開けた海が見える崖。

 普通なら誰も近寄らないような、本当なら立ち入り禁止のこの場所には柵がなかった。だが、そんなことはどうでもいい。俺を呼んだのは誰だ!?


「どこにいるんだ……!? 誰が俺を呼んだんだ!?」

「おにーちゃん……もう帰りましょう? ここなんか変ですよ……」


 変……?

 確かにそう言われれば、空の色も、鳴くカラスの声も何かおかしい。

 まるで別の世界のような。


 空色が極彩色に染まっていく。

 セットで買った絵の具を全部ぶちまけたみたいな色は、やがて俺の頭に今までで一番の破壊をもたらした。


「ギィっ、ぐぅあああ、あああああああ!? や、べろ――なん、なんだ……!?」

「おにーちゃん……!」


 世界が揺れるように見える。

 段々と、木々は枯れ、足元の雑草は砂に還元され、カラスも腐肉に変わって目の前に落下した。

 動物の惨い死体を見て、山茶花が小さく声を上げる。

 恐怖で身を寄せる妹の体を抱き寄せた。俺も怖い。何が起こっている?


 気が付けば足元には魔法陣。

 妖しい色を放つソレは、やがて俺の意識を完全に遮断した。


     §


「……っ」


 気がつくと、視界には一面に広がる晴れわたる青空と照りつける太陽。下が渇いた大地なせいもあって死ぬほど暑い。

 石のような硬い感触を感じ、少し背中が痛む。

 ゆっくりと体を起こし――思わず絶句した。

 さっきまで俺が寝転がっていた地面には、草木が全く生えていない。

 そして俺の目線の先には街があるのだが、果たしてあれを街と呼んでもいいのだろうか。

 所々に立ち並んでいる石造りの家は、その全てがボロボロに荒れ果ててしまっている。

 そう。その街は――あまり人気がないのも相まって、完全に荒廃してしまっているように見えた。まるでテレビで見たスラム街のような印象だ。

 ……何なんだ、ここは。

 明らかに日本ではない。


「山茶花、どこだ……?」


 確か俺は強烈な頭痛に襲われて、謎の声に導かれて気が付けば謎の光に包まれて意識を失った。

 妹――山茶花と一緒に。

 次の瞬間には、こんな見知らぬ土地に来ていたわけだが……もしかしたら、山茶花もここに来ているかもしれない。

 そう思って辺りを見回すも、山茶花と思しき人影はどこにも見当たらなかった。

 山茶花どころか、周りには俺以外の人間が誰もいない。

 さっぱり訳が分からなくて、頭が真っ白になる。

 俺は一体どうなってしまったのだろう。これが夢なら早く醒めてほしい。

 山茶花は、一体どこに行ってしまったのだろう。もし家で普通に暮らしているのなら、それでいい。だが明らかに、同時に光に呑み込まれていた。あれのせいでここに来たのなら、山茶花も一緒にきてしまったはずだ。

 困惑を抑えきれないまま、俺は街の中を歩き回る。

 やはり綺麗なものが一つも存在しておらず、どれもボロボロに崩されていたり、傷がついていたりと酷い有様だ。

 せめて、誰か人がいてくれたら。

 そう心の中で願っても、一向に人らしき存在は現れてくれない。

 家に帰ることができず、どこへ行けばいいのか分からず。

 ひたすら彷徨い続けていると、不意に声が聞こえた。

 いや――それは声というより、音に近い。

 その声は、徐々に近づいてきて。

 やがて。


「グォォォォォオォォッ!」


 不安を加速させる、頭に響く咆哮とともに、それが姿を現した。

 デカい。確実に、俺の全長よりは遥かに巨大な体躯。咆哮をあげたときに開かれた口の中には、サメのような鋭利な牙が生えており、四本の太い脚で地面を抉るようにして立ちながら俺を睨む。

 見紛うことなく狼だった。

 それに、どう考えても普通の犬や狼よりもデカすぎる。

 異常なのは目。その狼には目がなかった。もっと言えば、目があるはずの場所がない。巨大な口だけの為にある顔は、元の狼の容姿を知っている俺に言い知れぬ不快感を与える。


「な、何だよ、こいつ……ッ」


 あまりの恐怖で足が竦む。

 ただデカいだけならまだしも、クリーチャー染みた得体の知れなさが恐怖心を加速させる。

 低く唸る眼なし狼。ない目で俺を獲物と見定めているのだろうか。

 このままここにいると数瞬後には食い殺されてしまう。

 頭では理解できていても、体が上手く反応してくれない。

 足が、動いてくれない。


「グルァァッ!!」


 ついに動く。

 後ろ足で地を穿ち、高く跳び上がる。

 口を大きく開けながら、俺に向かってダイブする。


「……くそッ」


 こんな所で死んでたまるか。自分の状況が何一つ分からない。山茶花もいない。ここがどこかも分からない。そんな状況で訳も分からず殺される、そんな理不尽は絶対に認めない。俺は生きて、山茶花と生きなければならない。

 ただ、そんな願いがあの狼に通じるはずもなく。


「ぁが……ッ!」


 突き刺さる。

 前足の爪が腹に深く突き刺さる。

 滲む、滲む。少しずつ広がる痛み。それを理解した瞬間に激痛が思考を焼く。間髪入れずに狼が大口を開ける。

 喰われる――そう直感した。


 その刹那――


「――はぁあッ!」


 剣を持った男が、俺に覆いかぶさる狼に斬りかかった。

 上がる血渋き、悲痛な声を上げながら狼が乾土を転がり、ないはずの眼で男を睨む。男の後ろには同じように剣を持った男がもう二人いた。


「こんなところで愛犬と散歩とは奇特なこった」


 不敵に笑う、顔に傷のある強面の男。

 この人は俺を助けてくれたのか……? そんな当たり前の事実にも、今は頭が追いつかない。

 狼はまだ生きている。諦める様子はなさそうだ。未だ俺を獲物だと考えているのか、じりじりと距離を詰めようと歩み寄る。

 男は他の二人に目配せすると一斉に斬りかかった。


 一匹の狼に大人の男三人。一見すると弱い者いじめにしか見えないが、しかしあの狼は迅速。三人の見事な連携を完璧に(かわ)す。

 なんとか俺に近づけさせまいと戦う三人。

 どうしてそこまで俺の為にするのか分からない。余裕ができた俺の思考はそんなことを考えていた。事実、今ここで初対面だ。出会って間もないどころか、言葉を交わしてすらいない。


「おい! なにボーっとしてんだ少年! 逃げるんだよ!」

「あ……は、はい!」


 そうだ、何やってんだよ俺は……!

 早く逃げないと……早く――!!


 だがもう遅い、男たちの攻撃を掻い潜り、狼は再び俺に飛び掛かった。

 自業自得だ。ボーっとしていたから俺は死ぬ。取り柄のない俺にはおあつらえ向きの死に方だろう。


「は……?」


 だのに、何故、俺ではない誰かが血を流している……?

 俺の目の前で、男の一人が肉を噛み抉られている。妥協したのか、狼はその男の肉を喰らう。

 凄惨。

 眼前に突然現れたスプラッターに目が奪われる。


「行くぞ少年!」


 最初に俺を助けた男が俺の手を引き走り出そうとする。


「でもあの人は……!?」

「助かったら生きる、死んだら死ぬそれだけだ。お前は助かった、だから生きろ!」

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